エピローグ
【☆★おしらせ★☆】
あとがきにとても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでいただけると嬉しいです……!
王国北部に広がるヒゾル森林。
その最深部に開かれた<異界の扉>より、天獄八鬼ヴァルトラが姿を現す。
(……よし、追手の気配はねぇな。どうやらちゃんと撒けたようだ)
本当ならば、安全な外界まで一気に飛びたいところなのだが……。
彼の魔力量では、そこまでの長距離転移はできない。
<異界の扉>は接続距離が伸びれば伸びるほど、必要とする魔力が雪だるま式に膨れ上がっていく。
ルナのような『射程無限の瞬間移動』は、彼女の持つ『無尽蔵の魔力』があってこその神業だ。
(とりあえず、移動するか)
ひとまずの安全を確保したヴァルトラは、重い体を引き摺って歩き始める。
<異界の扉>で飛んだとはいえ、深い森の中とはいえ、ここはまだ人族の生息圏内。
自然の洞窟か獣の巣穴か、どこでもいいから身を隠す場所が必要だ。
青々と茂る草葉を踏み分けながら、魔王のもとへ<交信>を飛ばす。
「ちっ……さすがに届かねぇか」
聖女の転生体の正体をすぐにでも伝えんと思ったのだが……。
魔王城は外界の果てにあり、とても接続できる距離ではない。
彼は思念による通話を諦め、別の原始的な手段を取る。
「――<召喚>」
自身の使役する魔獣『獄炎蟲』をメッセンジャーとして呼び出し、『聖女の転生体はサール・コ・レイトン』と記した羊皮紙を渡す。
「おら、行け」
「キィー!」
主の命を受けた獄炎蟲は、魔王城の方角へ飛んでいく。
これで最低限の役割は果たした。
後は<魔力探知不可>を維持したまま、体力と魔力が回復するまで身を隠し、魔王城へ帰るのみ。
無事に一仕事を終えたヴァルトラが、長い息を吐くと同時、
「……っ」
腹部に焼けるような痛みを覚えた。
そこはサルコの放った<風神の破斬>が、最も深く抉った場所だ。
裂傷それ自体は、既に回復魔法で治してあるのだが……。
聖女の清らかな魔力は、魔族に対して絶対的な効果を発揮する。
神聖な魔力の残滓は、今も尚ヴァルトラの肉を焼き、ジクジクとした鈍い痛みを与えていた。
「くそが……っ。サール・コ・レイトン、次こそは絶対に殺してやる……ッ」
奥歯をグッと噛み締め、憎悪の炎を滾らせたそのとき、
「――サルコさんに何か御用ですか?」
鈴を転がしたような美声が、静かな森に凛と響く。
「……ッ」
細胞が跳び跳ねた。
心臓を鷲掴みにされたような衝撃が全身を貫き、粘ついた脂汗が背を伝う。
(……ば、馬鹿な……ッ)
忘れるわけがない。
聞き違うわけがない。
自分を殺した人間の声を。
ヴァルトラがゆっくり振り返るとそこには、月明かりに照らされた少女が立っていた。
透き通るような白銀の髪・どこまでも澄んだ空色の瞳・雪のように白い肌、世界が呼吸を忘れるような絶世の美少女。
「……聖女、ルナ……!?」
その姿はまさに瓜二つ。
まるで三百年前から、時を超えて来たかのようだった。
(……そうか、そういうことか……っ)
このとき、ヴァルトラは全てを理解する。
サール・コ・レイトンは、聖女の魔力が埋め込まれた『撒き餌』。
聖女ルナはそれを安全な場所から観察し、罠に掛かった者へ腹心を差し向け――始末する。
自分はまんまとそれに引っ掛かり、ゼルから手痛い反撃を受けたうえ、魔王に誤情報まで送ってしまった。
手のひらで転がされていることに強い苛立ちを覚えるが、今はそれどころではない。
(何故だ、どうして俺がこの森へ飛ぶとわかった!?)
<異界の扉>で飛ぶ際、<魔力探知不可>で魔力を消した。追跡対策は万全のはず。
それにもかかわらず、聖女はヒゾル森林へ先回りしていた。
「てめぇ……いったいどこまで読んでいやがる!?」
聖女はゆっくりと右手をあげ、まるで世界を掌握しているかのように微笑む。
「――全て」
「ぐ……っ」
傲慢極まりない発言だが、しかし、否定できなかった。
何せ、聖女ルナは『死の象徴』。
大魔王さえも屠る、正真正銘の化物。
遍く総てを掌握していたとしても、なんらおかしな話ではない。
口内が不快なほどに渇き、不規則な鼓動が胸を打つ中、ヴァルトラは狂ったように嗤い散らす。
「は、はは、はははははははは……! 魔王様から聞いているぞ! てめぇはつい最近、転生したばっかりだってなァ!? 転生による劣化、著しい魔力と膂力の衰退! 今の聖女にかつての力はないッ!」
自分を奮い立たせるように大声を張り、一切の躊躇なく奥の手を切る。
「――<祖龍降臨>!」
龍の血に秘められたこの魔法は、偉大な祖龍の力を一時的に借り受ける、ヴァルトラの切り札だ。
「ぅ、ぐ、ぉおおおおおおおお……!」
全身の筋肉が大きく膨張し、翼には凶悪な棘が生え揃い、龍鱗に臙脂の燐光が宿る。
龍化を遂げたヴァルトラは、森羅万象を焼き焦がす『炎獄の王』。
三百年前、彼はこの力を振るい、一夜にして小国を墜とした。
「ふははははっ! 見よ、これが龍人の力だ! ――<焦熱之環>!」
ヴァルトラが右手を正面に突き出すと、ルナを取り囲むようにして、八つの巨大な炎塊が出現。
「消し炭となれッ!」
禍々しく揺れる紅蓮の炎塊は、聖女を焼殺せんと収束。
八つの太陽が押し迫る中――ルナは爪先を僅かに浮かせ、軽くトンッと地面を踏んだ。
その瞬間、大地は激しく鳴動し、嵐のような衝撃波が吹き荒れた。
<焦熱之環>は掻き消され、木々は根元から折れ、大地はめくれ上がる。
「ぐっ、ぉ……ッ」
ヴァルトラはみっともなく四つん這いになり、まるで平伏するかのような姿勢で、暴力的な衝撃波を必死に耐え忍ぶ。
足踏み一つ。
たったそれだけで、最上位魔法を無力化した聖女は、氷のような視線を向ける。
「かつての力が、どうかしましたか?」
「……っ」
脳裏をよぎるは敗北の記憶。
見下された。
二度も。
踏み躙られた。
上位種族の誇りが。
耐え難き屈辱。
許し難き侮辱。
ヴァルトラの頭が沸騰する。
「こ、の……龍人ヴァルトラを舐めるなぁああああああああ……!」
両の翼をはためかせ、音の速度に乗った彼は、全魔力を右腕に注ぎ込み、渾身の拳打を放つ。
「死ねぇ!」
激しい轟音が響き、血肉の華が咲く。
爆ぜたのは、龍人の右腕。
ヴァルトラが放った生涯最高の一撃は、聖女が無意識に垂れ流している魔力さえ、貫くことができなかった。
「……はは、化物め……」
刹那、白く細い右腕が龍人の顔面を打ち抜き、山を砕いたかのような凄まじい轟音が森中に響く。
かつてヴァルトラと呼ばれた肉塊は、地面と平行にどこまでも飛び続け、巨木に五体を打ち付ける形で停止。
(……なに、が……起こった……?)
理解できなかった。
殴られたのか、蹴られたのか、それとも魔法による攻撃を受けたのか。
気付いたときには、途轍もない衝撃に撃ち抜かれ、派手に吹き飛んでいた。
奇妙な浮遊感が全身を包む中、朦朧とする意識を支配下に置き、瞳を動かして現状を確認する。
(……なんだ、これは……?)
擦り切れた四肢は碌に動かず、胸部には大きな風穴が空いている。
聖女の軽いジャブにより、肉体の99%が死滅。
最上位種族の再生力も、回復魔法も碌に機能しない。
明滅する視界の中、絶望がゆっくりとやってくる。
白い化物。
三百年前から何一つとして変わらない、世界最強の生物。
「……何か言い遺すことはありませんか?」
末期の言葉を問われたヴァルトラは、どこまでも真っ直ぐな瞳で笑う。
「はっ……吠え面かきやがれ」
次の瞬間、彼の心臓部に真紅の魔法陣が浮かび上がった。
「――<召喚>ッ!」
自身の生命力を魔力に変換し、十万匹の獄炎蟲を召喚する。
彼は優先した。
己が命ではなく、魔族の未来を。
聖女ルナの情報を持ち帰るという選択を取ったのだ。
「これは……っ」
大量の蟲が作り出した、ほんの僅かな隙。
ヴァルトラはこれを利用し、自身の記憶を羊皮紙に念写する。
『聖女ルナは転生した。かつての力をそのままに』
先ほどの誤報を訂正し、真実を記したそれを、一匹の獄炎蟲に喰わせた。
「行げぇ゛ッ!」
主の命令を受け、十万の大群は一斉に羽ばたき、魔王城へ飛び立つ。
「へ、へへ……ざまぁ、見やが、れ……!」
全てを出し尽くしたヴァルトラは、舌を出して挑発し、光る粒子となって消えていく。
そんな彼が最後に見た光景は――暴虐。
十万を超える獄炎蟲が全て、素手で握り殺されていく地獄絵図。
(あぁ……間違いない、アレは本物だ。最悪が転生しちまった……っ)
ヴァルトラは絶望に心を折られながら、二度目の死を迎えるのだった。
■
天獄八鬼ヴァルトラの死滅より遡ること三分。
「――よし、ここまで来れば、もう大丈夫」
ニルヴァが指揮を執る参謀本部が、ヴァルトラ討伐に熱をあげる中、ルナは「ちょっとトイレ」と言って抜け出し――<異界の扉>を展開。王城からほどほどに近く、人気のなさそうなヒゾル森林へ飛んだ。
「……誰もいない、よね?」
キョロキョロと周囲を見回し、きちんと誰もいないことを確認してから、プレートアーマーを脱ぐ。
「ふはぁ……。ほんと大変な一日だった……」
午前は武闘会に出場・午後は聖女バレ対策に奔走・夜になれば国王と会食、やっと解放されたかと思えば、秘密基地のような参謀本部へ連行され――隙を見て脱出。
朝から晩まで、息を衝く間もなかった。
「向こうは、もう終わったかな?」
天獄八鬼の件については、頼れる腹心に一任している。
ゼルは強い。
レオナード教国で再会したときの――羽がボロボロに傷んだ状態ならばともかく、あそこまで艶を取り戻した彼ならば、天獄八鬼に後れを取ることはないだろう。
「もう夜も遅いし、早いところ帰ろっと」
<異界の扉>を再展開し、聖女学院へ飛ぼうとしたそのとき――ズシンズシンという大きな足音が聞こえてきた。
(……誰か来る……?)
近くの木陰に身を潜めることしばし、目の前を手負いの龍人が通過した。
(あれは確か、天獄八鬼バ、バ……そう、ババロア)
正しくは天獄八鬼ヴァルトラ。
(右腕がポロリしてる……。ゼルにやられて逃げてきた、って感じかな?)
ルナがそんな分析をしていると、
「くそが……っ。サール・コ・レイトン、次こそは絶対に殺してやる……ッ」
ヴァルトラの顔が憎悪に歪み、怨嗟の言葉を口にする。
(むむっ)
大切な友達へ殺意を向ける魔族、さすがにこれは見過ごせない。
彼女は最後に一仕事すべく、木陰から姿を現した。
「――サルコさんに何か御用ですか?」
「……聖女、ルナ……!?」
驚愕に瞳を揺らしたヴァルトラは、少し黙り込んだ後、悔しそうにグッと奥歯を噛み締める。
「てめぇ……いったいどこまで読んでいやがる!?」
瞬間、ルナの脳裏に電撃が走った。
(こ、これは……!?)
ヴァルトラが口にしたその台詞は、最近読んだ悪役令嬢の小説に出て来たものと全く同じだった。
千載一遇の『悪役令嬢ムーブチャンス』。
(ふぅー……)
昂る気持ちをなんとか鎮め、口角がつり上がるのを必死に抑えながら、あくまでもクールにかっこよく右手をあげる。
「――全て」
既に小説で予習を済ませているため、いい感じの言葉が自然と口を衝いて出た。
(さぁ、これにどう返す!?)
ルナのパスを受けたヴァルトラの回答は、
「は、はは、はははははははは……! 魔王様から聞いているぞ! てめぇはつい最近、転生したばっかりだってなァ!? 転生による劣化、著しい魔力と膂力の衰退! 今の聖女にかつての力はないッ!」
(ひゃ、百点満点……っ)
敵役Aとして、最高級のものだった。
(くぅ~……ッ)
ルナは興奮のあまり奇声を発しそうになるが、クールビューティを志す彼女は、鋼の意思で平静を保つ。
その後、ヴァルトラが見栄え重視の火魔法を使ってきたので、足踏みで華麗に無力化し――とっておきの決め台詞を放つ。
「かつての力がどうかしましたか?」
氷のような冷たい目・絶望に暮れる龍人・月明かりに照らされた情景、まるで小説に出て来そうな一幕だ。
(ふ、ふふ……ふふふふふふ……っ)
夢見心地なルナはしかし、すぐに現実へ引き戻される。
「……えっ……?」
小手調べに軽いジャブを打ったところ、敵役Aがとんでもない速度で吹き飛んで行ったのだ。
大慌てで追い掛けるとそこには、息も絶え絶えとなった瀕死の龍人が一匹。
(そ……そん、な……っ)
愕然とした。
魔族の回復力を以ってしても、あれはもう助からない。
せっかく掴んだ悪役令嬢チャンスが、指の隙間からサラサラと零れ落ちていく。
(そ、そうだ、私が回復魔法を使えば……!)
一瞬、そんな考えが脳裏をよぎったけれど……ギリギリのところで踏み留まった。
無理矢理に作られた悪役令嬢ムーブは所詮『養殖』。
人の手が加わったことで、ぎこちなさや不自然さが出てしまう。
ルナが望むのは『天然』、自然に生み出された至高の悪役令嬢ムーブだ。
命の尊さと儚さを噛み締めた彼女は、一縷の望みに賭けて、問いを投げる。
「……何か言い遺すことはありませんか?」
ヴァルトラは驚くほど弱いが、『わかっている側』の魔族だ。
この状況でも、何か悪役令嬢的な返答をしてくれるかもしれない。
せめてもう少しだけ、この夢のような時間に浸っていたかった。
しかし、現実は残酷だ。
「はっ……吠え面かきやがれ」
ヴァルトラは自らの命を魔力に換え、大量の獄炎蟲を召喚。
そのうちの一匹に羊皮紙を食わせ、どこかへ向かわせた。
(あれは……ダイイングメッセージ)
中身はおそらく、聖女ルナに関する記述だろう。
名残惜しい気持ちはあるが、悪役令嬢ムーブはこれにて幕引き。
聖女バレを防ぐため、迅速に行動を開始する。
「――これでよしっと」
十万匹の獄炎蟲を殲滅したルナは、ホッと安堵の息をつく。
手元の羊皮紙には、ヴァルトラが遺した最期のメッセージ。
その内容は、予想通りのものだった。
『聖女ルナは転生した。かつての力をそのままに』
もしもこれが魔王軍の手に渡れば、面倒なことになっていただろう。
「情報漏洩には気を付けないとね」
火の魔法で羊皮紙を燃やし、聖女バレの危機を完全に脱する。
現状、魔王軍にはサール・コ・レイトン=聖女の転生体という誤情報が、驚異的な速度で拡散しているのだが……そんなことは知る由もない。
そうして残業を終えたルナは、月明かりを背にしたまま、万感の思いを込めて呟く。
「……よかった……さっきのはとてもよかった」
噛み締めるように咀嚼し、ゆっくりと反芻する。
【てめぇ……いったいどこまで読んでいやがる!?】
【――全て】
【今の聖女にかつての力はないッ!】
【かつての力が、どうかしましたか?】
絶対的強者のポジションを取ったまま、相手を蹂躙する悪役令嬢ムーブ。
『台詞』と『シチュエーション』は申し分なかった。
惜しむらくはただ一つ、『関係性』がイマイチだ。
聖女と天獄八鬼では、どうしても聖女ムーブ色が出てしまい、悪役令嬢味に欠けてしまう。
自分は貴族令嬢。
相手は王族か貴族のような特権階級が望ましい。
「でも……いい感じだった」
心に去来するは、得も言われぬ充足感。
現代に転生して初めて覚える『悪役令嬢的実感』。
これまで地道に積み重ねてきた『イマジナリー悪役令嬢ムーブ』が、今日この日やっと芽吹いた。
ルナの悪役令嬢レベルは、ほんの少しずつだが、確実に上昇しているのだ。
「ふ、ふふふっ、ふふふふふふ……っ」
かつてないほど上機嫌なルナは、不気味な微笑みを浮かべながら、深夜の森を歩き回り――あっという間に迷子完成。
数時間後、夜通しルナを捜し回っていたローから、こんこんとお説教を受けるのだった。
■
天獄八鬼の襲撃から一夜明け、聖女学院は休校となった。
それもそのはず、バダムとヴァルトラの激闘の余波を受け、本校舎や学校設備は半壊。
王国最大手の建築組合が、既に改修工事を始めているけれど……。
優秀な魔法士と高価な魔道具をフルに活用しても、再建には最低一週間と掛かる見込みだ。
そうして思わぬ形でフリーな時間を手にした聖女様は、朝一番にゼルのログハウスへ飛び、アホ毛をピンピンに立たせたまま、興奮収まらぬといった様子で語る。
「それでね! それでね! 天獄八鬼のババロアが『てめぇ……いったいどこまで読んでいやがる!?』って聞いて来たから、私は優雅に右手を挙げてこう答えたの! 『――全て』……どう、かっこよくない!?」
「さすがは聖女様、まさに悪役令嬢然とした凛々しい立ち振る舞いかと」
「でしょっ!」
このやり取りは、既に三回目となるのだが……。
ゼルは嫌そうな顔一つせず、穏やかな笑みで聞いていた。
(ふふっ、本当に楽しそうでおられる)
嬉しそうなルナの姿を見るのが、彼自身どうしようもなく幸せだった。
これでは主と従者ではなく、元気な孫娘と優しいお爺ちゃんだろう。
「ときに聖女様、会食ではどのようなお話を?」
「あっ、そうそう。なんかマグナスっていう王様が出て来てさ、小難しい話をされたんだよね。確か、アイリス姫の後見人に――」
ルナがそこまで口にしたところで、コンコンコンとノックの音が響く。
「むっ、聖女様」
「うん、わかってる」
ルナは流れるようにクローゼットへイン。
アホ毛がきちんと収納されていることを確認したゼルは、玄関の扉を開ける。
するとそこには、純白の修道服に身を包んだ女性が立っていた。
柔らかな微笑みを浮かべた彼女は、深々とお辞儀をし、ゆっくりと頭をあげる。
「ゼル様、お初にお目に掛かります。私は聖女教の祭司ツェリィ・ランドール。教皇が是非、シルバー様と直接お話がしたいと――」
「――どうぞお引き取りください」
ゼルはにこやかな笑顔のまま、超高速で扉を閉め、固く厳重に施錠するのだった。
【※読者の皆様へ、大切なお知らせ】
第6部はこれにて完結!
第7部は……まさかの聖女教編!?
「第7部が、続きが読みたい!」
「第6部も面白かった! 続きの執筆もよろしく!」
「聖女様の物語を、活躍をもっと見たい!」
ほんの少しでもそう思ってくれた方は、この下にあるポイント評価欄を【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】にして、『ポイント評価』をお願いします。
ポイント評価は『小説執筆』の『大きな原動力』になりますので、どうか何卒よろしくお願いいたします。
最後になりますが、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
第7部は2週間後――6月9日に連載開始予定!
私が第7部の書き溜めを作っている間、読者の皆様には、昨日ついに発売した本作の書籍版第1巻を読んでもらえると嬉しいです!
書籍版には三百年前の聖女パーティの冒険譚が、2万字を超える特大ボリュームで収録されており、きっと楽しんでいただけると思います!
商業の世界では「何冊売れたのか?」が全てなので、聖女様の物語が人気になってアニメ化の夢を掴めるよう、応援・後押しをしていただけると嬉しいです!
↓広告の下あたりに【☆☆☆☆☆】欄があります!




