29開脚目
あの魔王対竜王の戦いから一週間が過ぎた。その一週間の内にリリィや魔王が破壊した魔王城は綺麗に修復された。
しかし、修復されたのは魔王城でありリリィの繊細な恋心は修復されることはなくあれから姿をみることはなかった。どこにいってしまったのだろうか。自暴自棄になっていなければいいのだが……。
この魔王城を去ってしまったのはリリィだけではない。多くの魔王軍関係者(兵士やメイドなど様々な者)が辞めてしまったのだ。いったいなぜやめてしまったのか、その答えは簡単であった。
魔王が女性であったからだ。それがあの戦いの一件で魔王はおっぱいぶるんぶるんッで女性だとばれてしまった。女性だとどうして魔王城に集った者たちが辞めてしまうかというと、集まった者たちがイケメンの魔王狙いの女性ばかりだったためだ。女性はイケメンが好きだということがはっきりとわかる現象であった。
あまりのショックに魔王軍の女性たちは暴れ出し、イデアルとエリザベスもその鎮圧を手伝わなければならないほどであった。そんな多くの女性たちに幾らかの金銭などの退職金を渡し、今の魔王軍は経済的にも困窮している。
この波乱の中心人物である魔王は、エリザベスが男性ではなく女性が好きであるということを知ってからというものぱっくりと胸元のあいた胸部を強調するような服を着て、オーバーにこれでもかというぐらい女性アピールをするようになってしまった。どうやらエリザベスに好かれたいようだ。
全く魔王軍を立て直す気がない魔王に呆れるエリザベス。
「ちょっと魔王さん! もう魔王軍四天王誰ひとり残ってないんですけどどうすんのよ?」
なんと魔王軍の四天王は全員いなくなってしまったのだ。それは必然であった。魔王軍四天王は全員女性であり、かつ、魔王様のことが好きだったのだから。愛おしい魔王が女性だと知ってショックを受けた四天王たちは漏れなく恋心が爆散したのだ。
「ふむ、いずれ帰ってくるだろう」
「こないとおもうんだけど……」
魔王は楽観的であるがエリザベスは懐疑的である。
そうして一日が過ぎた玉座の間、魔王は威風堂々と立派な椅子に座していた。
「四天王がだれひとりいないのでは示しがつかんというわけでな……そこで体制を刷新し新たな四天王を迎えることとした」
魔王は真四天王のことを考えたのだ。魔王軍四天王は武力の象徴でもある。それがひとりも存在しないのであれば、人間や他の魔王たちに付け込まれかねない。
「破壊のトカッ……申し子――竜王イデアル!」
「ん、ういー」
「殺戮プリンセス――姫騎士エリザベス!」
「は、はあ」
「火炎地獄の料理人――マスター!」
「え、あのわたし戦闘力ないんですけど、それにマスターじゃなくて料理長なんですけど」
「以上の三名が新たな四天王だッ!」
ドヤ顔をする魔王。しかし、四天王なのに三人しか人材を確保できなかった、なんとも情けない結果である。中核を担う人材が皆辞めたことによって、イデアル、エリザベスという部外者や、非戦闘員の料理長が四天王になるありさまだ。
果たして新生魔王軍はうまく立ち回ることが出来るのだろうか。




