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2.神様降臨

 俺は混乱していた。いや、思考放棄していたといっていいだろう。なにせ、あの一瞬でここまで景色が変わってしまったのだから。同時に、驚き、感動していた。なぜなら、俺が今までに見たこともないような美しくて素晴らしい自然が広がっていたのだから。そして、俺はなぜか泣いていた。理由はよく分からない。ただ、両手に持っていたはずのanimateの袋と、背中に背負っていたはずの学校指定カバンが無くなっていた。


 どれぐらい経っただろうか。俺は気を取り戻した。そして考え出した。まず、ここはどこなのか。そして、この場所は安全なのか。


 ・・・・・・おそらくここは日本ではない。俺はそう結論付けた。そして、日本でないのならば恐らく危険なところに違いない。世界一安全と言われる日本に住んでいるただの高校生である俺にとっては。


 どこに行けば安全になる?


 ・・・・・・おそらくただの高校生が徒歩で移動できる距離にはない。


 詰んだ。詰みである。幸い、今のところ目立った脅威はなさそうだが、すぐに詰む人生が見えている。どうしようか。助けを呼ぶ? 付近に人はいなさそうだし、体力の無駄だ。何かないのか?

 ・・・・・・いや、あるはずがない。

 ・・・・・・いや、あるはずだ。考えろ。何かあるはずだ。

 

 後になって思い返してみると、死の恐怖から逃げるために考えていたんじゃないかと思ってしまうほど、いつになく俺は考えていた。周りの声が聞こえなくなるほどに。


 「黒山さん。黒山啓太さん。」


 ・・・・・・


 「黒山さん! 黒山啓太さん!」


 「はい!」


 大きな声で呼びかけられて驚いてしまった。


 「あなた、聞こえてますか?」


 「はい。大丈夫です。というか、まだ高校生です。そこまで耳は遠くなってませんよ。」


 「あなたが、声をかけても反応しないのが悪いんです。」


 「はぁ、」


 「話がそれましたが、今回、あなたに重要な話があって来ました。」


 重要な話? 今それどころじゃないんだ。後、あんた誰?


 「人に聞こえないように口に出さなかったようですが、全部分かりますからね。後、重要な話というのは、今のあなたの疑問に対する答えのようなものですよ? あぁ、私の名前はミッシェル。この世界の管理者です。」

 

 「世界の管理者? 厨二くさい響きだな。」


 「どう思われるのも結構ですが、世界の管理者は世界の管理者です。それ以外の何者でもありません。あなたたちがよく言う『神』、そう思っていただければ結構です。話がそれましたが、こちらのミスで、あなたは現在、あなたが元居た世界と別の世界にいます。いわゆる『異世界』というやつですね。いろいろ身の安全の保障ができない世界なので、少しの間だけですが、あなたを手伝いに来ました。事のあらまわしは、そういう事です。」


 異世界? ミス? これはまさか、ラノベによくある俺tueee展開では?! よっしゃ!人生勝ち組やったぜー。これからは俺の時代だー! さぁ、スキルとチートをちょうだいな。


 「なにを言っているのですか? すきる? ちーと? おれつえぇ? 何を意味しているのか分かりませんが、私からあなたにあげれる物はありませんよ?」


 「スキルとチートと俺tueeeが分からないだって!?」


 「何かイラっとくるので調べます。 ・・・あぁ、なるほど。そんなものはありません。そもそも、私たちは『管理者』であって、バランスブレイカーではありませんので。私たちの使命はあくまでこの世界を維持管理するだけです。そんなものが欲しいのなら、悪魔とでも契約してください。もっとも、あなたと契約するようなモノ好きの悪魔がいるとは思いませんが。」


 「そんな・・・。神様、お願いですから何とかしてください。じゃないとしんでしまいます。」


 「何と言おうが、無理なものは無理です。後、あなたがこの世界で生きていけるようにいろいろ教えますから。そう簡単には死にませんよ。」


次回投稿日は4月7日です。

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