春が逃げた
春が 噴水に向かって 走ってきた。
春 というのは アイドルグループ
「ラーフィングリー」の メンバーである。
僕を そこらへんの
キモヲタ
と一緒にして欲しくない。
イベント の日には
しっかりと
朝 お風呂に入り
今時の大学生らしい 服装を着こなす。
イベント会場 には
2時間前 に到着
イベント開始まで
あくまでも 一般人 を装う。
ここまでは序の口だ。
勝負は
イベントが開始後。
僕はおもむろに席を立ち
携帯をいじりながら
あくまでも
友人 との待ち合わせを演出する。
そして
なんか 知らないアイドルが 歌ってんなー
と
覗き込む。
へー
友達待つ間 暇だから
観とくか。
と壁に寄り掛かる。
この動作を キョドり ながら
時間をかけ 行う。
なぜこんなことをいちいちするのか。
知り合い に 会った時
おっ! 池袋よった帰りなんだー おまえは どうしたん?
てな 感じで
爽やかに 切り抜けるだめだ。
しかし そんな
僕の 画期的 な計画も
通用しない場面が 毎回 訪れる。
そう。
握手会だ。
握手会では
爽やか一般人 から 爽やかファン
への切り替えだ。
僕は 初めに言ったように
キモヲタ ではない。
なので
ループなど
アイドルに負担をかけるようなことは
一切しない。
何食わぬ顔で
CDを一枚買い。
一枚の握手券 をもらい
ポーカーフェイス で列に並ぶ。
そろそろ 僕 の番だ。
今回こそは 爽やか笑顔で
今日も可愛いね。
と言うことに決めている。
心の中で 30回 以上は練習した
そんな 長い 言葉ではない。
街中イベントの 超高速 握手会
でも 通用するだろう。
きっと
春 も
ありがとうございます!!!
と 笑顔をみせてくれるだろう
間違いない。
グループの メンバーは
1列に並び 順番に握手を行なっている。
2番目の 春 に 全集中をした。
!!!
僕 きょぅ●×△ヵぁぃ○
メンバーA ???????????・・・
僕 ・・・
春 ありがとうございます
僕 ・・・
メンバーB
僕 ・・・
メンバーC
僕 ・・・
メンバーD
僕 ・・・
メンバーE
今回は
あまりのメンバーの可愛さで
また。
頭が真っ白になってしまっただけだ。
次こそは
成功する。
次の イベント を待つのみだ。
僕は キモヲタ ではない。
また ひとり帰路につく。