25開脚目
魔王はこれでもかというほどオーバーに全身痙攣していた。その痙攣はエリザベスによってもたらされたものであり、エリザベスの実力・スキルの前には我慢など無意味に等しく、魔王は何度も何度も絶頂を迎えた。ただ乳を揉まれているだけなのにだ。
次第に魔王は意識を快楽に蝕まれ遠のき始める。次第に喘ぎ声は減っていき仕舞には無反応となった。
――やっと果てたか、なんつー耐久力なんだよ、流石は魔王ってわけだ。今のうちにイデアルとここから逃げ出さないと!
この場から立ち去ろうとした瞬間エリザベスの腰に魔王のぐんぐん伸びるような腕が絡みついてくる。もう復活したのだこの魔王は。
「はあはあ、どちらにいかれる? まだ終わってないでしょう? はあはあ」
呼吸の荒い魔王。復活といっても限界に近いようにみえた。それでも必死にエリザベスに絡みつき纏わりつき食らいつき意地でも離さないつもりのようだ。
「ちょっ、あんたしつこいわ、もうへろへろじゃない! あきらめなさいよ!」
「いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだッ!」
魔王は駄々をこね始める。そこにはかつてあったであろう威厳は微塵も感じられなかった。そんな魔王を見ていられないエリザベスだが、なにより部屋が気持ち悪いので何としても部屋を脱出したいのである。
そんな状況下で来訪者が現れた。
「なっ! なにこの部屋……気持ち悪ッ!」
来訪者のひとりはこの部屋のあまりの気持ち悪さにストレートな言葉を紡ぐ。そんな言葉を選んでしまったのは必然と言っていいだろう、何しろ本当に気持ち悪いのだから。
「な、なぜここにきたリリィ、この部屋には近づくなといったはずだが!? なんだその手に持っている鍵はッ? 合い鍵でも作ったというのかこのストーカーめっ!」
来訪者の正体、それはリリィであった。魔王はあらかじめ近づかないよう立ち入らないよう念押ししていたようだがそれでもリリィは来てしまったようだ。この部屋は誰にも見られるわけにはいかないものだったのに。まあエリザベスには先に見られてしまっているのだが。
リリィは大好きな魔王のことをより一層知りたくて合い鍵を作りこの部屋に侵入してきた。そんなリリィを魔王はストーカー呼ばわりするのだが……。
「いや、おまえにだけは言われてくなくね? 我、おまえのほうがストーカーにしかみえないけど? 部屋中にザベスの写真とかきもッ」
リリィのとなりにはイデアルもいた。リリィがひとりでこの場所に来るには心細かったのかもしれない。イデアルははっきりと魔王をストーカー呼ばわりする。それに対してピキッと血管が切れたような音が魔王から発せられた。
「聞き捨てならんな竜王、いやトカゲっ! わたしのこの部屋のどこが気持ち悪いというのだ?」
魔王はそういうと立ち上がりイデアルとリリィの眼前にまで迫る。
「う、嘘……魔王様、そ、それなに……?」
リリィは魔王が立ち上がって近づいてきたことでようやく真実に気付くことができた。思わず指差して質問してしまうリリィ。
「これか? わたしのおっぱいだが?」
「ま、魔王様……女性だったの?」
「うむ、そうだ」
「いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああっ!」
リリィはたまらず絶叫した。自らの好意を向けていた人の性別が女性だと知って。ずっと男だと思って疑うことなどなかった。そもそも魔王がイケメンすぎるから女性の部下たちがワンチャン狙ってゾロゾロと魔王軍に入ってきていたのに、魔王はそのことをまったく知らない。
そのままリリィは背を向け勢いよく走りだした。そうしてドアをぶち破り、魔王城のありとあらゆる壁という壁をぶち破り城外へと旅立っていった。なんというフィジカル、恋する乙女の力である。それは失恋の時にさえ大いなる力となる。
回り出した歯車も走り出したリリィも誰にも止められない。




