49開脚目
壁にめり込んだままのエリザベスはそのまま意を決してドライアドの女王に問いかける。どうしても詳しくきかねばならないのだ。
「そそそそそそそそそそそそそそそその……オティ……ンポコレクションというのは男性のアレの事でしょうか……?」
意外とウブなエリザベス。頬を赤く染めて質問をする。
「まあだいだい正解ね。男そのもののことよ。だから歩くおちんちんとかでも正解よ」
なんだコイツと思わず突っ込みたくなるエリザベス。そんなにストレートに女王がおちんちんなどいってはいけないのではないだろうかと。
「歩くおちッ……んちんってなんだよッ! もっと他の言い方ないのか」
「んー……具体的な言い方をあえてするなら自立型エクスカリバー、探索式デュランダルなどがコレクションにあったわね」
質問をした自分が馬鹿だったと自覚したエリザベス。
「詰まる所あんたは男を集めていたと? そして転生者は男を取り合って争うと?」
「両方その通りよ。だからあなたを排除するわ」
「……ッ。いや……コレクション要らないんだけど」
「えッ……?」
「だから要らないんだけど……」
「うッ、うそよ! 男を欲しがらない転生者はいないわッ!」
「男を欲しがるってさ……転生者ってもしかして女のひとしかいないん?」
「何をいまさらいっているの。転生者は女性しかいないもの。それに全員前世で恵まれなかった喪女よ。男に飢えて飢えてしかたがないわ。イケメンを狩りに狩りまくったりするわ。前世の鬱憤を晴らすように……ね」
恵まれなかった過去が、前世がある。それならば現世において恵まれたいと思うのが道理である。かくいうエリザベスもこの世界でははっちゃけてしまっている。
しかし、転生者が全員恵まれなかった喪女というのは驚愕の事実だ。それに男を奪い合って争うとは、よほどの歴戦喪女たちなのだろうか。この世界にて彼女たちは心の内に抱えに抱えた不満、怒り、悲しみ、憎悪、嫉妬など外部に対するネガティブな感情を爆発させたのだ。その爆発のひとつが男の奪い合いだ。彼女たちは絶望的にモテることがなかった。そんな者たちが異世界と呼べるような場所にきてしまったら、抑圧されてきたものが溢れだしてしまうのだろう。
そんな喪女を刺激してはならないというのは社会の、いや、世界の常識である。決して「あなたも喪女だったのですか?」などと危険な発言をしてはならない。いきなり眼前のドライアドの女王が種族を変更したかのような形相になり、理性をなくし、襲いかかってくることだろう。
「あなたも喪女だったということですね、わかりますとも。俺だって……」
「きしゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああッ!」
言ってはならないということはある。しかし、エリザベスは空気を読まず、言ってしまったのだ。その途端、激しすぎる絶叫とともにドライアドの女王ムーンチルドを中心とした殺気が放たれた。その衝撃で部屋中に亀裂が走る。この部屋、建物が壊れんばかりなのだが、他の国々よりも珍しいこの建築物をもっと労わってほしいものだ。といってもエリザベスのせいでこうなってしまったのだが。
「……あれ、おれ、これなんかおかしくない? 俺、喪女じゃなくて……弱男だったんですけどおおおおおぉぉぉぉおおおおおおーッ!」
そうなのだ。ドライアドの女王いわく転生者は全員喪女のはずだ。それならば自分は何なのか? 疑問は尽きない。そのためもっとドライアドの女王と話す必要がある。
「きしゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああッ! おまえええぇぇぇええーッ、女だろうぐああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああーッ!」
「あ、そうだった! 納得!」
なんとか理性が残っていたと思われるドライアドの女王からいわれて納得するエリザベス。そういえば今は女の子であったことを思い出したのだ。まったくもっていまさらである。




