31開脚目
フィリアは捕まっているノロイを助け出すためにノロイが軟禁されている部屋に来た。しかし……あまりみたくない光景をフィリアはみることになる。わかっていたけれど、覚悟していたけれど、実際に眼前にしてみると生々しすぎる。
「あっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっアあっあっあっあっあっあっあっあーっ、勇者様ーッ、そこッ、そこです、あんあんあーッ」
ノロイ複数の女性たちとまぐあっていた。決してやましいものではない。それにはれっきとした理由がある。エリザベスに敗れ罰を受けているからだ。これが罰にみえないという者もいるだろうが、この国は男性の数が少なく子作りに励まなければいけない。人口減少で国が滅んでは話にならない。
この国だけではなく、他の国でも男性が減っており、勇者の優秀なあるいは希少な種を狙って他国からも女性が押し寄せるほどである。
勿論、他国の女性からはたんまりと『勇者と交わり税』が徴収され、この国をかなり支えてくれているのだ。勇者は魔王をいつまでも倒せずぽんこつ呼ばわりされることもあるが、その強さ、成長の伸びしろは流石は主人公といったところか。また、顔も悪くないのだ。女性たちが勇者を放っておいてはくれない。
「次はあたしよ!」
「いや私だから!」
「うるせーブスども! 勇者はこのザイガス様のものだッ!」
などと女性たちは勇者を取り合っている。
しかし、そんな女性たちのもとに真顔で突っ立ているフィリアが現れた。
「きゃーっ! 罪人フィリアよッ!」
「ひゃあああああああああーっ!」
女性たちはいきなりの有名連続殺人鬼の登場に慌てふためき部屋から離散していった。
しかし、そんななかたったひとりその場から去らなかった女性がいた。
「おいおい、大罪人フィリアさんじゃあねえかあー。こりゃ捕まえれば金がたんまり手に入るぜ。もちろん名誉もなあ」
去らなかった全裸の女性。それはザイガスである。ザイガスは冒険者であり粗野な言動も目立つがそれなりの腕をもっている。ザイガスは大斧と大剣を構えると一気に距離を詰めフィリアに連続で斬りかかった。
しかし、フィリアはその攻撃を全てひらりひらりとかわす。
「ちっくしょーッ! なんで当たらねーんだ!」
「ふっ」
「なっ、なん……だとッ!」
ザイガスは驚嘆した。フィリアが指一本でザイガスの自慢の大斧を止めてみせたからだ。自慢の怪力も大斧も通じず冷汗を流すザイガス。
「まだ続ける気? あたしは巷じゃ連続殺人鬼ってことになっているんだけれど、この後あなたがどうなるかわかる?」
そういうとフィリアは指一本で受け止めていた大きな斧を払いのけて、手のひらをこれでもかと広げてザイガスの顔面に掴みかかった。
「ぎいぃぃぃいやあああぁぁぁあああッ!」
圧倒的なまでの握力がザイガスに襲いかかり思わず悲鳴を上げるザイガス。ミシミシと音を立てて締め上げる。その快音が部屋中に響きわたりその悲惨さが如実に伝わってくる。
「そのへんにしたらどうだいフィリア? もう意識がないよその人。ザイガスは冒険者だけど一応貴族だしさ」
なんとザイガスは貴族の者らしい。冒険者かつ粗野だから気付きづらいが、いいところのお嬢様らしいのだ。しかし、だ。ザイガスの凄さは全裸でありながら武器を手に取り戦うことのできるお嬢様というところである。そんなお嬢様はなかなかいないだろう。
「ふんっ」
フィリアはノロイからザイガスのことをきくと、そのままザイガスをノロイの横に放り投げた。
「あらノロイ、助けに来たのずいぶんと楽しそうじゃない?」
「そっ、そんなことないさ。毎日辛かったよ、君に会えなくて」
すけこましのような天然ジゴロのようなことをいって難を逃れようとするノロイであった。
「全裸で、しかもこんなにガチガチにして他の女といた人にそんなこといわれても全く心に響かないわよ!」
「いや、あの、その、こっ、これは僕の刑罰でさあ? ほんと仕方がなく……ね?」
「ふーん?」
そういうとフィリアはノロイに近づき、ノロイの大切なアソコを握り始めた。
「ちょ、フィリア。いたっ、いたたたたたたたたたたたたたったたたたたったたたたっ!」
絶望的なまでに強力無比なフィリアの握力がノロイな大事なところに襲いかかり、ノロイが軟禁されている建物中にノロイの断末魔が響き渡った。
そのままフィリアにアソコを掴まれたままその場を脱出したノロイ。なんとかフィリアの潜伏しているアジトまで辿りついた。
そして開口一番ノロイはフィリアに重要な質問をした。
「フィリア、ところで君にはスキルや魔法を封印する手枷が付けられていたはず、どうやってそれを外してきたんだい?」
スキルや魔法が使えないとなればぐっと弱くなってしまうのは事実である。ステータスを上昇させる常時発動型のパッシブスキルさえ使えない状況である。それにフィリアは暗殺や隠密関連のスキルや魔法が得意故に手枷さえなければ簡単に追跡を巻くことが出来て逃走など容易となる。逆に外さなくては捕縛されてしまう可能性がどうしても高くなる。
「そ・れ・は・ね……?」
その手枷がある限りフィリアは逃走しきれないと思われていた。しかし、フィリアはその手枷を見事に外してみせたのだ。それはどうしてなのか、ノロイが気になったのは当然のことである。




