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2開脚目

「姫様、姫様! どうかお目覚めください!」


 綺麗な声、それでいて必死な叫びが聞こえる。


「おぉ、姫様がお目覚めになったぞ!」


 龍二が目を覚ますとメイドやら騎士たちが大喜びで騒ぎ始める。メイドや騎士たちは作り物にみえるほど美しく、皆女性である。周りを見渡せば見たことのない豪華な一室にいることがわかった。


「何なんだよ、お前たちは?」


 自分が姫と呼ばれていることに気づく龍二。


「どうやら姫様は勇者にふられたショックで混乱しているようですな」


 甲冑姿の騎士のひとりが発言した。姫も騎士ゆえ仲が良かった者と思われる。


「だから何を言っているんだ!」


「鏡を御覧になってください姫様」


 メイドに差し出された鏡を恐る恐る覗き込んで龍二は驚愕する。


「そんな……」


 鏡に映し出されていたのは龍二の顔ではなく、タマンネリアのキャラクター──エリザベスだった。


「フィリア・トゥリアンダとかいう女盗賊に勇者様を寝盗られたのがここまでショック──」


「──もうそれは言わないでください!」


 騎士とメイドたちが言い争いを始め、龍二は現状を理解した。


 男性がこの場にいないのは、ここがタマンネリアの世界であり、男女比が大きく偏っているためである。また、タマンネリアの人々は年齢を重ねても皆若々しく美しい。この世界の人はたいてい最も優れた容姿のときに見た目の成長が止まるのである。どこぞのスーパーヤサイピーポーに近いといえる。

 周りの美しい者たち、そして何より己がエリザベスになっていることから別世界に来てしまったことを悟りかける。


「お前たちには俺が何に見える?」


 龍二はストレートに質問をぶつけた。


「おぉ、なんてことだ、姫様が俺っ子になってしまわれた」


 この騎士のひとりの回答により、姫になってしまっていることを確信する他なくなる。


「俺は勇者ノロイ・ラジコンにふられたんだな?」


「はい、勇者ノロイにはフィリア・トゥリアンダという恋人ができてしまっていて……」


 この出来事はゲームにおいて姫騎士が勇者にふられパーティから追放されたところにあたる。


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