プロローグ4
久しぶりの投稿です。
「全分隊合流しました。」
「了解した。これより正面にある部屋に突入する。エネルギー反応があったことから内部には友軍がいる可能性がある。言うまでもないが敵がいる可能性も十分にある。各員いつでも発砲できるようにしておけ。なお、突入と同時に無線の使用を許可する。」
「了解!!」
先ほどから無線封鎖を実施しているためバイザーに各々が話したことが文章化されて表示されている。
ハンドサインで突入の合図をした。
隊員たちが部屋へと入っていく。
クワ自身も後裔の隊員とともに部屋へと足を踏み入れた。
「な、何だこれは?」
そうつぶやかずにはいられなかった。
「さ、索敵!状況を確認!生存者の有無も確認!」
我に返って指示を飛ばす。
(交戦中か、もしくは戦闘が行われた後だと考えていたけど、さすがに大量の友軍の死体が転がってる事態は予想してなかった・・・。せめて数人の生存者がいれば何があったのかわかるんだが)
「ほ、報告!敵影は現在のところ認められません。少なくとも半径五百メートル以内にはですが・・。それから生体反応は・・・、残念ながら一つもありませんでした。」
隊員からの報告はクワが予想していた最悪の結果であった。
何よりも生存者がいれば情報が得られ、撤退するか、それとも捜索を続行するかを決められた。しかし、敵も見つからず、彼らの生き残りがいるかもわからないのでは身動きが取れないのと同じなのであった。この空間はかなり広いということが先ほどの分隊行動から把握できている。事実クワも何本も分岐があるのを目にしている。つまり残存部隊が敵に追われながら撤退している可能性があるのだ。
しかし、これだけの犠牲を出して撤退しているとしたらそれは逆に阻止しなければならない。自分達の世界にそれだけ脅威になる力を持っている敵を招き入れることになってしまうからだ。
だが、クワはもうひとつの可能性も考えていた。
それは、ここで味方は全滅しているということである。遺体があまりにも多すぎるため全滅しているか否かがわからないが、もし全滅しているのだとすると、いつどこから襲撃されるか分からないのだ。撤退はもとより不可能、かといって奥に進むわけにもいかない。まさに八方塞がりとなっている可能性があったのである。
「隊長。いくつか追加報告があります。」
考え込んでいたクワのところに一人の隊員が無線を送ってきた。
「なんだ?」
「ハッ!実はどの死体からも外部のアーマーにあるはずのエネルギーコアが一つもないんです。それに我々がここに入ってきてからまだ一時間どころか一分もたってないんです。」
「一分も!そんなバカな!」
そう言ってクワ自身も自分の時計を確かめると驚くべきことに確かに出発してからまだ一分もたっていなかった。
「にわかには信じがたいが、この空間はそういう空間ということか。それで、エネルギーコアがないって?」
「はい。どの遺体もキレイにコアだけがはずされています。」
「だとしたらまず、敵が意図的に回収したとみて間違いないだろう。」
「そうですね。自分も同感です。」
‘ピーッ’‘ピーッ’
不意にエネルギーセンサーが鳴り始める。
「各分隊状況報告!」
クワは自分のアサルトライフルを構えながらゆっくりと周囲を確認する。自分の分隊の隊員が背後にいて同様に周囲を確認している。
センサーに現れた光点は青から緑、そして黄、オレンジ、赤とエネルギーの増大とともに色を変えていく。センサーの警告音が大きくなる。先刻キャッチしたエネルギー派ほどではないものの明らかに危険であることが分かった。
ここにある友軍の兵士の死体のうちのどれかの動力の暴走。その考えがクワの頭を一瞬よぎったがすぐにそれが間違いだと分かった。
光点が動いのだ。ゆっくりと。
部屋に入ったときには友軍の生体反応は一つも確認されていなかった。
友軍の大量の死体、抜き取られたコア、高エネルギー反応を示す何か。
結論は二つに一つだった。
この惨状を生み出した得体のしれない何かがここにいる。そしてそいつは明らかに普通じゃない。自分たちでも到底かなわない相手であることが間違いない。
クワは嫌な汗が背中を伝っていくのが分かった。
「各員警戒しつつゆっくりと入口へ戻れ」
そう無線で伝える。
もともと何かまずいことが起きていて自分達の生死が左右されるような任務であることは理解していた。していたつもりだった。しかし、現実というやつはいつも自分たちの予想のはるか上をいく。自分はここで死んでも悲しむ人間なんて残っていない。
ほかの分隊の隊員達の姿が視認できるようになり、入口に一番近かった分隊に入口の外の様子を確認するようにさらに指示を出す。そして残りのほかの隊員同様にクワも再びUnkownの位置を確認し迎撃態勢に入ろうとしたそのとき。
自分の横を後ろから何かが飛んでいった。
なにが?
そう考えるよりも早く長年の経験により反応した体が即座に後ろを向く。
そこには暴れる隊員の首をつかんで持ち上げている人の姿があった。
思った以上に忙しいため更新はこれからもいつになるかわかりません