狂い終わり
「気をつけ、礼っ!」
「ありがとうございましたー!」
ピロティーから射場に向かって挨拶する。結局俺はあの後しっかり制裁を受け、いつも通り先輩たちによって決められた筋トレのメニューをこなした。
体力の無い俺はヘトヘトに疲れていたので足早に部室へと退散させてもらうことにする。
練習を続けるテニス部を目の端に捉え、終わる前にミーティングをしている弓道部の前を通りすぎて部室で着替えた。この時間、僅か10分也。
着替えの途中で入ってきた先輩後輩へ挨拶をし、帰りのスクールバスを待つためにまたピロティーへ向かう。
続々とやってくる部活が終わった生徒達は歩いて帰る者、少しおりたところにあるバス停へ行く者、そして俺のようにピロティーでスクールバスを待つ者と様々だった。
列の前方で図書室で借りた本を読みながら時間を潰すと、12分ほどでバスが来た。
入口近くの二人席を取って膝の上に鞄とリュックを乗せて本を読んでいると、
「ここ、いいですか?」
と聞きなれた声が聞こえてくる。
「いいよ」
と短く返事をして俺は本をリュックに入れて続けた。
「炉衣以外に座る人なんていないから勝手に座ればいいのに」
俺が若干苦笑を混ぜてそう言うと、炉衣も釣られたように少し笑った。
「本読んでたから、勝手に座るのは気が引けて…」
「全く。変なとこで気ィ使うよね」
「はい、まぁ、改善します」
その敬語も一緒に改善してくれと思ったが言わないでおくことにした。
多分、そこも炉衣の個性だと思ったから。
バルルルンッ…
とエンジンのかかる音がする。
機械音のアナウンスとピーっという音と共にドアが閉まった。
ガタガタとうるさい音を立てて動き出したバスがいい具合に眠気を誘う。
でも隣に人がいるのに寝るのは悪いよなぁ。なんて考えていてもやはり眠いものは眠いままだった。
「佐国、眠い?」
炉衣がこっちを見てそう聞いてくる。うん、やっぱり寝るのは駄目だ。
「うにゅ~…眠いけど寝たくないから喋ってる~」
俺は周りに邪魔にならに程度で伸びをすると、炉衣にそう言った。
「お前、本当その変な擬音語使うのやめろ」
「ハハッ。やなこった」
眉を寄せて呆れ半分の顔でこちらを見る炉衣を茶化して笑った。
俺たちの乗ったバスはガタタン、ガタンと音を立てて駅へ向かう。
これが俺の毎日。
少し狂った(おかしい)この俺の、少し狂った(おかしい)物語
Fin
というわけで、黒色 涙牙の狂い語りはこれで終わりになります。
今まで読んでくださった方々、こんな拙い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。
Every day is crazyはしばらくしたら編集して短編にまとめるつもりです。
今後は紅鎖をメインに時々短編をあげようと思っています。次からはもう少し読みやすくし、全体的に長くするつもりです。
今のところ週明けくらいに短編を1本あげる予定です。もしもお暇でしたら、そちらのほうも読んでみてください。




