表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/65

27開脚目

 M字開脚……それは魅惑の開脚。だが、それだけではただの開脚にすぎない。あくまでタマンネリアのエリザベスが行うことに意味があった。それはこのゲームとは違うような世界でも同じはずだった。


 魔王が習得するまでは……。


「どういうことだ、そんな……」


「先ほどいったであろう。まあわたしとエリーの愛の結晶といえよう」


 エリザベスのいないところで魔王によって勝手に愛の結晶にされてしまっていた。しかし、そんな回答で満足するイデアルではない。


『はっくしょんーッ!』


 勝手に愛の結晶にされてしまった張本人が魔王城でくしゃみをした。その事実を魔王たちは知る由もない。


「〈ドラゴン・ブレス〉」


 イデアルは休む暇を与えまいとさらにブレスを吐き出す。本来であれば魔王の体力が全てなくなってしまうほどの攻撃を連続で行う。


 しかし、魔王とて攻撃を受けるばかりではない。


「〈M字開連脚〉!」


 ブレスの火炎の中から飛び出し魔王の強烈な技がイデアルに直撃する。エリザベスを彷彿とさせるあの技である。この技によって魔王城上空ではなく、魔王城バリア外の山までイデアルは吹き飛ばされる。山に激突しようやく止まったイデアルの周りには大きなクレーターが出来ていた。


 魔王は愛の結晶だのなんだのいってはいるが、本人の努力で体得した業である。魔王はこの技のことを、エリザベスがノロイたちと戦った闘技場で生でみていたのだ。ばっちりとエリザベスの写真を手に入れるため闘技場に魔王本人がいたのだが、ラスボスを簡単に侵入を許す人間たちは平和ボケし過ぎと言わざるを得ない。侵入を許しただけではなくこうして危険すぎる技を習得させ、従来の魔王よりも遥かに強くしてしまったのだから……。


 凶悪な技――〈M字開連脚〉はゲーム上でバグ技であった。それも姫騎士エリザベスだけが発動できたものであり、さらにその発動難易度はとても高く廃人でも発動できるの者は一握りだ。そんな技をこの世界で魔王は発動することができるよう鍛え上げたのだ。魔王はこの技の無敵判定にも気付いておりイデアルの攻撃を防いでみせた。裏ボスの方がラスボスより強いというのが常であるが、ラスボスである魔王がこの技を習得したことによって勝利の女神がどちらに微笑むのかはわからなくなってしまっている。

 

 しかし、イデアルは気付いていた。


「お前は決して無敵ではない! ザベスほどの錬度じゃない!」


 M字開脚を軸とした〈M字開連脚〉は無敵の時間――いわゆるダメージを負わない時間があるのだが、その時間が魔王の場合少なくなっており、連続で〈M字開連脚〉を発動して常時無敵を装ってはいるが隙が存在する。連続発動を行える魔王はシンプルにすごいのだが負担があまりにも大きくミスも起こりやすくなる。


「ふっ、流石は竜王……か。こちらも無傷とはいかないか」


 ラスボスが裏ボスに対し「無傷とはいかないか」なんて通常であればイキがってるようにしかみえない台詞である。イデアルはレベルが200、対する魔王はレベル80だった、従来通りであれば……。


 技を習得している通りもう従来のレベルでもない魔王。闘技場でのエリザベスの姿をみて魔王は自らを鍛え直していたのだ。イデアルとの殴り合いでも引きを取らない状態になっていた。正直この状態の魔王に戦いを挑んでも勇者ノロイ達は皆殺しにあっていただろう。


「〈ディープ・メテオインパクト〉」


 イデアルの発動させた〈ディープ・メテオインパクト〉によって上空は隕石に覆い尽くされた。魔王城の真上(バリアの内側)で発動されていたら魔王城は跡かたもなく押し潰されていただろう。


「なんだこれは……」


 魔王は驚愕する。エリザベスはかつて難なく対処してみせたが空を覆うほどの隕石は絶望感をこれでもかというぐらい与えてくる。バリアがある魔王城は無事だろうが辺り一帯焦土と化すのは明白だろう。


「〈デモンズニードル〉!」


 魔王を中心として無数の螺旋状の黒い塊が出現する。それらが高速回転し、魔王の指示に従い隕石めがけて突っ込んでいく。隕石をいくつか破壊するほどの威力だが、隕石のサイズも数も規格外でこの技では対応しきれていない。


 ――くそっ、このままではこの星そのものにダメージがっ!


 魔王は魔王であるにも関わらずこの星を労ることができる優しい子なのだ。それに対し全く配慮せず攻撃を加えようとするイデアルは悪い子といったところではすまないほどだ。


「おいッ! 貴様ら何やってんだアァぁぁぁああああああっ!」


 緊迫した状況の最中、戦闘中のふたりに対し怒号を飛ばしながら高速で突っ込んでくる何者かが現れた。あまりのスピードにふたりは視認することが出来ない。


 そして、ふたりは気付いた時には頬に激し過ぎる痛みを感じ何百回も回転し、勢いを保ったまま頭から地面に突き刺さった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ