46開脚目
「なっ! なに余裕かまして笑ってんねんッ? そんな余裕ないやろがい! ふざけやがってからにッ!」
ぶちぎれるルナフレイムをまったく相手にすることなく自らのターンに入るエリザベス。
「俺のターン、ドローッ!」
「せいぜいその最後のドローを楽しんでもらいたいところやったが……【月光神アルテミス】のもうひとつの効果発動ッ! 相手がドローした時、相手の手札をすべて捨て場に送る。切り刻め〈ルナティック・レクイエム〉!」
無情にも手札をすべて失ったエリザベス。あまりにも無慈悲な展開ではあるがこのように狂った展開を可能とするのが神のカードである。元の世界ではこんなイカレタ性能のカードは間違いなく禁止カードだ。
そもそもこのびみょーに実体化するなぞシステムのせいでなんだかエリザベスはダメージを受けた気がするほうが問題のようで……なんとなく痛いのだ。
「ふッ……はっはっはっはっはーッ!」
笑いだすエリザベス。
「なんやおかしくなったんか? もうターン終了しかできへんやろ?(おかしい……あきらかに……こちらが勝っているはずなんやが……なぜこんなにも胸がざわつくんや……まるでこちらが追い詰められているようや……)」
手札もデッキもなにもかも破壊しつくしたはずのルナフレイム。しかし、エリザベスの底の知れなさを肌に感じ取っていた。
「まだ俺のターンは終了してないぜルナフレイム? そう焦るなよ? そんなに怖いのか?」
「ばッ……ばかいうなや! はったりやろッ?」
「捨て場から……効果発動ッ! 相手の効果によって手札から捨て場に送られたとき、捨て場からこのカードを特別召喚をする。あらわれろ【男爵マジシャン】! さらにその効果を発動、相手フィールド上のモンスター一体の攻撃力と同じ分を【男爵マジシャン】に追加する」
「あまいで! それで勝ったつもりかいな。【月光神アルテミス】は神以外の戦闘では破壊されないんや、はっはっはっ。無意味な攻撃力上昇やな。こちらの神より攻撃力が高くてもウチの体力を削り切ることもできへんで?」
勝利の笑みを浮かべるルナフレイムだが、エリザベスはすかさず、間を置かず、機会を逃さず追い打ちをかける。
「それはどうかな? 【男爵マジシャン】のもうひとつの効果を発動するぜ。特別召喚をしたターンの終了時まで相手プレイヤーに直接攻撃をすることができる」
「なん……だとッ!?」
これにはルナフレイムも驚きである。神は強大すぎるので神とは戦わないというエリザベスの策に驚愕した。
「だが、そんなイモっころがパワーアップしたところでまだウチの体力を削り切ることはできへんで?」
「なら捨て場から【二度揚げ】の効果発動!」
「なッ、また捨て場からやと!?」
ルナフレイムは神のカードの強さに溺れ失念していたことがある。それは捨て場からすら効果を発動できるカードが存在することだ。【二度揚げ】は捨て場からであってもそのデュエル中一度だけ効果を発動することが出来るカードだ。捨て場にこのカードを送ってくれたのはデッキも手札も破壊し尽くした他ならぬルナフレイムであった。
「その効果によりイモモンスターの攻撃はターン終了時まで倍化する」
【男爵マジシャン】はもちろんイモモンスターである。
「うそや……」
「いけッ【男爵マジシャン】! プレイヤーに直接攻撃ッ! えーとたしか〈アルティメット・フライドポテト・弐式〉ッ!」
「ぐひゃあーうまいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいッー!」
ルナフレイムは【男爵マジシャン】の攻撃によって実体化した大量の二度揚げされたポテトを口の中に詰め込まれ敗北した。




