プロローグ1
更新不定期です。
私の名前は九羽継時、地球連合極東方面軍第八特務隊隊長で階級は大尉だ。
もし、このメッセージを読んでいるのが私の友軍ならば今すぐここから撤退してほしい。
ここは我々の想像もつかない場所である可能性が高い。
スサノオが死ぬような場所だと報告すればきっと上層部はわかってくれるはずだ。仮に私の生命反応がキャッチできたとしても捜索はしないでくれ。
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24XX年世界が一つに統一されてから約10年になろうかというときそれは生じた。突如として極東州のとある半人工島に空間の裂け目が生じたのである。もっとも空間が裂けたからといって何かが起こるわけではなかった。その日までは。
(コンコン)
「第八特務隊隊長クワ大尉参りました。」
「入れ」
そこは俗にいう執務室というべき場所であった。壁にはたくさんのモニターがあるがそのほとんどは今はブラックアウトしていた。
「アラン大佐、自分の隊に新しい任務だとお伺いしましたが?」とクワが安めの姿勢で質問した。
アラン大佐は机の上のモニターから目を離し眼鏡をはずした。
「まぁまずはかけたまえ。」
「はい。失礼します。」
‘ギシッ’
椅子が軋む。
「今回君の隊に依頼したい任務は例の裂け目に関するものでしかも極秘だ。あれを安定状態にできたことであれがなんなのか、向こう側はどのような場所なのかということを調べる目的で調査隊が送られたのは、知っているな?」
とアラン大佐がクワに尋ねた。
「はい。確か第三次調査隊が一週間ほど前に追加派遣されたと記憶しておりましたが。」
「その通りだ。が、その第三次調査隊は第一次および第二次調査隊の捜索が本当の任務だったのだよ。しかし、その第三次調査隊も行方不明になってる状態だ。そこで、君の小隊の出番というわけだ。」
とアラン大佐は言いながらデスクのコンソールを数回叩いた。
‘プシュッ’と音を立てて小型のデバイスが机から排出された。
「それに今回の任務の詳しい内容が書かれている。準備ができ次第すぐに出発してほしい。話は以上だ。」
そういうとアラン大佐はコンソールを操作し始めた。
「任務了解しました。これより行動を開始します。」
クワは椅子から立ち上がると敬礼して執務室から出ていった。
~ブリーフィングルーム~
「よし、全員そろっているな。それではこれより今回の任務についてのブリーフィングを始める。」
とクワは部屋にいる12人の顔を確認していった。
「今回の任務の内容については分隊長からすでに説明があったと思うので省く。なぜブリーフィングを二回わけたのかはもうわかっていると思う。今回の任務は危険度がS級となっている。もし、抜けたいという者がいればアラン大佐からは許可をもらっているので抜けてもらって構わん。誰かいるか?」
クワが尋ねるが返答はなかった。
部屋の中に沈黙が漂う。
(誰も抜けない・・・、か・・・・。まぁ元々全員元から家族と呼べる人間なんていないしな。これが当たり前の反応か。)
「では、各員準備にかかってもらう。なお、出発は00:00である。遅れることのないように!!」
「サー、イェッ、サー」
クワに隊員たちが返答した。
(そしてこれが俺にとって第八特務隊最後のブリーフィングとなることなどこの時点では全くと言っていいほど考えていなかった。)