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剣の練習

 「これが、この世界の一般的な剣です。どうぞ。」


 そう言って渡されたのは、西洋風の直剣だった。まさか、実物を持つ日が来るとは。


 「剣の練習といっても、あなたの剣の腕には期待していないので、この剣を使って素振りを何回かやってもらって、ある程度重さに馴染んでもらえればそれでいいです。」


 「いいですか? その剣は真剣なので、適当に振り回してはいけません。けがをします。分かったのであれば、真面目に練習に取り組んでください。別に美しさとか実用性とかは求めていないので、真面目に取り組んでください。その剣で遊んだりしてはいけませんよ。」


 「分かりました。」


 空気が変わった気がした。プレッシャーがものすごい。遊びではない、という気持ちにさせられた。


 そして俺は、今までにないほど集中して真面目に素振りをした。学校の体育の授業で使った竹刀より軽いはずなのに、とても重く感じた。



 「そういえばあの剣、金属っぽいけれどなんであんなに軽いんですか?」


 昼食時に気になったので聞いてみた。


 「あぁ、あれはですね『軽銀』といわれる金属でできているからですよ。鉄よりも軽くて、鉄と同じ強度、ついでに鉄よりも生産量が多くて安いという金属です。見た目は銀に近いのですが、重さが全く違うので『軽い銀』つまり『軽銀』と言われてます。いろんな所に使われてますよ。」


 「へ~。便利な金属だな。欠点とかは?」


 「海水につけるとすぐに錆びます。1日で錆びるので気を付けて下さい。海水以外では鉄とそこまで変わらないのですが、海水ではすぐに錆びます。」


 「海水だけ?」


 「海水だけです。」


 「塩水とかは?」


 「問題ないです。」


 よく分からない。塩水はいいのに海水はダメとは。海水が特殊なのかな?


 「あっ、そうそう、この後ですが自由にしていいですよ。私もついていきますが。あと、明日『卒業試験』をします。明日、合格してもしなくても明後日には私は帰りますからね。」


 やったー。自由時間だー。 『卒業試験』? なにそれおいしいの。


 自由時間だー わーい たーのしー


 「危険なことはやめてくださいよ。もしそんなことがあったら、自由時間を切り上げて今から卒業試験にしますからね。」


 そういえば、さっきからやけに『卒業試験』と言っているが、何をするんだろうか。


 「そういえば、『卒業試験』についての説明がまだでしたね。気になっておられるようなので、今から説明しておきます。」


 「お願いします。」


 気になっていたのは確かなので説明をお願いしよう。


 「とは言っても試験内容は簡単です。『魔物を討伐する』たったこれだけです。ですが、あなたのような身元のはっきりしない人はこれができなければこの世界では生きていけません。心して取り組んでください。詳細は試験前にお話しします。」


 やっぱり、魔物はいるのか。今まで全く会って来なかったので、実際はいないんじゃないかと思っていたけれど。


 「試験中の安全はある程度保証するので、全力で試験を受けてくださいね?」


 せっかくの自由時間に聞く話じゃなかったな。おかげで、自由時間が全く楽しめない。明日のことを考えると憂鬱だ。


 「そんなに気になるのでしたら、今からしますか?」


 「それだけは勘弁してください。」


 心の準備もできていないのに今からするなんて、それだけはやめてほしい。


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