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11開脚目

 ゲームタマンネリアの魔王は人気ランキング上位にいるほどの大人気キャラクターである。人気が出る要素としてはなんといってもその美しさである。ゲーム中随一の美形キャラクターとして描かれているだけあって女性ファンも多かった。

 また、謎の多い人物であり人々を惹きつける。そんなミステリアスで見目麗しい彼と、壁ならぬバリアに挟まってしまったエリザベスは出会ってしまった。


「……エリ、ザベス」


 想定外のことが起こった。魔王はエリザベスを知っていたのだ。エリザベスの名を呼んだ魔王の声は高く美しく透き通るような声であり聞いているだけで心地よくなる。その美声によって別世界に連れ去られそうになったエリザベスはなんとか我に返り、無謀とも思えるお願いをする。


「おれ……私、姫騎士エリザベスと知っているの? 訳あって挟まっているが助けていただけないだろうか」


 自分から挟まっておいてこれを言うことが出来るのがエリザベスクオリティである。そもそも身体を透過させれば抜け出せるだろうが、あえてそうしないのには理由がある。


「はっ、今助ける」


 再度想定外のことが起こってしまった。なんと、なにやらハッとした魔王が助けてくれるというのだ。早速腕を引っ張ってくれている。


「んーっ、んーっ、んーっ!」


 抜けない。イケメンラスボスパワーをもってしても抜けない。ぴったりとおしりがはまってしまっている。


「す、すみません、あの、おしりのほうから押してもらえませんか?」


 申し訳なさそうに敬語で魔王にお願いするエリザベス。


「えっ、しかし、女性の臀部を押すというのは……」


「打てる手はすべて打つのが俺……私流なのだっ!」


 恥じらう魔王だがもうこれしか考えられすエリザベスは再度頼む、頼む、頼む。


「……了解した」


なんとか了承してくれた魔王は、魔王城のバリアの外側――おしり側に行き姫騎士エリザベスのぷるんぷるんなおしりを……。


「ひゃんっ!」


 エリザベスは思わず大きな声を出してしまった。それもそのはずだ。超高速でおしりを撫でまわされた気がしたからだ。確実にその感覚はあった。なんというテクニックだ、あっちの方も魔王に違いないと思うエリザベス。

しかし、助けてもらう立場上あまり強く出ることが出来ない。そもそも人間側と敵対しているため、不審な人間の女がいたら有無を言わさず始末するか、それとも先に情報を聞き出すのが妥当といえるだろう。それをしないのは女騎士の役目があるからかもしれない。

 エリザベスは恐る恐る魔王の方を確認すると、破顔した魔王が存在した。なんとも厭らしいねっとりとした表情をしたラスボスが……だ。


「あのー……」


 愛と勇気と気合でその魔王の姿は見なかったこととしたエリザベス。英断である。愛と勇気ぐらいしか友達が存在しないどこか寂しいどこぞのアンパンの化物にはできない芸当である。


「はっ! すすすすすすすすすすすまない、今押す」


「は、はあ……んーっんーっ、あっ!」


 魔王の協力のおかげによってなんとかすぽーんと抜けだすことができたエリザベス。


「助かった、ありがとう……ございます、では俺……私はここで……あいたっ」


 エリザベスはバリアから抜け出したのですぐさまここから立ち去ろうとするのだが大きな大きな誤算があった。


「あ、バリアの内側だ……」


 そうバリアの内側にいるのだ。これではエリザベスは魔王城から脱出できず帰ることができない。魔王は普通にバリアの外側からおしりを撫で……押し終えて内側に入って来た。


「あの、ここから出してもらえませんか?」


 姫様の愛と勇気と気合、そしてそれらに根性を足してひねり出した言葉である。これでおしりに夢中な思春期真っ盛りのような魔王もイチコロのはずだ。微妙にかわいこぶって言ってみた。


「それはならんっ、事情を訊かねばならない」


 そう言うと魔王はエリザベスをお姫様抱っこしながら魔王城内へと連れていくのであった。本物のお姫様を、姫騎士をお姫様抱っこするとは流石はイケメンである。すっかりと破顔した表情ではなくいつもの顔つきに戻っていた。

 事情を訊くとは当然のことである。しかし、ワンチャンスル―してくれるのではという期待が姫にはあったのだが上手くはいかなかった。でも姫にも尋ねたいことがあるのも事実である。それはタマンネリアの謎に関わることだ。〈スリップスルー〉を使わずにいた甲斐がある。


「こちらもあなたに尋ねたいことがあるのだ」


 タマンネリアのあまりにも大きすぎた謎についてだ。


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