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50開脚目

 あれからというものドライアドの女王は発狂しながら壁にめり込んだ状態のままのエリザベスへと拳を何度も何度もぶち込む。ラッシュというやつだが、城そろものが震えるほどのものだ。


「わたしは大阪に生まれええええええええええええええええええええーッ! 学生時代は真面目に空手に励みいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいーッ! 社会人時代はしっかりと事務員を務めええええええええええええええええええええええええええええええーッ! 気付いた時にはあああああああああああああああああああああああああああああああああああーッ! 30過ぎて彼氏もいたことがない手遅れなほどの喪女になっていたわあああああああああああああああああああああああああああーッ!」


 いわゆる自分語りというやつだろうか。しかしながらその勢いは拳のラッシュと相まって凄まじい。この拳の重さはきっと空手部で培ったものに違いない。


 だが喪女になった原因の一端が垣間見れる。空手に打ち込んだとか、真面目に働いたとか、それはプラスイメージに捉える事が出来る。しかし、残念なことにその分異性との関わりがないことが暗に示されてしまっている。


 一聞、大阪生まれはどうでもいい情報に感じられたが、これによってルナフレイムの話し方にようやく納得がいった。あれは母親の影響なのだと……。だが、基本的に「オカン」呼びではなく「ママ」呼びをするところ愛らしいルナフレイム。


「きゃあああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーッ! もうこの世の終わりよおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおーッ」


「もうだめよ! この国はおしまいよおおぉおッ! 粉砕、玉砕、大喝采よッ!」


 騒ぎをききつけ集まって来たドライアドたちがあわてふためいている。大喝采では国はおしまいではないだろうと激しいツッコミを入れたくなる発言である。


「あきらめちゃだめだ! 諦めたら終わりだって偉大なドライアドもいってた!」


「希望はまだあるはず、まずは国民への避難勧告が最優先だ!」


 そんななかには冷静沈着な者もおり、被害を最小限に抑えようと頑張っていた。どこか熱さを感じられる昔ながらの主人公感満載のドライアドもいた。


 しかし、女王が暴れているだけで、エリザベスをボコボコにしているだけでこんなんもドライアドたちが困り果てるとはいったいなぜなのだろうか。恐怖政治でもしているのかと疑いたくもなるだろう。なにより国を作るだけではなく破壊することも可能な猛者だということは十分伝わってくる。


「空間が捻じれるほどの拳圧、まさに見事の一言に尽きる! この世界で出会った者の中で最強が更新されたよ。このエリザベスが最強と認めてやる!」


 ドライアドの女王の拳を浴び続けているエリザベスの方からエリザベスの声がきこえるが、素顔は拳を浴び続けているため確認できない。どうやらドライアドが慌てているのは無理もないようなのだ。女王のその拳圧は空間すらも捻じ曲げるほどのものらしく、エリザベスが認めるほど、唸るほどの真の強さがあった。エリザベスは体感してわかったのだ。


「きしゃああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああーッ!」


 どこぞの地球外生命体のような奇声を放ち、エリザベスの言葉などまったく届いていないようだ。これでは対話の余地はなく拳を交えるしかないような状況である。せっかく出会うことの出来た転生者であるにも関わらす……。

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