雨の日の思い出
主人公:小森 奏
同じクラスの男子:山野 尊
君との思い出は雨の日から始まったんだよ・・・。
あー雨降って来ちゃった・・・。
どうしようかなぁ。小降りになるまで待とうかなぁ。
学校の玄関で私は1人立ち尽くしていた。
今日は日直だったから、帰るの遅くなっちゃって傘にいれてくれる友達もいない・・・。
「小森、傘ねーの?」
「山野・・・今日忘れちゃって・・・」
「これ、使っていーよ。」
山野は玄関にある傘立てから黒い傘を出して渡してきた。
「でも山野が濡れちゃうじゃん!」
「俺、折り畳み持ってるから。」
んっとさらに私の近くに差し出された傘を受けとる。
「ありがとう。じゃあ、借りてくね!」
私が傘を取ろうと手を伸ばしてあと少しで傘に届く所で、ガシャンと傘が落ちた。
「あ、ごめん。ちゃんと取れなくて。」
「いや、俺の手が滑っただけだから。」
ゴンっっ!
慌てて2人してしゃがんで傘を取ろうとして、お互いの頭にぶつかる。
「いた!」「いって!」
「わりぃ。」「こっちこそ。」
2人で頭を押さえて、バチっと目があったらお互い笑えてヘラっとする。
「あ、小森・・・」「山野ーなにやってんだ!休憩終わりだぞー!!」
「あ、やべ!じゃあな!」そういって走り去ろうとする山野の背中に
「ありがとうー!」ともう一度お礼を言ったら
振り向いてニカっと笑い手を振って走って行った。
君が傘を貸してくれた日・・・私が君を意識しだした日・・・。
でも翌日、君は風邪を引いて学校を休んだんだよね。同じ部活の子が傘ないから走って帰っていったって言うの聞いたよ。
風邪引いて凄く心配だったけど、どうして自分の分の傘を貸してくれたのか気になってドキドキしちゃったよ。
1週間休んで、学校に来た君に聞いたら真っ赤になって言ってくれたね。
「好きだから・・・。」
その時、天気雨が降り始めたんだよね。
中庭の近くの屋根があるところで、雨宿りしながら私の気持ちも言ったんだ。
「私も好き・・・」
そしたら、雨が上がって虹が出て、なんだか君との事を祝福してもらえてるようだった。
君と過ごした時間はかけがえのないものだったよ。なんでかデートはよく雨になっちゃったけど、それも私達らしくていいねって2人で笑ったね。
あんなに大好きだったのに距離って難しいんだね・・・。
君は東京の大学に行っちゃった。
君との気持ちの距離が段々実際の距離と同じになって行くのが辛かったな・・・。
大喧嘩した日は台風だった・・・。
風も雨も凄くてまるで私達のように外も荒れていた・・・。
翌日、台風が過ぎて外は晴れたけど私の心は台風と一緒に持っていかれちゃった・・・。
大人になっても雨が降ると一瞬だけ君を思い出しちゃうんだよ。
「あ、天気雨・・・」虹・・・見えるかな。




