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23開脚目

 タマンネリアのゲーム上で明かされることがなかった最大級の謎を期せずして解き明かしてしまった名探偵エリザベス。なんだか自分のせいで争いになっているみたいなので心が痛む。それにだ、なんかもっと壮大なものを勝手にイメージしているファンが多いわけで内容的には肩透かしである。


 だが、心を痛めていたり放心状態でいてよい場合ではないのが今の状況だ。


 まずこの部屋が気持ち悪すぎるのだ。部屋中エリザベスの写真で満たされており、よく見れば他にもエリザベスフィギア、エリザベスクッション、エリザベスぬいぐるみ、エリザベスマグカップ、エリザベス……ときりがない。


 なんとかこの状況から抜け出そうと脳を高速回転させるエリザベス。


 その結果、エリザベスはようやく本題を忘れてしまっていることを思い出す。そう、イデアルのことだ。


「そそそそれよりイデアルの様子がおかしいのはあなたのせいだってもうばれているんだからねっ! イデアルを元に戻してよっ!」


 鎌を掛けてみるエリザベス。何より話題を逸らしたいのだ。


「ふははははははははっ、流石はいとしのエリーっ、正解だ!  奴の食事に常時ドラゴンパウダーを混ぜ異常を引き起こし続けたのだ。聡明すぎるっ、愛しているっ、結婚しようっ!」


 聡明すぎるの後はきこえないふりを全力でするエリザベス。ドラゴンパウダーってなんやねんと問いたくなるエリザベスだがやはりそれどころではない。ゲーム上にはなかったものなので本当は気になってしょうがない……だがここから抜け出すのが先だ。


「イデアルに意地悪をするような方のところにはもういれないわ、さよならーっ」


 そのまま魔王の腕たちからしゃがんで抜け出そうとするエリザベスなのだが……。


「ひゃーっ!」


 エリザベスは思わず悲鳴を上げる。


 それは無理のないことだ。なぜなら視界が移り変わりいきなり天井が見えたからだ。しかし、その天井にもエリザベスの写真が張り巡らされている。


「おぉ、なんと愛らしいお声だ……」


 感嘆とする魔王。しかし、感嘆とされても嬉しくないエリザベス。そもそも悲鳴を上げた原因が魔王なのだから。


「ちょっ、まっ、まってっ、降ろしてーッ!」


 エリザベスの視界が天井へと移り変わったのは魔王にお姫様抱っこされていたからである。リアルお姫様がお姫様抱っこされているのだ。


「なにをいうか。わたしの愛を最後の最後まで余すことなく受け入れてくれるためにここにきてくれたのであろう」


 魔王はそう告げると姫騎士エリザベスを抱えたままとある方向へと向かってゆっくりとそれでいて力強く歩きだした。エリザベスはその方向へと顔を向け表情が凍りついた。


 表情が凍りつくにはそれなりの理由が必要なわけだが、エリザベスは魔王が向かっている方向にあるものがあったからこそ表情が凍りついたのだ。


「アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛アネ゛デパミ゛」


 エリザベスはジタバタしながらしきりに謎の呪文を唱え始める。


「暴れるほど嬉しいのですな」


 魔王は破顔している。エリザベスと心が通じ合っていると勝手に思い込んでいる魔王はまさにストーカーの鑑である。


 そうこうしているうちに魔王は目的の場所に辿りつきエリザベスをその場所へと優しく降ろした。


 魔王がエリザベスを降ろした場所それは……ベッドである。降ろされた瞬間のエリザベスはすぐさまその場所から逃れようとするのだが、これまたぐんぐん伸びているようにみえる魔王の腕に行手を阻まれてしまう。


 このベッドの上にはエリザベス等身大抱き枕まであって魔王の気持ち悪さに拍車がかかる。


 そんななかエリザベスに対しマウントポジションを取った魔王はエリザベスの髪のにおいを嗅ぎはじめる。


「くんかくんか……んはーっ! たまらんーっ!」


 ご満悦の魔王と顔が青ざめていくエリザベス、対称的な二人である。


「おれ、わ、わたしは女の子が好きなので、ご、ごめなさいっ!」


「なっ……なん、だ、と……」


 魔王は困惑したのだろう、エリザベスの百合です攻撃に。これで諦めてくれるに違いないと思うエリザベス。だが、思惑は外れることとなる。


「……ふっ……ははっはっはっはっはっはっ! やはりわたしは神に愛されていたのだ。これで何の憂いもなくひとつになることができる!」


「きえええええええええーいっ、しゃーっ!」


 魔王のその言葉でついに今まで耐えてきた気持ち悪さに押し潰されたエリザベスは野獣のごとく爪でひっかく攻撃をしてしまう。


「えええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇえっー!」


 エリザベスは目玉が飛び出してしまいそうなほど驚いた、それ故の絶叫だ。自らの攻撃で起こった事象にエリザベスのあたまではなかなか理解が追いつかなかった。


 それは仕方のないことであった。イケメンで知られるあの魔王の胸部にはたわわに実った二つの果実があったのだから……。

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