61開脚目
「さ……さ……さ……攫われたって!?」
「うん。昔なあ、人質にされとったんや。それはもう大変やったで。あんなことされたりこんなことされたり……」
「あんなことやこんなことやそんなことだと!? ゆッ、ゆるせんッ! 俺だってまだヤッてないのに!!」
「ちょッ、まッ、待つんや。そんなことはされてへんし!」
「じゃあ一体どんなことされたっていうの?」
「えッ! 恥ずかしいやん? いわせんなやッ!」
「お願い教えて!」
鼻息荒くなりつつルナフレイムにグイっと顔を近づけ質問するエリザベス。
「三食昼寝付き」
「……え?」
「デザートもあった」
「……え?」
「リゾート施設に連れて行ってもらったり一緒に旅行にいったり」
「……え?」
「お花見もしたしデュエルもしたし」
「……え?」
「一緒に敵国の城襲撃したり」
「……それ……」
「ん?」
「人質ちゃうやんけーッ!」
「え?」
「それただの……仲間とか友達だよね?」
「え? だって相手も交換人質してたしさ」
人質交換ならぬ交換人質。
「それただの……交換留学生だよッ!」
「え?」
「相手も無事元の場所に戻れたんでしょ?」
「うん、勿論。ドライアドの国の技術をほんの少しでも自国に持って帰ろうと必死に学んでいたそうやで」
「そうねーあの子はとっても賢くてよい子だったわね。敵国同士だったはずなのに、コレクションを奪い合った関係なのに、お互いの国がそのおかげで発展したわ」
ムーンチルドも認めるほどのよい子だったらしい。ムーンチルドの力によってドライアドたちの国は革新的な発展を遂げてきた。その知識や技術はビルドシステムのおかげで実現できたものは多いが、相手国にも転生者がいるのであればその国も急速な発展が出来たのかもしれない。
「ま……まあ、無事で何よりだよ。と……ところでその種族って?」
「ヴァンパイアや」
「ヴァンパイアよ」
ルナフレイムとムーンチルドの声が重なりながら答えを教えてくれた。
「ま、まさか……あの伝説の種族だとううううぅぅぅおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおおおッ!」
エリザベスは驚愕した。驚愕せずにはいられなかったのだ。
「どこが伝説なんや?」
「だって……首に咬みついて……ちゅーちゅー……するんでしょ?」
「確かにそういうことしたりする種族やけど」
ルナフレイムはエリザベスの質問を認める。ムーンチルドもそれに合わせて頷く。
「ナチュラルにいやらしい種族やんけーッ!」
「なんでそうなるのよッ! ヴァンパイアは血液すら栄養にすることが出来る凶悪な生命力を誇る種族よ」
なんだか微妙に仲良くしていたように感じられたのだが「凶悪」呼ばわりとは……。
「そうじゃなくてさー、エッチな首筋に……エッチな唇つけて……エッチな血を……エッチにちゅーちゅーするんでしょヴァンパイアって?」
「うん……だいたいあってるんやけど……」
「?」
「そのー……『エッチ』付ける必要ないやろ?」
「アネ゛デパミ゛ーッ! それを付けてこそのヴァンパイアでしょ」
「すまへん……ほんま言っている意味わからへん」
わからないのも無理もない。なぜならルナフレイムには変態レベルもエッチレベルも足りないただのデュエリストだからだ。




