旅立ち 1
あの後、色々聞いていたら眠ってしまっていたようで、気がついたら朝になっていた。
「起きましたかー。急に寝るんでびっくりしましたよ。いろいろ渡したい物とかもあるんでこっちに来てください。」
「はーい。」
来てください、といわれたので行ってみると、いろんな物を渡された。
「まず、その服は目立つので、こっちの服を着て下さい。こっちは予備です。それから、これは訓練で使った剣です。ただの剣ですが、護身用とかに使ってください。それから、これはお金です。昨日討伐した魔物の魔石を換金したものです。それから、これが保存食、数日分です。それから・・・・・・。」
物はとてもありがたいが、過保護すぎないか?
「旅人が普通に用意しているものです。この世界で旅はとても危険です。これぐらいの装備をしていないと怪しまれますよ?」
この世界で遠出は大変そうだ。
「では、お元気で!」
そう言って、ミッシェルさんは姿を消した。
「あ~つかれた~。」
ただいま絶賛休憩中であります。
「そもそも、『あの街に行けばいいですよ。』とか言っておきながら、方向を教えてくれないなんてひどすぎる!」
誰も聞いている人がいないのに(いないからか)、盛大に愚痴っています。だって、言われた街の方向を見つけるのに一苦労し、そこから徒歩で移動するなんて、現代日本の高校生が普通にできることではないし、こんなに長距離を徒歩だけで移動するなんて今まで一度もやったことが無いからだ。愚痴ぐらい言わせてくれ。
ただ、幸運なことに今までの道中で魔物や野生の動物には遭遇せずにすみました。おかげで、ムダに体力を消耗せずにすみました。
「あー、なんかいい方法ないかなー。」
叫んだところで何かいい案が思いつくはずもないか。しかし、鳥はいいなー。空が飛べて。
そういえば、ミッシェルさんと一緒に空を飛んだ時の眺めはよかったなー。降りるときはもっと優しく降りてほしかった。
「! 魔法で飛んだらいいんだ!」
自分でも名案だと思いました。このときは。