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プロローグ 道具として産まれた私

御木本 詩織:没落した名家の娘。25歳。154センチ。いずれは金持ちの男に嫁ぐからと監禁状態で暮らしている。退屈な中で許されているのは週に一度の外出のみ。仕事はしているものの、在宅ワークで滅多に人に会わずに暮らしている。


日向カイル:28歳。182センチ。モデル兼俳優として爆発的に売れて、多忙を極めている日々。なので、それまで通りに女性をとっかえひっかえというわけにいかなくなり、不便を強いられている。


私はずっと道具として生きてきた。家を守るための道具、家を継ぐ男の子を生む道具… 親が満足するようにしか生きることを許されなくて。


「詩織! 今週の外出は男の所へ行くそうだな。そんなこと許さんぞ!!」


私の部屋へ勝手に入ってきて、怒鳴りつける中年男性はお父さんだ。時間は夕方ごろだから、仕事が早く終わったん

だろう。


「違います。男性俳優が出演する舞台を観に行くだけ。高校時代の同級生の美鈴ちゃんと一緒に」


そう言いながら仕事に集中する。簡単な入力作業しかできないけれど、それでも仕事には違いない。


「あなた… お風呂が入りましたのでお話はそこまでにしましょう。詩織さんはまだ仕事が終わっていないようですし」


死んだ魚のような目をしたお母さんが私の部屋に入りながら言う。お父さんはそんなお母さんをあからさまに見下し、従えるようにして部屋を出ていく。…息苦しい、と感じる。


気弱なお母さんと、帝王のように偉ぶっているお父さん。


私はそんな二人を養うためだけに、お金持ちの家からお婿さんを貰うことが決まっている私… そんなくだらない事の為にこの家から週に一回しか出られない私が一番嫌いで。


昔は大金持ちで権力も持っている名家だったらしいけど、ひいおじいちゃんの代で大借金を背負ってしまって… 色々なものを売り払って返している間にすっかり没落してしまった。


お父さんはそんな家を支えているんだからと偉ぶっている。お母さんのこともまるで秘書か部下みたいに従えていて…


「詩織さん、仕事なんていいからダイニングにいらっしゃい。晩御飯にしましょう」


お父さんの言いなりになっているお母さんも嫌いだけど、それ以上にお父さんが嫌いで仕方なくて… でも、逆らえない私が一番嫌いで。


「これが終わったら行くから構わないで! 先に食べてていいから」


ついきつく当たってしまう。こんなことしたって、お父さんのあたりがきつくなるばかりなのに… 誰か助けてほしい。叫びたいけどなにに叫べばいいのか分からないまま、25歳にまでなってしまった。


お父さんは毎日のように結婚相談所へ出入りしては、自分の釣りあげた条件を満たす男を探している。年収5千万で長男以外の男で婿入りしてくれて、将来は介護まで夫婦でやってくれる… バカバカしいと思う。


そんなデメリットしかない結婚、してくれる人がいるわけない。だから、私は今のところ結婚しないでいられるわけだけれど。でも、いつか現れるかもしれない。


「もしそうなった時は…」


あきらめて結婚するしかないのかな? 私は異常なまでに異性関係を制限されて生きてきた。小中高と女の子しかいない一貫性の学校だったし、大学は行かなくていいと言われた。


代わりに料理学校や洋裁やらの花嫁修業を色々とやらされた。もちろん、全部お母さんがお父さんの言いなりで、だ。その時は才能がないんだと嘆くしかないくらいひどい成績で、何度もお父さんに殴られたっけ。


結局、就職が先に決まったから許してもらえたようなもので…


こんな毎日の果てに結婚があって、将来はお父さんとお母さんの介護までしないといけない。それも子供をたくさん産まされた果てに… 


希望なんてなくても、あきらめられたら楽になる? でも、一生に一度は恋くらいしてみたい。それはおかしいことなのかな。無駄なこと?


お父さんとお母さんの間にそんなものがあったとは思えない。私も将来はお母さんみたいになるのかな。…それくらいなら…!!


死んだ方がマシだと思っちゃう。けど、そんなこともできない。どうしたらいいのかな…?


分らないまま、仕事を終えてパソコンを閉じる。息が苦しいと感じながら、今頃は酔っぱらって寝ていることを祈りつつリビングへ向かう。


もう何年もお父さんとお母さんと三人で食事をしていない。三人で囲むと、お父さんはマナーがなっていないとか色々と文句を言うばかりで、味が分からないから。


朝はわざとお父さんより早く起きて、夜はこうして仕事が伸びているフリをして遅くに食べる。…いつまでこんな暮らしをしてなきゃいけないんだろう。


誰か、助けて…!!


祈りながら私はダイニングへ向かう。予想通り、お父さんは酔っぱらってリビングのソファで眠っていた。


「詩織さん… もう冷めちゃったわよ」


呆れたお母さんの目は相変わらず死んだ魚みたいに淀んでいる。見ていたくなくて。私は大好きなカルボナーラだけをもって自分の部屋へ向かう。


「詩織さん…!? また偏食を… しょうがない子ね」


呆れたお母さんの愚痴がかすかに聞こえたけれど、無視して階段を上がる。…この家は嫌い。大嫌い。一番嫌いなのはこの家から抜け出せない私だ。

始めました( ^^) _旦~~ 日向カイルくんのお話です。

これが一番ファンタジー色強めになるかもしれません。もしかしたら昴流和希くんの時のように性描写強めになるのかな(。´・ω・)?まあ、どうなるかは分かりませんが、がんばります(`・ω・´) お付き合いくだされば幸いです。

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