48開脚目
「えっ、あのどうかしました?」
挙動不審なエリザベスを心配する女王。
「……はッ! ご、ごめんなさいッ。陛下が美しく見惚れていました、おほほーッ」
女王の言葉になんとか意識がこちら側に戻って来て持ち直したエリザベスは気合で取り繕う。胸部に見惚れるのは性というものであり、許してほしい。
「まあ、お世辞が上手いのね。それとデュエルの腕前本当に見事でした。我が国の国技で我が国一のデュエリストを倒すとは……この国でデュエリストとして生きていきませんか?」
スカウト……それは有能人材を探し出し引き抜きを行うことだ。今回、この国にきたエリザベスがスカウトを行いにやってきたはずなのだが、逆にスカウトをされてしまった。
「え、いッ、いえ、こちらがドライアドを魔王軍へとスカウトにきたので誠に申し訳ないのですが……」
「やはりだめでしたか、無理を言ってしまってごめんなさいね。ただ、一応確認しておきたかったの。魔王軍の件は承りました……ただ無理強いは出来ないので国民に周知をして募集してみますね。あと、こちらもおききしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
「魔王軍のことありがとうございます、魔王様もお喜びになるかと。それで一体何をききたいのでしょうか?」
エリザベスがその質問をした瞬間、突如として眼前にドライアドの女王の拳が迫っていた。あまりにも速い拳である。
「!」
エリザベスはその拳をすんでのところで自らの手の平で受け止めた。速さだけではなくしっかりとした重さもあり、魔王や竜王でも無傷ではいられないほどの一撃であった。
「お見事です。今ので確信が持てました。それでは本題に入らせてもらいましょうか……あなたは転生者……ですね?」
ドライアドの女王ムーンチルドは拳をおろす。
「んッ!?」
思いがけない質問に目を剥き驚くエリザベス。
「そうなのですね? あなたの強さは常軌を逸したもの……わたくしの拳を受け止めるなど過去に魔王でも竜王でもそのような者をみたことはありませんもの。転生者以外考えられません」
「はい、あの……転生者を知っているんですか?」
そういえば自分は転生者だったなと思い出すエリザベス。気付いた時にはエリザベスになっていた。
「はい、こちらも転生者ですから存じていますよ」
「なッ! 転生者だからこんなにも国を発展させることが出来たってわけか(思った通りだったか……)」
「それでははじめましょうか?」
「なッ……なにをです?」
「決まっているじゃないですか、転生者は皆敵同士……つまり命の奪い合いですよ」
「えッ……」
転生者は皆敵同士なんてはじめてきいたエリザベス。
「さあ、いきますよ!」
再びムーンチルドの強烈な拳がエリザベスにに襲いかかる。先ほどよりもさらに重く強大な一撃だ。なんとか両手の平で受け止めようとするが重すぎたためか吹き飛ばされ部屋の壁にめり込んでしまうエリザベス。
「誰も戦うなんていってないのに酷いな。それに先ほどまで友好的だったじゃないか。そんなに転生者がいけないのか?」
「ええ。転生者は皆敵同士。出会った転生者皆殺し合いをしてきました」
「だからその理由はなんでだよ?」
「オティンポコレクションです」
「えッ……?」
なにかの間違いか。聞き間違いか。己の耳を疑うエリザベス。
「今なんと言った?」
もう一度確認するエリザベス。これは確認せねばなるまい。とても、とても重要なことなのだ。
「だからオティンポコレクションと言ったのよ」
壁にめり込んだまま両手で目を覆うエリザベス。聞き間違いだと思いたかったがそうではなかったようだ。どうやら本気でアレのようなのだ。このドライアド女王危険かもしれない。




