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人生初の修羅場











何だ…あれ








怖い恐いコワイこわい、こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい


俺の思考はその姿を視界に捉えた瞬間、黒く恐怖に塗りつぶされた


「な、んだよ…あれ…」


その時


「ーーーーーーー」


あまりにも唐突な、それでいて強烈な恐怖で腰が抜けてしまった俺に対して『誰か』が何かを呟いた


すると幾ばくか恐怖が和らいだ


感謝を述べたかもわからないまま


意識の覚醒もままならないまま


俺はその『誰か』の手を取り全力で逃げた


取るべき行動は一つ、城から出ること


不幸中の幸いか、あの巨大な魔物は何かを探すように城を壊し続けていた


振り返らないようただひたすらに走る


城の中から狼の魔物が咆哮を上げ飛びかかってきた


「グラァァァァァァッ!」


「オラァァァァァァ!!!!」


俺は『誰か』を庇いながら、狂ったように狼の魔物を殴り殺した


逃げて逃げて逃げて逃げて殴って殺して逃げて逃げて逃げて逃げて殴って殴って殴って殴って殺して殺して殺して殺して逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて殴って殺して殴って殴って殴って殺して逃げて殴って殺して逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて



逃げて



逃げて



逃げて



脳内で何かが響いているが、そんなのを気にしていられる場合じゃ無い



城の門を出て街に入った俺の目に入ってきたのは、人々が虫のような禍々しい魔物や、動物の形をした魔物に襲われている光景だった


文字通り阿鼻叫喚としか言いようがなかった


甚振るように人々が殺されていく凄惨な光景に吐き気が込み上げてきた


立ち止まっている暇は無い


蛇の魔物が牙をむいて襲いかかって来る




名前:-

年齢:18

種族:魔物/ブラッドリースネーク

称号:同族殺し 狡猾なる狩人 死毒の調合師

職業:-

レベル:46

HP:2600

MP:260

筋力:459

敏捷:653

知能:63

防御:350

器用:21

運:12

スキル:吸血   レベル:4

    熱感知  レベル:MAX(10)

    毒生成  レベル:MAX(10)

    硬化   レベル:6

    隠密   レベル:8

適正属性:大地

装備:-



頭が冷えてきだお陰か、とっさに鑑定を発動することが出来たが、これはヤバイ


ステータスでなら勝っているが、戦闘経験の差がある事と毒生成スキルの効果の程度がわからないせいで勝てる気がしない


どうすればいい?


考えている暇はなかった、すぐにブラッドリースネークが飛びかかって来る


いくら筋力があろうとも、いくら攻撃力が高かろうとも、当たらなければ意味がない


後ろにいる『誰か』は腰が抜けてへたり込んでしまっている


くそっ!このまま状況も良く分からないまま終わっちまうのか!、折角の異世界だったのに!


あー、いっぺん魔法とか使ってみたかったなぁ


この蛇も何気に大地魔法使えるみたいだし


こいつが使える大地魔法ってどんなのなんだろ、土の壁作れたりすんのかな


いいなぁ、付与スキルでそれっぽい壁作れたりしねぇのかなぁ・・・・・・




超精密付与発動『付与』-隆起 形状変化:直方体[縦0,5m×横2m×高さ3m] 硬化[100倍]


無感情なその声が脳内に響いた瞬間、地面の土が盛り上がるとともに、俺の身長の2倍近い高さをもった壁へと形成した


突如現れた壁によって牙の一撃を阻まれたブラッドリースネークが一瞬怯むと、その隙を見て俺は、へたり込んでいた『誰か』を抱え全力で走り出した


もちろん魔物は襲いかかって来るが、俺は既にさっきの現象の見当を大体つけていた


超精密付与とやらがなんなのかは良く分からないが、無意識に付与スキルで地面を隆起させて形を変えて硬くした、さっきの現象はたったそれだけの事だ


だから魔物が襲いかかってきたら壁を作り出せばいい、幸いさっきの感覚は『記録』した


付与スキルの発動はMPを消費するが、MPが4999999999540と余裕で5兆近い俺ならいけるはずだ


そしてそのまま20分近く走り続けると、やっと門が見えてきた


敏捷が50しかないせいで無駄に長く走った気がするがやっとだ


もちろん門の付近にも魔物はいたが、門の外にいた武装した集団が片付けてくれた


門の外では大勢の商人や貴族のような人々が馬車に荷物を乗せており、その周りを先程の集団が警戒していた


俺は抱えていた『誰か』を下ろすと、緊張が解けてクリアになった視界でやっとまともに顔を見ることが出来た

少し驚いたが、『誰か』ー彼女は、付与スキルの練習をしようと城の井戸の近くに行った時に水汲みをしていたあの狐耳の少女だった


「助けて下さりありがとうございます 私はクレールと言います」


あんま助けた気はしないし、寧ろ魔法で助けてもらったような気もするが・・・


「いや、こちらこそさっきは正気に戻してくれてありがとう、あれは魔法?」


「あ、そんな大した魔法じゃないんです。生まれつき持ってた魔法で、心を落ち着かせることができるらしくて」


「いや、本当に助かったよ」


「そ、それはどうもです・・あの、体、大丈夫ですか?」


俺は自分の体を見る。服はボロボロだが、体は怖いくらいに無傷だ。自己修復速度上昇はちゃんと仕事をしてるらしい



「うん、全然大丈夫だよ」


クレールと話していると武装した集団の一人が俺に話しかけてきた



「なんだお前ら子供じゃねえか、どうやって街を抜けてきた?いや、奴らの仲間か?おいお前ら、念のために警戒しとけ」


『了解』


男の声に応じて他の人が武器を持つ。集団は15人くらいか、ここで戦いになっても良いことはないだろう


「僕たちは怪しい者ではありません、この魔法を使って攻撃を凌ぎながら逃げてきたんです」


そう言いながら俺は壁を出現させた


その瞬間男の顔に衝撃が走った


「坊主、これが基本6属性の第二位階相当の魔法だってわかって使ってんのか?」


基本6属性?

火 水 風 地 光 闇 の六つの属性のことだろうか、なら第二位階ってのは 火焔 渦流 旋風 大地 閃光 暗黒 の事で良いのか?


「ええ、まぁ」


実際大地魔法がどんなものかイメージした結果作り出せるようになったのがこの壁な訳だし、嘘はついていないだろう、合っているかどうかは知らなかったが


「他には何が使える?」


おっと、生憎俺の攻撃手段は木の棒で殴る以外無いんだ

しかも、さっきは咄嗟すぎる戦闘だった事と正常な思考を保てていなかったせいで木の棒すら使わずに素手で殴ってたし


「残念ながらこれだけです」


「第一位階も使えないのか?…まあ良い、今からお前が魔物であるかどうかを確認するために契約魔法を使う。拒否すれば即刻魔物とみなして攻撃する。いいな」


「はい」


男が小声で何かを呟くと、男の周りを多数の文字が周っていく

男の呟きが終わると将渡の頭の中に文字が入り込んできた

いや、文字というより意思という方が近いだろうか


意志には、お互いが魔物でないということをお互いが明言し、どちらかが魔物であることを偽っていた場合、契約魔法によって拘束するという契約に応じるかという旨が込められていた


もちろん俺は了承した


すると男が目に見えて安堵した様な顔になった


「おい、こいつは人間だ、武器を下ろしていいぞ」


『了解』


男の一言で若干空気が弛緩する


そして男はさっきまでの態度が嘘のように親しげに話しかけて来た


「はー、やっと生きてる奴が来てくれたぜ。さっきから魔物に咥えられた奴とか毒が完全に体に回ってる奴とかばっかで鬱になってたんだよ。お、そうそう俺の名前はアルト・トリムだ、アルトとでも呼んでくれ、そっちの名前は?」


「僕はスズキ・マサト、いや、マサト・スズキかな?」


「私はクレールと言います」


「お嬢ちゃんは狐の獣人か、久しぶりに見たな。マサト、クレールよろしくな」


まぁ、悪い人ではなさそうだ

見た感じの年齢は30、40くらいだから、頼りになるおっさんみたいな感じか?


「どうやら大変だったみたいですね」


「マサト達もだろうけどな、まあ、うちのパーティーには回復役がいねーからよ、目の前で人が死んでくのを今日だけでとんでもねぇ数見たわけよ、助けたいのに助けられないのがこんなに辛いとは思わなかったぜ。それにここは王都だってのに先日のドラゴン騒ぎやらバジリスク騒ぎやらで強え冒険者も、王族の護衛してる奴以外皆遠く行っちまったからなぁ」


んー、何やらすごく意図されたもののように感じるんだが

強い奴釣って手薄になった所を叩く的な?


「そうだったんですか、僕はそういうことに疎いので知りませんでした」


「知らねぇってお前、すげえ大騒ぎになってたじゃねえか、まぁ深くは聞かねぇけどよ」


「そうしていただけると助かります」


ここで勇者云々の話をしたら面倒くさい事になりそうだから助かった


「ところでクレールは「おーい準備ができたぞ!」


どうやら馬車に荷物を積むのが終わったようだ


「続きは馬車で話そうか、何、商人達はがめついところもあるが鬼じゃない、マサト達二人ぐらい増えても大丈夫だ。それにマサトはさっきの壁出す魔法、使えるんだろう?急がねぇとあのでけえ奴が来るぜ」


「では、お言葉に甘えさせていただきます」


「おう、それとな、同じ馬車に乗るんだからそんな堅苦しい喋り方すんな」


「ありがとう。アルト」


やっぱこのおっさんいい人だな


心が緩みそうになるのを抑えながら、俺は馬車に揺られ始めた

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