15開脚目
あれからというもの何日にも渡り魔王城にて、お・も・て・な・し……が行われた。ある日はコカトリスの唐揚げ、ある日はクラーケンの串焼き、ある日はシャイニング・ダークネス・ベアー入りのカレー、ある日はバジリスクの蒲焼き、ある日はグリフォン入りのシチュー、ある日は……、ある日は……、ある日は……、と名物料理をこれでもかと食べさせてもらったエリザベスとイデアル。いつだってお腹はパンパンだった。
「ね゛え゛、ざべふー」
「ちょ、どうしたのイデアル……なんかいつもと違わない?」
「ぞん゛な゛ごどな゛い゛」
「え、いや、だって、ほら……ねっ? 違うよ?」
「え゛?」
「自分の姿を良く見て」
イデアルに鏡を差し出すエリザベス。その鏡に映る姿を凝視したイデアルはようやく事の重大さに気付くことが出来た。まさに重さ大である。
「で、でがい゛」
そう……イデアルは太りきっていた。そんなイデアルは事実に直面したことで放心状態だ。
「そ、そんなときはダイエットよ」
「だい゛え゛っど?」
「そう、食事制限したり運動したりさ」
「い゛や゛ーっ゛」
肥満体型は意地でも運動しない場合が多かったりする。それに食事制限も嫌がったりする。その例にもれずイデアルは激しく拒絶する。
「そんなことじゃ他の竜王に笑われちゃうぞ?」
「な゛っ! ……がむ゛ばる゛」
エリザベスの言葉によってようやくダイエットをする覚悟ができたようだ。
そして数日間に及ぶ激しくダイエットが行われた結果……。
スタイリッシュな姿になった渦中の人物は、これまたスタイリッシュに紅茶を嗜んでいた。
「ザベスおはよ」
「お、おはよ……」
「どうかしたのザベス」
「いや、なんていうかさ……」
「もう変なザベスねっ」
「いや……変なのは……イデアルの方だよ……」
「えっ、なにを言うのザベスったら、おかしいんだから。オホホ」
そう、イデアルは少女漫画から飛び出してきた作画とキャラになってしまったのだ。スタイリッシュ力を極めすぎたせいでエレガント力も急上昇し、今の姿……形態になった。
愛らしさを脱皮し、美しさに到達したフォームである。
「い……イデアル話し方いつもと違わない?」
「え、わたくしはいつも通りですわ」
もうこの話し方が違うのだがイデアルはそのことに全く気づいていない。原型をとどめていないというか別キャラ・別人である。
「ほ……ほら、だってね? わかるよね? わざとだって言ってよ?」
「わたくしこれからテニスですの。忙しいのでごきげんよう。オホホホホホホホッ!」
――いやーっ! だから誰なんだきみはーっ!。
衝撃的過ぎてエリザベスの心は荒れ狂っていた。
イデアルの去った部屋でぽつりとひとりになったエリザベス。どうすればよいのかひたすら思案していた。しかし、どれほど考えてもこたえがみつからない。
「わかった、これだ、これしかない」
ついに考えがまとまったようだ。独り言をつぶやいたエリザベスには確かな自信が見て取れた。




