三章
三章
グロリアを見送る王城の臣下達の表情は、まるで葬列に並んでいるようだった。
純白のドレスを身に纏うグロリアでさえ、ヴェールの下は死人のように真っ青だ。
夜の帳が下り、アーサーからの情報どおりに竜は彼女を迎えに来た。ただし、竜本人ではなくその手下達が、なのだが。城を守る兵士や、あらゆる魔を予見し祓う役目を担った宮廷魔術師達さえ震え上がっている。
満月を覆った小さな影は次第に迫りその強大さを見せつける。月が魔物の群れに覆い隠され、ようやくその全容が見えた。
「抵抗すれば王都ごと吹き飛ばすつもりだろうな。誇り高いはずの竜が、こうも感情的な行動に走る理由がどうにも解せん」
近付いてくる魔物の軍勢に顔色一つ変えていないのはイドだけだ。グロリアを守る。そのために討伐対を編成したアーサーでさえも、今は圧倒的な戦力の差に唇を噛み締めている。
「シャー、ロット……」
「心配しないで、とは言えないわね。けど、私も一緒に行くから。グロリアの傍にいる、どんな不安も愚痴も聞いてあげる。殺されそうになったら、とにかくあなただけでも逃がせるように努力するわ。だから、あなたも冷静にね」
「は、はい……」
軍勢が降り立つ直前、グロリアは震える手でシャーロットの腕にしがみついた。
本当はシャーロットも足が竦んでいたけれど、彼女の手前感情を表に出すことは許されない。只ひたすら、不安がる彼女を宥め励ます。その繰り返しだ。
「ジャスティン、失敗は許されない。グロリアを頼んだぞ」
「はい、アーサー殿下」
召使として付き添うジャスティンは、既に覚悟を決めていた。幼い頃、常に死が付き纏っていた彼も、久々に感じる終わりの影に顔色は青い。それでも気丈に振舞う様は、まこと騎士らしいものだった。
(さすが兄弟だな。揃いも揃って、怯えているくせに自分から飛び込んで行く)
グロリアの手を握るシャーロットと、アーサーの期待に応えんと気持ちを引き締めるジャスティン。イドは、似た者兄弟の様子に、場違いにも噴出した。
「イド?」
「気にするな。さあ、ここからがお前の腕の見せ所だ。俺の助手として培ったもの、存分に役立ててこい」
「はい!」
鳥型の魔物。虫型の魔物。中には人間の形をしているけれど明らかに肌の色が違う魔物もいた。馬の形をした魔物の引く馬車に乗せられ、グロリアと召使役のシャーロット、ジャスティンは竜の根城へと誘われた。天高く飛び上がる馬車から眼下を見下ろすには、月明かりはあまりにも心許ない。それすらも竜の狙いだったのだろうか。どこを飛んでいるのかもわからないままに時間は過ぎ、一行が下ろされたのは山脈の連なった村一つない自然のただなかに建つ孤城だった。
「長旅お疲れ様でございました。宴の仕度も整っておりますよ、姫君」
緑色の鱗に覆われ、腰の曲がった老人染みた魔物が言う。グロリアはびくりと肩を震わせ、ジャスティンの袖をそっと握った。ジャスティンも、その手を振りほどくことはなく、そっと指先が彼女の手に触れていた。
(あらあら、この子達ったらひょっとして。――それにしても、一応花嫁らしい扱いはするつもりなのかしら。これだけ魔物に取り囲まれていればそれだけでも安らぎは遠ざかっていくものの)
「グロリア様、参りましょう」
花嫁と召使が良い仲になっているなどと疑われてはジャスティンの命が危ない。シャーロットはさり気なくグロリアの手をジャスティンから引き離し、代わりに自分の手を取らせる。
隙間なく石を積み上げて造られた城には蔦が這い、所々で青い花を咲かせていた。絢爛豪華と呼ぶのが相応しい王城よりも遥かに古く飾り気がなくていかめしい。精巧緻密に組み上げられたそれは芸術的にも素晴らしい出来なのだろうが、如何せん、ここが竜の根城だと思うと城よりも要塞のように感じられた。
腰の曲がった魔物の後ろについて三人は進み、更にその後ろを迎えに寄越された魔物達のうち小柄なもの達が続く。体の大きなもの達は、祝いの歌と思しき奇声を上げながら城の周りを踊り狂い飛び回る。ちょっとした地獄絵図だ。
とおされた場所は広間で、人間の催す宴と何ら変わりない食べ物が並び、装飾が施されていた。立食式のパーティーを演出したらしく、テーブルに並べられた食べ物はその見た目までも鮮やかで、一流の料理人が調理したといわれても誰も疑わないだろう。もっとも、それも集まった参加者達が人間の姿をしていればの話なのだが。大抵は肌の色がおかしい人型に翼や角を生やしているか、二足歩行の巨大トカゲや哺乳類だ。服の着用については任意らしく、ドレスを着飾るものもいれば、そのまま鱗を露出しているものもいる。
「私、食べられてしまうのでしょうか……」
今にも涙が零れ落ちそうなほど目を潤ませたグロリアが呟く。
シャーロットとジャスティン以外の人間を召使につけなくて正解だった。大人数で列を成して嫁入りなどしようものなら、数日後には何人が逃亡を図って自然の餌食、もしくは奴等の餌食になっていたことか予想もできやしない。
大丈夫だと言って慰めてやりたいのは山々だったが、この状況下で根拠のない慰めは意味を持つのだろうか。シャーロットが迷っていると、傍に立つジャスティンが目を細めて笑いかけた。
「僕がお守りします。だから、そんな顔をなさらないで下さい」
ジャスティンの自信に満ちた表情に、グロリアも安堵したように微笑を浮かべた。
(二人共、思ったより落ち着いてるわね。さすがは一国の姫と騎士だわ)
微笑ましい二人を眺めていると、ふいに会場の空気が変わった。
ざわざわと魔物たちが人語ともつかぬ言葉で話す声。こちらを嘗め回すように絡みつく視線。それらの雑音が消え不快な視線の全てが別な場所へと注がれた。
広間の中央付近に集まっていた魔物たちが二手に割れ、道が開いた。その向こうから歩いてくるのは、限りなく人に近い姿をした別の生き物だ。
「お初にお目にかかる、我が花嫁よ。私がそなたの夫、ウルリヒだ。そなたを歓迎しよう。この宴は気に入っていただけたかな?」
漆黒の長い髪は腰まで届き、肌は青白いほどに白く、顔付きは彫像のように美しい。これが人間ならば思わず感嘆が溜息となって漏れ出しそうだが、生憎彼は人に化けただけの別物だ。
「では、あなたが竜なのですか? 人の姿にも、なれるのですね……」
グロリアはシャーロットの腕に自らの手を絡めながら、恐怖と恨みの入り混じった目をウルリヒに向けた。
「如何にも。人のそなたにはこの姿の方が気安いだろう?」
「あなたと親しくするつもりなどございません!」
シャーロットの腕が痛いくらいに握り締められた。
「こちらもグロリア姫には用などない。だが、その身体は大事な器なのだ。愚かな行いで傷つけないでもらえると嬉しいよ」
(器?)
それ以上彼女に興味はないといわんばかりにウルリヒは広間を出て行ってしまった。
「よく頑張りましたね、グロリア様。しかし、今のはどういう意味なのでしょうか」
ジャスティンは忌々しげにウルリヒの背中を見送った。
竜からはグロリアに対する好意が見えない。イドの抱いた疑念がいよいよ顕在化してくる。グロリアは必要ない。しかし身体は必要。これの意味するところは何なのか。
(単純に考えれば子供を産ませるとも取れるけれど、わざわざ竜に人の血を混ぜて弱体化させる必要性がない。だとすると、グロリアの身体自体を何かに利用するつもりなの?)
「善からぬ企みがあるのは確かなようね。ジャスティン、絶対にグロリアを一人にしないで」
「無論です。この命に代えてもお守りします」
「その意気よ」
ジャスティンの覚悟は本物だ。例え自分が単独でウルリヒを探ることになったとしても、彼にならグロリアを任せられる。最悪の場合、自分を放って城を抜け出し、二人で大自然の中に身を投じるくらいはしてくれるだろう。自分に限っては、命が尽きる前にイドが回収しに来てくれるだろうから。
「さて、肝心の旦那様が早々に引き上げたってことは、もうグロリアがここに留まる義務もないはずなんだけど、どうする? 誰か人……というか魔物を呼んで部屋へ案内してもらう?」
「そうですね、私、もう疲れてしまいました」
「でしょうね、もう休みましょう」
給仕をしていた魔物に部屋への案内を頼んで広間を出る。
三人が出て行く時に、魔物達の目が一斉にグロリアへ向けられたのを背中に感じた。
『アースラ様はお喜びになるかしら』
『アースラ様がお元気になられれば良いのだが』
扉が閉まる瞬間、ひそひそと交わされた言葉の中から聞き覚えのない名前が聞こえてきた。シャーロットが振り返ると、囁きあった魔物達は腰の曲がった魔物に足を踏みつけられていた。
(アースラ? その人がグロリアの嫁入りに何か関係しているのかしら。探ってみる必要がありそうね)
同じく声が聞こえていたのか、隣を行くジャスティンが何か言いたげな顔でこちらを凝視していた。一つ頷いて、シャーロットは前を歩くグロリアに視線を向けた。
「私はグロリア様の侍女でございます。この命尽きるまでグロリア様にお仕えするのが私の役目。いくら旦那様のご命令とはいえ、おいそれとこのお役目を外れることはできません」
三人は広間を離れ、グロリアの部屋の前でシャーロットとジャスティンには彼女の召使から外れるよう言い渡された。代わりに寄越されたという三人の女性型の魔物は、腕の一部を鱗が覆っていることを除けば、人間の女性と大差ない姿形をしていた。
これで引き離されては彼女の護衛として自分達がついて来た意味がない。絶対に引き下がるまいと食い下がるシャーロットに、グロリアは大丈夫と微笑んで三人に連れられて部屋へ向かった。
「グロリア様、大丈夫でしょうか……」
「やけに落ち着いていたもの、何か策があるのかもしれないけど」
召使に宛がわれたのはグロリアの部屋から離れた小部屋が二つ。簡素な作りではあるが、召使ならば家具が揃っていればそれで充分だと納得し、シャーロットの部屋に集まった。
「まぁ、ごねて暴れたりする度胸が彼女にあれば、私達にも元のお役目に戻れる可能性がある。そうでないなら、消される前に集められるだけの情報を集めてイドに伝えるだけなんだけれど――ねぇ、ジャスティン。本当に、グロリアが大人しくあの人達にお世話されていると思う?」
「どうでしょうか……。僕の知るグロリア様は、穏やかに見えても存外ご気性の荒い方です。嫌なものは嫌だとはっきり仰るし、この婚礼を憂いて泣き寝入りするどころか一人で城を抜け出して王都を出るほどのお方です。みすみす流されるとは思い難いですが……」
「同感だわ。だから、彼女の部屋へお邪魔してみようと思うのだけれど、ジャスティンも一緒にどう?」
彼女はただ流されるだけの深窓のご令嬢ではない。行動を共にしたのはほんの二日だけだったが、彼女の芯を捉えるのは十分な時間だった。自分達の勘が正しければ、そろそろ何かやらかしてくれているはずだ。何せ彼女はこの城の主の妻なのだから。それが形だけだとしても、きっと彼女ならその立場を利用して、自分達を引き戻せるように振舞ってくれる。そう信じて彼女の部屋へ足を向けた。――その結果、二人は自分達の読みが予想を上回る形で実現したことを知らされた。
グロリアの部屋の前の廊下には、三人の女性のうち二人が待機していた。それぞれ額と頬に赤い跡がついていた。更に部屋の中からは、陶器の割れる音が聞こえてくる。
シャーロットは、ここぞとばかりに女性に近付いた。
「代わったお化粧ですね先ほどお会いしたときに、そんな跡はついていましたか?」
尋ねると、二人の顔が苛立ちに歪む。
「あなた方にグロリア様のお世話は荷が勝ちすぎるのでは? そこに突っ立ているのだって、彼女のご機嫌を損ねたからでしょう。やはり我が主様のお世話を人任せになどできませんね」
「ちょっと、お待ちなさい!」
女性の制止をジャスティンが妨害し、シャーロットは重厚な木の扉を押し開けた。
「失礼します。お傍を離れてしまい、申し訳ありませんでした。グロリア様、ご機嫌は如何でございましたか?」
わざとらしく問いかけると、グロリアの顔が歓喜に輝いた。
床に転がるカップの破片もお構いなしに、シャーロットへと駆け寄り、悪戯げに笑んでみせる。もっとも、その笑顔も少しばかりぎこちないものではあったのだが。
「この人達は嫌ですわ。お話してもつまらないし、お茶もおいしくないんだもの。私、眠る前はハーブティーと決めていますの、紅茶じゃ眠れませんわ」
「では、すぐにご用意いたしましょう」
形式上の花嫁ではあるが、彼女が困らないよう嫁入り道具として必要なものは持ち込んでいた。その中にはハーブティーを含め、薬草の鉢植や薬を調合する道具など、シャーロットの仕事道具も紛れ込ませてある。
グロリアは女性にしっしと手で出て行くよう指示をした。見るからに不満だらけな顔でなおも食い下がろうとする彼女達を、グロリアは「もう少しまともなお茶を淹れられるようになってから出直しなさい」と一蹴した。
「グロリア様には僕達がついておりますから、皆さんはどうかお休みください」
止めとばかりにジャスティンが女性の背を押し部屋から追い出して、シャーロットがすかさず中から施錠した。外からは呼び止める声が聞こえていたけれど、しばらくすればもう静かなものだ。
「やっといなくなりましたね。慣れない方達に囲まれると緊張してしまいます」
「慣れない人なのは私も同じなんだけどね。それにしてもグロリアがあんな演技派だったとは」
「王族とはときと場合によってそれらしく振舞うのもお仕事なのです。まあ、私はアーサーお兄様のようにやり手ではありませんけれど」
「いいえ、グロリア様が彼女達を追い出す理由を作ってくださったから、僕達も戻って来られたのですよ。ご自分にもっと自信を持ってください」
ここへ来るまでは自分一人でグロリアを守らなければと考えていた。けれど、その実、彼女自身も自分でシャーロット達が動きやすい環境を作れるよう我が侭なお姫様を演じてくれたのだ。
(大人しく守られているだけのお姫様ではなかったのね)
「この一件の中心にいるのは他ならぬ私ですもの、あなた達やお兄様に、全て押しつけるわけにはまいりませんわ」
この調子なら、早々に脱出を目論む必要はなさそうだ。思いの外しっかりと現状を見据えているグロリアの様子に、シャーロットは笑みを浮かべた。
三人でお茶をしたあと、ジャスティンを先に部屋へ帰してグロリアの入浴や就寝の準備を手伝った。夜もすっかり更け、いざ部屋へ戻ろうとすると、いつぞやのように一緒に寝て欲しいと頼まれてしまった。
さすがに、今の立場を考えると添い寝はまずい。グロリアが眠ったのを確認してから、シャーロットはそっと彼女の手を放し、部屋を出た。二人で交替にグロリアの部屋を見張る手筈になっており、シャーロットは先に休むことになっているのだ。
部屋へ戻る途中、廊下の向こうに人影を二つ見つけた。
(ウルリヒと、もう一人は……人間?)
隠れる場所はなく、部屋へ戻るには彼等の側を通り抜けるしかない。
(どうしてこんな所に人間が? やけに魔力が安定してるし、魔術師?)
通り過ぎ様、頭を下げながら彼等の顔を横目で見やる。人間の方は、茶色い髪をした三十代くらいの垂れ目の男。見た目は至極平凡だが、纏う魔力にはどこか薄ら寒いものがある。
「待ちなさい」
「――何か、御用でしょうか?」
茶髪の男が呼び止めた。
この城に人間は数えるほどしかいない。当然、彼等もシャーロットがグロリアの召使としてついて来た人間であることは承知しているはずだ。
「いつから王族は魔術師を侍女につけるようになったのですか」
「魔術師? オズ、それは本当か。その娘、それなりに高い魔力を持っているとは思っていたが」
「修行を続け洗練された高い魔力と安定感。ただ侍女として生きてきた人間が自然に身に付けることなどできぬ才能です。魔術師に間違いありません」
(こっちが見抜いたんだから、向こうが見抜いていてもおかしくはないわよね)
シャーロットは魔術師としては半人前だ。こんな場所で、竜に付き従えている魔術師がいるとすれば、そちらの方が優秀な魔術師である可能性は高い。そして、例に倣い彼は半人前のシャーロットの正体をあっさりと見抜いてしまったのだ。
「魔術師をつけるとは、それは敵対の意思と判断しても良いのですね」
「――先に国民を脅かし、グロリアを強制的に花嫁にしたのはそちらよ。王家がただ脅しに屈して無条件で姫を手放すと考えていたのなら甘かったわね」
「君と一緒に来た従者はただの人間でしたね。無力な姫と、ただの人間、そしてまだ若い魔術師の君。自分達だけでこの状況を打開できるとでも?」
「花嫁とは妻。つまり形だけでも祝福されるべき立場よ。その花嫁と、花嫁が信頼を置いて連れてきた召使に手を出せば、それは完全なる敵意とみなし、軍が攻め込んで来る手筈よ。腹の中で企み事をしているあなた達にとって、軍との衝突は避けたいのではなくて?」
召使でないと知れてしまえば、演技をする必要もない。あまりにもばれるのが早かったけれど、必ずしもデメリットばかりではないはずだ。これで彼等は、シャーロットと、その後ろにいるイドを警戒しながら謀り事を進めなければならなくなる。牽制としてはまずまずだ。
「いい度胸だな、小娘。腐っても人の王が遣わした身、ただの身の程知らずではないらしい」
「あらウルリヒ様、私を遣わしたのは王ではなく王子殿下で、私は私の意志で友人を守るためにこれを承諾した。国の威権を守るためでないことだけはあなたにも知っておいていただきたいわ」
シャーロットは胸を張った。
元宮廷魔術師イドシュタインの助手と、アーサーの部下たる騎士がグロリアの召使を努めることが王に知らされることはなかった。完全に第一王子及びその旗下の独断であり暴走だ。しかし、それを負い目と感じることはない。
「グロリアは私達が守るわ。あなた達が、同じくグロリアを守る意志を持つ方々であることを祈っています。それでは私はこれで失礼しますね。お二方」
歩き始めても、今度は引き止められはしなかった。
シャーロットの去った廊下で、二人はまだ彼女の部屋のある方角へ目を向けていた。
「あの娘、アースラの障害にならねば良いのだが……」
「相手は魔術師、如何に若輩といえど油断はできません。どうにも、あの娘は忌々しい男と同じ匂いがします」
「準備は周到にな。お前が頼りなのだ、オズ」
「仰せのままに。ウルリヒ殿」