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58開脚目

 逃れることが出来なかったエリザベス。もちろんムーンチルドの魔の手からである。耳にタコができるほどさまざまなことを聞かされた。そのいろいろな話の中、やはりとても気になったのは転生者たちの話である。


「あのサキュバスの転生者は強かったわ……」


 サキュバスときいてときめかない男はいないだろう。サキュバス……それは魅惑の存在。サキュバス……あれは人間からみればドライアドなどと同じような超自然的存在。サキュバス……これは最強の女淫魔。サキュバス……なんだか悪魔扱いされる者。いろいろ巷ではいわれてはいるが揺るがない事実というものがある。


 揺るがない事実は……実にエッチでけしからん存在ということだ。なにがエッチでけしからんって? それは数えきれないほどのエッチさだ。そもそも古代タマンネリア語でサキュバスとは、「不倫でニコニコエッチな恋人・愛人」という意味である。種族名からしてエッチなのだ。


 そして名前よりエッチなのはその能力だ。サキュバスの能力は幻惑・幻影、魅了などが有名でありつまり状態異常にするのが得意だ。具体的にはエッチな夢をみせたりすることができるのだが、この刺激が強すぎて絶命に至る者が続出するほど強力なのだ。絶命に至るのは人々が耐えうる快楽の限界値を超えるほどの快楽を与える能力だからだ。この能力がサキュバスがサキュバスたる最大の所以である。


 エリザベスが一番最初にサキュバスではなくドライアドの勧誘に来たのもこの点が大きな理由だ。紳士ならばすぐさまにサキュバスに飛びつきたいのはわかる。理性を解き放ちまだみぬエデンへと羽ばたきたい気持ちもわかる。しかし、まってほしい。無策でサキュバスの快楽に耐えることは困難である。少しずつ快楽耐性を手に入れていかなければならない。そこで慣らし運転がてらのドライアドである。ドライアドには失礼かもしれないが、キング・オブ・快楽リストであるサキュバス攻略のための耐性上げに付き合ってもらったというわけだ。無難にサキュバス、最初にサキュバスなどとエリザベスであっても口走ってしまうほど魅力的なのだが……。


 そんなサキュバスの転生者がいるとすれば……。


「サキュバス……だとッ!!!!!!!!? でもムーンチルドめっちゃ強いじゃん? だから大丈夫だったんでしょ?」


「全然大丈夫じゃないわよッ? オティンポコレクション半分も持って行かれたわ……許さない……許せないわ……ぶっころーッ!!!!!!!!! アイツは前世の鬱憤を晴らしに晴らしまくっているの」


 熱くなるムーンチルド。この世界で鬱憤を晴らしているのは君もだろ、と、とりあえずは突っ込まないでおくエリザベス。そしてムーンチルドが所有していたコレクションをごっそりと掻っ攫っていったことがあるようだ。エリザベスからしてみれば全く理解できないが、そのサキュバスとなった転生者も例のコレクションが奪い合いになるほど大好きなようだ。流石、前世で報われなかった喪女である。


「まあ、落ち着いて? その転生者は今どうしているの?」


 エリザベスはサキュバスに興味津津だ。もう頭の中は厭らしいサキュバスのことでいっぱいだ。


「今も男狩りをしているという噂よ。だけど男の数もその中のイケメンの数も減ってきて大変でしょうね」


 あいもかわらず男をつけ狙っているらしいサキュバスの転生者は……。欲望が果てしない……サキュバスはみんなそういうものなのだろうか。


「恐ろしいな……そのサキュバスに転生者は今どこにいるの?」


 いつでも会いに行けるように場所を尋ねるエリザベス。しかし、転生者は竜王や魔王より遥かに強かったりするのが、ムーンチルドと出会い身に染みている。


「アイツの住処変わっていなければここをこう行って……この角を右に曲がって……あそこのT字を左に曲がって……その銅像を真っすぐ通り過ぎて……その先にある滝の裏にあるわ。ただセキュリティは本当に厳しいわね」


「会いに行ってくるよ」


「だめよ殺されるわ」


「そんなに危険なの?」

 

 エリザベスの質問に深く頷くムーンチルド。戦ったものだから、相対した者だからこそわかるのものがあるのだろう。


「彼女は転生者。つまり……わたしみたいにすごい力をエロナス様から賜っているのよ。彼女はサキュバス特有のスケベな夢をみせて精(生命力)を吸い取るだけの能力だけじゃないわ。上位サキュバスの使用可能な唾液や血液といった体液で対象を発情させる技、魔眼による固有特殊能力、エナジードレイン、男性の性欲を増大させ精○を大量に造らせキンタマを大爆発させる技など危険極まりないわ。なによりその能力から男性ではまず勝てないはず……」


「……キンタマ大爆発……恐ろし過ぎる……男即死ですやん……」


 そのときエリザベスは自分の玉も棒も無くなっていることに気づいた。すこしかなしい気持ちになった。だがこれなら戦えるかもしれないという希望が湧いてくる。


「それだけではないわ。彼女は一通りの攻撃魔法・治療魔法だけではなく、瞬間移動、次元転移、融合結界まで扱えるわ。まあなによりも恐ろしいのはエナジードレインの究極系のスキルを持っているところよ」


「いろいろとすごすぎるな……エナジードレインの究極系? なにそれ?」


「たしか〈レベルドレイン〉って名称だったかしら。相手の強さをうばって自らの強さを上昇させるものよ」


「なッ!?」


 エリザベスが驚くのは当然である。まるでバグ技やチートみたいな凶悪さがあるからだ。相手の強さを奪うとは相手を弱くするということに他ならない。そのうえで自らにその奪った強さを付け足すという凶悪なものだ。要するに強さの差を変動させるものだが……。

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