1話 「謎のシャコ変化。すっごくじみ」
近頃俺は怒ってしまうと拳が甲殻類のシャコになる。
なぜって聞かれても分からん。
朝の通勤の時には、拳で自分が吹き飛んで電車から出されて一人置いて行かれたしな。
「おい。なんじゃお前」
一人で熟考しているところ誰かに肩を当ててしまったようだ。
「すみません」
「なんだお前? 調子乗ってんじゃねぇぞオラ」
謝っても許してくれない。めんどくさい人に遭ったものだ。
「肩を当てて本当に申し訳ないと思ってます」
「お前さ、誰に肩パンしたと思ってやがる」
「はぁ?」
あっいけない。我慢しないと……。感情が上がると
すぐ手がでてしまう。血気盛んとよく言われるな。
「さっきからなにやってんのお前? 殺されてぇのか」
チンピラに耐え切れなくなり思わず俺の手は戦いを好んでしまった。
だが、当たったような感覚はなく後ろを見ると避けられていたようだ。
「お前もうしばき決定な。殺す」
もう一度拳を振ろうとすると振りかざした衝撃で俺は光に包まれる。
瞬きをすると5メートルほど離れたところに着地していた。
「何がおこったんだ……」
手からは湯気が立ち込め、右肩の骨が痛い。
さらに、チンピラに肩を当ててしまったようで見事な4回転トウループが決まったようだ。