3話 新しい世界ちょっと楽しみじゃねーか!
申請書も無事書き終えた俺は、今おっさんにからかわれている。
「お前さん、妹が欲しかったのか?」
小馬鹿にした口調で俺に言ってきた。
「ああ!文句あんのかよ!?」
「いや、お前さん妹フェチなんじゃな、しかも幼なじみであろう名前を付けておるとは…」
「るっせー!てか妹フェチってなんだ!」
このおっさんうぜえ……てかなんで知ってんだよ!別にアイツのこと好きとかそういうのは……
そんなことを思ってると、申請書は消えていった。
「ああ!!消えた!?」
「お前さん反応がいちいち耳に来るんじゃよ…申請書出しただけじゃて。」
耳穴をほじりながらおっさんはそういうと、あともう少し待ってなさいと言うもんだからこの天界とやらをぶらぶらすることにした。
いやなんもねーけどな?何もしないよりかはいいだろ。
「あ、ちなみになんじゃが。」
そう言っておっさんは近づく。
「新しい世界ではあまり能力を使うな、お前さんは転生とはいえど魂に生まれ持った魔力がついておる、だから詠唱するだけで魔力が発揮されるこの世界の魔術を無闇につかうんじゃないぞ。」
「なんでだよ、つまんねーじゃん。」
「次の世界じゃ人間は魔力を持たないみたいじゃぞ。」
は?魔力を持たない?
「待て、じゃあ魔物相手に何で戦えってんだ!…まあ体術は別に苦手じゃねーけどよ。」
授業じゃろくに体術はやらなかったが、それなりに戦えるはず、そう思っていたら、
「魔物なんておらんわい、平和そのものじゃ。」
……つまんねえええ!!
「おい、それじゃ能力なんてほとんど意味ないじゃん!」
「そうじゃ、魔力を持たなければ魔道具を作る必要も無い、だから自然の力やカガク…とか言ったかな、そんな力を使ってモノづくりしておる世界なんじゃ。」
なんだか、想像つかねーな。
まあ、痛い思いしない優しい世界なら、腹一杯のご飯に、毎日が休みのように自由で、女の子も……うへへ、いいんじゃね?
「お、申請書が通ったみたいじゃ、そんじゃあお前さんとは短い付き合いだったが、また死ぬんじゃないぞ?次会うのはわしが天国に居る時じゃ。」
「いや死なせたのアンタだろ!」
ていうか、おっさんもキチンと死ぬんだな。
天国に居る時とか、アンタ神だからそうそう会えねーだろうし。
そんなこと思っていると、俺の体が光に包まれた。
「…この者に神の加護があらんことを!」