19開脚目
邪悪な笑みを一瞬浮かべたエリザベスだが、その決定的瞬間を見逃してしまったのはリリィ。しかし、リリィが部屋を去った後、その決定的瞬間を目撃した者が現れた。
「きししーっ、ザベスちゃん、随分とあの娘と仲が良いんだね……」
その人物は天井から現れたのだ。また様子が変わってしまったあの人物である。魔王城の天井は一体どうなっているのだろうか。
「いっ、イデアルじゃない、なんでそんなところから顔を出しているの?」
ごもっともな質問をストレートにぶつけるエリザベス。質問をぶつける以外の選択肢は思いつかないほど驚いているのだ。
「きししーっ、そんなこと決まっているじゃない? あなたをずっと見ていたからよ……きししーっ!」
「ひぃっ!」
イデアルは目の下どころか周りに隈ができており不健康そうな顔になっていた。口からは血を垂れ流し呪詛のように何かを呟いていた……がエリザベスには聞き取れなかった。
「我という者がおりながら、あんな淫乱娘に現を抜かすとは……きしーっきしーっ!」
イデアルは奇声を発し藻掻き苦しんでいるようにみえた。なにか耐え難い苦痛を受けたような表情だ。
「いっ、イデアルとも仲良しなんだからっ」
「ふーんっ、じゃあ証明してよっ、我を見捨てないでよ、我を愛してよおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおっ! おうおうおおおぉぉぉぉおおおーっ!」
イデアルの様子がおかしくなっている。そう、今度はヤンデレのようだ。リリィに嫉妬したり、エリザベスに見捨てられないか不安になったり情緒不安定だ。
「どーどーっ、愛してる愛してるから落ち着いてっ」
「だから証明してっていってるじゃないっ! ぐらあああああぁぁぁぁぁぁぁあああっ!」
イデアルの激しい咆哮が部屋中に響き渡る。イデアルの咆哮に耐えきれず部屋のシャンデリア、花瓶、窓ガラスが派手に壊れ吹き飛んでしまう。これがドラゴンの力なのだろか。それともヤンデレパワーなのだろうか。
「……い、いったいどのように証明すればよいの?」
証明、証明といっても何が証明になるのかさっぱりわからないエリザベスはそれを問う。
「あの変態娘にしようとしてたこと……我にしてよっ! してよおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおっ!」
「え? そんなことで良いの? むしろこちらから頼みたいくらいよ! うぇるかーむっ!」
「そっ……そんな……ウソだ、我は信じないぞっ」
「ウソじゃないよ! 本当なんだからっ、ほらっ?」
ぎゅーっとイデアルを抱き締めるエリザベス。イデアルはエリザベスに抱き締められ、優しく包まれ、次第に強張っていた表情は優しいものへと変化していき、安心したのか眠りへと落ちる。
「すー、すー、すー」
寝息も愛らしいイデアル。それをお姫様であるエリザベスが直々にお姫様抱っこしてベッドに運んであげる。
そのままエリザベスもイデアルが眠るベッドに侵入し、抱き締めて一緒に眠ろうとする。律儀にイデアルとの約束を果たしてあげるのだ。
しかし、イデアルには何も知る由もなかった。先ほどの『あの変態娘にしようとしてたこと』をまったく知らないのだ。それなのにイデアルはエリザベスに対してそれをするように強請ってしまった。
「えへへーっ、イデちゃんたらまったくもうっ」
エリザベスの声は甘ったるく、そしていやらしいものだ。
「そーれ、さわさわ、もみもみーっ」
イデアルが眠っていることをいいことに、その全身を触りまくるエリザベス。合法である。なんといっても合法なのだ。約束までした。ひたすらに触りまくる。一心不乱にタッチ、そこにタッチ、あそこにタッチ。そして触っていない場所、揉んでいない場所がなくなったころだ。
「いっ、イデアルって案外おおきいのね……」
何がなどと無粋なことは言わないエリザベス。
「さてと、あったまってきたわ……そろそろイデアルの味を確かめるとしますか」
ついに来てしまった、その瞬間が。美味しくいただかれる時が。
「んあっ、んあっ、んああああぁぁぁぁぁぁあああっ!」
イデアルのやたらと艶っぽい喘ぎ声がその夜、鳴り響いた。




