33開脚目
ドライアド……それは男性のあこがれの存在。ドライアド……それは男性を狩る者。ドライアド……それは男性の天敵。
ドライアド……ドライア……ドライ……ドラ……ド……。
なぜドライアドが男性のあこがれなのか? それはとても美しいからだ。惚れてしまう。見惚れてしまう。虜となる。世の男性たちは一目会いたいと願っているあこがれの存在だ。
なぜ男性を狩る者なのか? その神に愛されたといわんばかりの美しい容姿をもってして男性を狂わせ誘惑し、木の中へと引きずり込んでしまうからだ。その後、男性は元いた場所へと帰ることは叶わぬという。木の中は時間の流れが違うとされ、仮に元いた場所に向かっても男性の知る人物は誰もいないなんてことがあるらしいのだ。ドライアドが長命種族ゆえの情報かも知れない。
なぜ男性の天敵なのか? 絶望的なまでに男性は相性が悪いのだ。敵対したとしてもその美しさゆえに男性たちは攻撃を躊躇ってしまう。男性からの攻撃を無効化するスキルを持っているのではないかと噂させるほどだ。
ドライアドの情報は美しさに偏ったものが多い。そして男に関連するものが多い。エリザベスはそんなドライアドに会いたくて震えていた。なにも振えるだけではない。すでに魔王の制止を振り切り向かっているのだ、ドライアドの元へ。
「ドライアド……間違いない、エッチなお姉さんに違いないわ。はあはあ、はよ会いたい……」
エリザベスは燃えている、萌えている。ゲーマーであれば、タマンネリアをプレイしていれば知っていて当然の存在である。ドライアドイベントそれは避けては通れない。魔王にどれほど仲間にするのは無理だといわれ止められようがこれだけはゆずれない願いだ。
しかし、魔王が止めるには明確な理由があった。
魔王自体がドライアドを仲間に引き入れることができなかったからである。魔王たる己自身が出来なかったことをいくら愛するエリザベスだからといってそう簡単には出来るとは思えなかったのだ。しかし、なぜ無理だったのかを濁され答えてはくれなかった。
それならば直接出向いてドライアドに聞くのが一番である。まあエリザベスがドライアドに会いたいだけなのだが。
「るん、るん、るーん!」
ご機嫌である。エリザベスは軽快かつリズミカルなスキップしながら森を散策していた。やはり心は躍らなければなるまい。エッチなお姉さん、それだけでご飯三杯いけるエリザベスならなおのこと。
こころも足取りも胸も何もかもを弾ませながらひたすら散策するエリザベスなのだが、いっこうにドライアドを見つけることができない。胸の弾み方凄すぎて、轟音をあたりにまき散らす。怖がってレベルの低いものはエリザベスの元に現れることはないだろう。その事実に気づくにはエリザベスにとってなかなかの時間を要する。
歩けど歩けど出会えない。もうドライアドの生息域に到着しているにも関わらず誰とも出会えない。エリザベスは明確に苛立ち、焦燥感を感じ始めていた。あれほど楽しみにしていたドライアドと
エンカウントできず血の涙を流しそうな勢いである。
「やっぱり無難にサキュバス、セイレーン、ハーピィを優先すべきだったか……」
虚しいひとりごとを呟く。エリザベスは他にも勧誘する種族に目星をつけていた。ドライアドがそれらよりも近くに住んでいたため最初に勧誘することとなったのだ。
「ぎりぎり、ぐぬぬッ! んっ?」
森の中歯ぎしりをしていたエリザベスだったが、とある違和感に気づいた。
「あれ、同じ所ぐるぐるしてない?」
目印をつけ迷わないように歩いてきたエリザベス。自分がつけた目印を見つけてしまったのだ。目印はイデアルの隕石の残骸につけたが御近所ゆえにこんなところにも飛んで来ていた。これにより同じ場所をなんども通らされていることを理解する。




