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14開脚目

 それからイデアルは魔王の宝物庫・武器庫に入りいろいろと物色し始める。お宝に関してはかなりの目利きだ。ドラゴンは宝に関する嗅覚は凄まじく鋭敏だ。


「これじゃない、これでもない……」


 次々と自らの求めるお宝を選別していくのだが、なかなか目ぼしいものがみつからない。


「ちょっとイデちゃんどんなのがほしいの?」


「びりびりっと、ぱりぱりっとくるやつ」


 イデアルの言葉はあまりにもエリザベスには難しかった。


「難解だな……」


 暫くイデアルはひたすら選別し続けてようやくその時はきた。


「みつけた……」


「なにこれ……」


 思わず不思議がるエリザベスだが、それもそのはず、お宝と呼ぶにはあまりにも古ぼけた見た目をしていたのだ。


「スーパードラゴンリング」


「全然知らないんだけど」


「どらごんのみ装備可能のサイズフリーなすんごいリング」


「どんな効果あるの?」


「攻撃力2倍」


「そんなのイデアルが付けたらゲームバランス崩壊よ」


「がちゃりんこ」

 

 エリザベスの忠告も聞かずに早速はめてしまうイデアル。表情は満足気だ。満たされたというのがこれでもかと伝わってくる。

 エリザベスの知らないそのリングはドラゴン専用アイテムであり、ゲームタマンネリアには登場しなかった。勇者パーティにはドラゴンの仲間が存在しないからだ。ドラゴンの仲間が存在しなければデータ上も必要ないのだから無理もない。

 その他にもいろんなものをたんまりともらってご満悦のイデアル。人間ならば遊んで暮らせるだろうというほどだ。


「よし、じゃあそろそろ次に行こうか」


「うむ」


「ちょ、ちょっと待ってほしい」


 お暇させていただこうとした瞬間、魔王に引き留められるエリザベスとイデアル。


「どしたんじゃー魔王?」


 威厳があまりないが威厳を保とうとしたそんな不思議な返事をするイデアル。宝に満足してしまって表情が緩んでしまっている。


「せ、せっかくきてくれたのだ、おもてなしさせていただきたい」


なんと魔王様がジャパニーズお・も・て・な・しをしてくれるというのだ。まあ、ジャパニーズではなのだろうが。


「んー、たらふく馳走になったからいらん」


 否定するイデアル。


「魔王城名物コカトリスの唐揚げをまだ召し上がっていないのでは?」


「なっ! ごくりんりんっ!」


 コカトリスの唐揚げは魅力的すぎて唾液が大量分泌されてしまい唾を飲むイデアル。食べたいというのが率直な感想だろう。ドラゴンのお腹はブラックホールのよう。いくらでも食べられるのだ。


「先ほど大量のコカトリスを倒したの報告があったので、竜王様のお腹も満たせるはず」


 キリッとした表情になったかと思えば子犬のようなつぶらな瞳でエリザベスを見つめてくるイデアル。明らかに唐揚げが食べたいようだ。


「いただいていきましょうか、イデちゃん」


「わんっ。魔王よ、我は唐揚げを所望する」


 わんじゃねえよと思わずツッコミそうになるエリザベスであった。


「よしっ」


 魔王がガッツポーズをして何かをつぶやいた気がしたが、難聴系主人公になってしまったかのようなエリザベスには聞き取ることができなかった。しかし、魔王が何かを企んでいるような気がして身構えているエリザベスなのであった。


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