52開脚目
「少しは目が覚めたか?」
「ぐるるるるるるるるるうううううぅぅぅぅぅ……」
外へと弾きだされたドライアドの女王ムーンチルドを追ってきたエリザベスの問いかけに、こたえることはできず野獣のような唸り声をあげるドライアドの女王ムーンチルド。
ふたりは空中に浮かびあがり、その視線から火花が飛び散らんばかりに睨みあう。ただ、エリザベスの方は〈M字フライ〉によって浮かんでおり締まりが悪いというか格好がつかない。けっこうシリアスなシーンだと思うのだがこれがエリザベスクオリティである。
ただ、おかしいのはM字開脚で浮遊しているエリザベスだけではない。ムーンチルドにいたっては空中を蹴ってその場に留まっているのだ。拳圧が凄まじいのだからあたりまえのように足(脚)の力も尋常ではない。だが、ドライアドは魔法が得意なはずだ。それも女王となればかなり得意なはずだ。であるならば魔法、例えば〈フライ〉などをせめて使ってほしいのだが……。
ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッとムーンチルドが空中を蹴る度に激しい音が鳴り響くのだ。いや、すごいのはわかるが……。「魔法を使え」と思わず言ってしまうエリザベス。ムーンチルドからは物理法則の限界を超えたようなものを垣間見えるのだが……「それもう魔法みたいなもんじゃ」ともエリザベスは口にしてしまう。
そんな独り言をボソボソと言っている間にムーンチルドに距離を詰められ強烈なタックルをお見舞いされるエリザベス。ムーンチルドはそのままエリザベスに抱きついたまま勢いを殺さずさらに加速しどこまでも突き進んでいく。その勢い、はやさは空間を歪ませてみせた拳圧以上であり、エリザベスでなはなく一般人であれば一瞬で塵になっていただろう。
「あががががががががががががががががががががががががががががががッ!」
なんともいえない奇声をあげダメージを受けるエリザベス。エリザベスはムーンチルドに抱きつかれたまま、またも加速され空間が酷く捻じれ穴が空き、ふたりは別空間へと飛んで行ってしまった。
その飛んで行った先は幾つもの山がみえる大自然の空間であったのだが……。お返しといわんばかりにエリザベスを殺意増し増しで放り投げる。
ムーンチルドに手加減されず全力で放り投げられたエリザベスなのだが山に轟音と共にたたきつけられた。山とエリザベスとの衝突は、山の表面にクレーターが出来る程度の衝突ではなかった。衝突は山に穴が空くほどであり、山とぶつかって尚減速せずにエリザベスは次の山へと激突する。そして次の山にぶつかり、またさらに次の山へとぶつかるということを何度も繰り返す。
「きしゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああーッ!」
勝利の雄叫びをあげるムーンチルド。よほど嬉しかったのか不気味な笑みを浮かべ拳を上空へと突き上げる。その拳圧により視界に入る上空の雲は全て四散してしまった。我が生涯に一片の悔いなしみたいな状況である。
「……もう終わりかな?」
「えッ……?」
勝利を確信しているようなムーンチルドは理性がしっかりと戻っていた。だからこそ驚くことが出来たのがそれは自分にとって思いがけない人物が話しかけてきたからだ。
「そんな……ありえない!? どうしてあなたが!?」
その人物はムーンチルドの背後をとりムーンチルドご自慢の胸を揉みしだいた。ムーンチルドの御立派な双丘に話しかけてきた人物の指が吸い込まれていく。ふんわりとやわらかくどこまでもどこまでも吸い込まれていくその感覚はこの巨大な胸部でしか味わうことのできないものだ。世界にひとつだけのおっぱいだからこそである。それがこの揉みしだいている者にはわかっている。
「〈スパークル・シャイニング・ゴールドフィンガー〉」
ムーンチルドの胸部に吸い込まれめり込んだ指がスキルの発動とも音を立てて光り輝きはじめた。その音はバチッ、バチッという音で何かが弾けているようであり、その音と同時に胸も激しく上下左右、縦横無尽に踊りだしている。
「んッ! あッ、あッ、あッ、あッ、あッ、あッ! らッ、らめーッ!」
あまりのテクニックに胸部から全身に稲妻が走るように感じるムーンチルド。このような感覚は久方ぶりである。常に乾いたような状態でいたムーンチルドには少々刺激が強すぎたようで喘ぎまくる。伝家の宝刀である「らめーッ!」が出てしまうほどに……。せっかく理性を取り戻したにも関わらず再度理性が飛びそうになるムーンチルド。快楽のうねりが再度激しく波打ちムーンチルドに襲いかかっているのだ。




