魔女の恋
きらわれ者の魔女は
誰からも愛される人間の娘になるようにと
自分に魔法をかけた
人魚姫のように
奪われるものは
何もない
なんて素敵な魔法!
やがて魔女は恋をした
澄んだ黒い瞳の少年に
魔女は愛された
時がたつうち
何かがちがうと
魔女は思った
これは私? 本当の私?
いいえちがう
ちがう ちがうと思いながら
魔女は魔法をとけなかった
魔女と少年の間には
微笑みの仮面が一枚
それが砕ける時にこそ
魔女の恋は かなうというもの
本当の恋が かなうというもの