試験 2
少し離れた所にあった茂みに隠れていますが、動物の気配が全くしません。あまりにも気配がないので、何かいい探し方がないかなーとか、魔物が現れた時にどう倒すか考えていました。しかし、一人は暇です。
カサカサ、カサカサ
「? 草がゆれたような・・・」
ばぁ
「うわぁ! なんだ、ネズミか。」
しかし、ネズミって実家でもたまに見るけれど、意外とかわいい見た目をしているんだよなぁ。よく、害獣駆除とか言って殺していたけれども、なんというか、その、心をえぐられる。
ぶわぁ
「! 火だと! 火の出る要素なんて! ネズミ、君も逃げるんだ!」
ネズミに言葉が分かるはずのないのに、なぜかネズミに話していた。多分、一人でずっといたから寂しかったからだろう。 ・・・なぜ君の口から火が出ているんだ? ネズミ? まさか! コイツ魔物!
「火を吐くネズミなんて聞いたことねえよ!」
なんとか、剣を構える事はできたが、正直言って剣でコイツを倒すことなんてできる気がしない。というか、自称神様に『今から練習してもムダ』と言われるレベルの腕じゃ何もできないだろう。・・・魔法! 魔法を使えばいいんだ。
「―――outline」
そういうと、俺が考えた通り水が氷になり、変形して鋭く尖り、そして手元から飛び出してネズミ(の魔物)に突き刺さった。
ネズミ(の魔物)から出ていた火は消え、ネズミ(の魔物)がいた場所には紫色の石が残っていた。
『試験は合格です。すぐに回収に向かうのでその場所で待っていてください。』
あの声が聞こえたので、その場で待っていると、すぐに自称神様が来た。
「試験は合格です。この後、野営をしていた場所に戻ります。来る時と同じ方法で帰るのでしっかりつかまっていてくださいよ。戻ったら、今日はゆっくりしてください。明日には、私は帰らないといけないので、今日がゆっくりできる最後ですよ。」
来る時と同じという事は、またあの方法か。下りるときはもう少し丁寧にお願いします。
「いきますよ!」
地面から足が離れると、すぐに今までいた場所が分からなくなるほどの高さまで上昇した。
来る時には気が付かなかったけれども、とても広い森の中にいたようだ。眼下には木しか見えない。
「前を見てください。高い塔が見えますか? あそこには、この付近で最も大きい街があります。もし、行き先に困ることがあれば、あの街に向かえばいいですよ。」
そこそこ大きい塔が見えた。あの街に向かうのも意外と悪くない気がする。
しばらく空の旅を楽しんだ。
「降りますよ!」
よく、そんな勢いで降りて地面に突き刺さらないんだろう?
「そういえば、魔石ってどうするんですか?」
戻ってきてから、気になったことを聞いてみた。
「入手した魔石は普通に店とかで売れます。大きさによって値段は違いますが、大きければ大きいほど高いです。売られた魔石は、加工されて魔法具の動力源として売られます。分かりやすく言えば、『乾電池』みたいな使い方です。」
「『魔法具』って?」
「魔法を発生させる機械みたいなものです。例えば、『通信機』とか、旅人の間で人気なのは、『携帯加熱器』えーっと携帯コンロの魔法版? といったところですか。どの魔法具もそこそこ高いですが、まぁ、稼ぎが良ければ一般人も普通に買える値段です。」
意外といろんな魔法具がありそうだ。魔法具を見て回るのも面白そうだ。
「まぁ、私がここにいられるのも今日までなので、今のうちに色々聞いてください。」