Prologue 3 天宮リョウ
『そ、それで私、どうすれば、、、』
困惑するミヤコに斉木は伝える。
『今のビデオはもちろんテロに値する。しかし無視できない人類の敵であるとも言える。そのためアメリカを始めとする列強各国はすでに対抗策として、自国のエリートを揃えて準備に取り掛かっている。我々も遅れを取るわけにはいかない。そこでー
『ちょっと待ってください!私にそんなの、、第一無理ですよ!それならもっと適任の人がいるんじゃないでしょうか、えー例えば、、』
『落ち着きなさい。何も君に任せるとは言っていない。君にはサポート役に回ってもらいたい。』
『サポート?』
『そうだ。我々日本で対抗できる人間はおそらく3人ほどしか確認されていない。うち一人は多忙なため現在は海外。もう一人は変わり者ゆえに交渉は慎重にならねばならない。そしてもう一人は刑務所にいる感情欠落人間』
『そ、それで私は誰のサポートに,,?』
『3人目だ』
『ー!』
一番ありえないと思いつつ、どこか一番可能性があるのかと思ってしまっていた3人目。公安の自分が犯罪者となんてと、思考が廻るうちに話は展開していく。
『そこで、いきなりだが彼にきてもらっている。入りなさい。』
再びゲートが開き、手錠で両腕を一つにされた一人の男が黒スーツの男に連れられて入ってくる。
身長は180cmほど長く伸びた髪で顔はよく見えない。服はシンプルなヨレヨレの白無地のTシャツ。肌は白く、雰囲気から生気は感じられない。
『彼が、天宮リョウだ。』
天宮は静かに顔を上げた。
ミヤコは彼の顔を見つめていた。
初めて見る天宮の目から、一切の生きるエネルギーは感じられない。しかしその黒は深く、そのそこには確実に何かがあると、ミヤコは確信していた。
斉木が何かを自分に説明している。しかし声は届かない。天宮のその目からミヤコは目を離せない。
見つめ合うミヤコと天宮の二人の空間に音はなかった。
ミヤコは知りたいと思った。彼がなぜ犯罪者になったのか、感情が欠落したのかを。 どんな犯罪をしたのかも、本当に感情がないのかも、何も彼女は知らないのに