12開脚目
タマンネリアには無数の伏線が鏤められおり物語を盛り上げてくれた。しかし、回収されなった伏線もありファンの間では考察が何度も何度も繰り返し行われた。こういった考察の余地を残すことも人気作品には欠かせない要素だ。
謎が残ったままのゲーム……タマンネリア。そのなかでも最大クラスの謎といえば……魔王側と人間側とがどういう理由で対立して戦争状態になってしまったかということだ。あくまで人間側の言い分では魔王側が一方的に戦争をしかけてきたことになってはいる。ゲームの中心・中核を担うであろう戦争、その理由を魔王に尋ねようとエリザベスは考えていたのだ。
魔王に連れられた魔王の自室に連れてこられたエリザベス。魔王だからといって禍々しい部屋に住んでいるわけではなく、小奇麗な女性の部屋やオフィスの一室といった印象を受ける部屋であった。その部屋には他の部屋へと通じるドアがありそこの部屋にベッドなどがあるのだろうか。今いる部屋があまりにも生活空間っぽくないから勝手にそう思うエリザベス。
「なぜ姫騎士……人間であるあなたがここに? どのような用件でここに来た?」
魔王からの先制パンチがお見舞いされた。対面で質問されているだけなのに冷汗をかくエリザベス。必死に言葉を考えるのだが、「魔王を倒しに来た」などとは非常に言いづらいのだ。なにか思惑があって助けてくれたのかもしれないが、助けてくれた人にはとても言いづらいことだ。
「私は女王から不甲斐ない勇者の代わりとして魔王討伐するように命じられ、魔王城までやってきたはいいが、バリアに挟まってしまいあのような醜態を晒してしまっていた。貴殿に助けてもらった以上こちらは負けたも当然であって戦う意思はない。ただ、こちらに一緒に来た仲間は宝を欲しており、できることならこちらの宝と交換してほしい。」
なんとかカタコトにならず姫騎士っぽく話すことが出来た気がしたエリザベス。けっこうありのままを伝えることが出来た気がするのだ。魔王討伐を命じられたのも事実だし、イデアルがお宝を欲しがっているのも事実だ。最初は魔王倒してお宝奪ってしまうつもりでいたが今は違う。
無断で魔王城に侵入し殺されても文句も言えないような状況で交渉をもちかけるのがエリザベスである。
「ふむ……理解した。良いだろう、そちらの宝とは?」
「これだ、勇者たちが装備できる最強クラスの武器や防具だ」
その武器や防具はイデアルのところに置いてあったものばかりだ。ラスボスより強い奴がいるところに置いてあるものなのだから強いものばかりであり、この世界の人々にとってはとんでもない価値のあるものばかりだが、あの替えの利かない魔剣一振り手元に置いておけばあとは大変ではあるが代替可能だったりする。
「なんだとっ? これほどのものを良いのか?」
「もちろんだ。私が装備できないものが多いし、こちらが無理をお願いしているのだから。ただ、こちらが交換してもらう宝は仲間に選ばせてやってほしい」
「良いだろう。それであなたがここに来た理由はわかったが、こちらに尋ねたいこととは一体なんだろうか? こたえられる範囲で良ければ教えよう」
「ありがとうございます。では……なぜ魔王殿は人間たちと争っているのか? その理由を教えていただきたい」
「ふむ……それはこたえられな……いや、話そう。……恩人が虐げられていて見て見ぬふりはしていられなかった。私怨というやつかもしれないが、特にあの女王は許すことはできない」
タマンネリアの謎の一つが解けた。最初は答えないつもりだったのかもしれないが話してくれたのは本当にありがたいことだ。ゲーマーとして真実を知ることが出来たこの瞬間の高揚感は素晴らしいものであり、かけがえのない体験である。
しかし、まだまだ謎はたくさん存在する。そのいくつかは魔王との会話によって解明していけるものと思われる。
一方、イデアルはというと……。
「がぶがぶがぶ、もきゅもきゅもきゅ、ごくりんりんっ!」




