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序章
「パパ!ママ!」
「麗雅!逃げろ!うわぁぁぁぁ!!」
「麗雅逃げて!きゃぁぁぁぁぁ!!」
「はぁ、はぁ、うわぁ!!」
少年は足をもつれさせ、倒れた。
『ぐしゃぁぁぁぁぁ!!』
影のような黒い塊が少年を威嚇した。
「…あ…あぁ…」
ドガァァァン!!
塊は一瞬にして吹き飛んだ。
「子供を襲うなんて悪趣味な隠忍だ。坊主、大丈夫か?」
男は少年に手を差しのべた。が、少年は今目の前で起きた出来事を消化することに精一杯だった。
「う、うん。でも…うわぁぁぁぁん!!パパが!ママがぁ!!」
「っ!?」
突然取り乱した少年が男に飛び付いた。
「ごめんな。俺がもっと早く来てれば…。ほんとにごめんな。」
「うぅ…。」
「お前、名前は?」
「れいが、しろやれいがです…。」
男は少年を少しはがし、目を合わせた。
「れいが、お前は強くなれ。強くなればみんな守れる。だから強くなれ、れいが。」
「うん…。つよくなる…。」
涙を溜めた眼差しは、まっすぐ男の目を見つめ返した。
「よし。良い目だ。向こうに行こう、お前を守ってくれる人がいる。」
「起きろ麗雅!朝だぞ!」
「んあっ…」
また、この夢か…。