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第5話 『白き残光 -White Mode-』
夜明け前。
灰色の街に薄く光が差し始めたその瞬間、冴の前に現れたのは、これまでの怪人たちとは異なる“白き異形”だった。
その体はまるで人の形を模した鏡のよう。
映り込む冴の姿が、ゆっくりと笑う。
「やっと、ここまで来たね――“紅”」
声は冴自身のもの。
だが、その表情には感情がなかった。
> 「……あんた、まさか――私の“反転体”?」
鏡の冴は静かに頷いた。
白と紅。光と影。
二つの存在が、ひとつの場所で交わる。
「私はお前の心の“罪”。戦いの中で生まれた怒りと迷いの結晶だ」
冴の握る拳に、白いドライバーグローブが新たに形成されていく。
それは紅でも蒼でも翠でもない――純白の輝き。
> 「……逃げない。自分の影なら、なおさら――」
冴は静かに飴玉を取り出す。
指で放り上げ、宙に舞う瞬間――
「バトルモード――白!」
白炎が全身を包む。
風を裂き、光の尾を引きながら、冴は己の“白い影”へと突進した。
> 「必殺――白光輪!」
交錯する二つの光。
爆ぜる白炎の中、冴は自らの怒りを断ち切るように拳を振り抜いた。
そして――夜が明けた。
冴の頬を朝の風が撫でる。
倒れた白い異形は、ゆっくりと光の粒子となって消えていく。
その中から聞こえた声。
「……迷わずに進め。次は“黒”だ」
冴は静かに飴を噛み砕く。
その瞳には、決意と一抹の不安が宿っていた。




