プロローグ 反撃の狼煙
「いよいよだな」
「うん」
俺達の人生を歪めた連中が揃っている。
幼馴染で今や朝ドラ女優の怜。
俺の彼女を寝取ったモデルの富田。
一角初華を貶めたアイドル、斎賀カナ。
そしてその先に君臨する俺の家族。
役者は全員ここにいる。準備も、裏取りも、情報操作も計画に抜かりはない。ここに至るまでアイツらの嫌がらせや妨害、スキャンダルのネタを集めるパパラッチ共の弊害はあったが何とか乗り越えてきた。
裏方の俺ができるのはここまで。あとはコイツの背中を押してやることしかできない。
「準備はできたか?初華」
「私を誰だと思ってるの。最強アイドル、一角初華よ?準備バッチリに決まってるじゃない」
照明ゼロの暗幕の中、俺の目を見て離さない彼女の瞳からは確かな覚悟が伝わった。このライブに全てを賭けて————いや違う。コイツはライブに特別な何かを賭けたことなどない。一つ一つのライブに全身全霊で挑み、最高のファンサを届ける。一角初華にとってはただそれだけに過ぎなかった。
「それじゃいつものちょーだい?」
「あいっよ!!」
周囲に乾いた音が響き渡ると同時に、開演のブザーが鳴り始める。
「今まで俺たちに散々迷惑かけてきたアイツら全員の度肝、ぶち抜いてこい」
「ふふっ、いつも通り行こっか。私たちらしく」
ステージに向かう初華。
この時のお前ほど頼もしい奴は居ないよ。
————舞台は整った、さぁいこうか。
「俺たちの人生の、反撃開始だ!!」