2.玄関の扉を開けたら異世界でした!?
初投稿作品です!
この作品に出会ってくださりありがとうございます!!
トンネルを抜けたら雪国でした。
ならぬ、
玄関開けたら見たこともない景色が広がっていました。
「こ、ここは何処やねーーーーーーーん!!!」
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今日は誕生日の翌日、休日の土曜日の早朝。
あれから誕生日だからと自宅でたらふくビールを呑んだ。お酒には強いので昨日の記憶を一切忘れるなんてこともなかったよ。
私はまずやりたいこと1つ目「猫をお迎えする」の第一歩を踏み出そうと決めたんだ。予定どおり保護猫活動をしている友人がいる友人に連絡を取ろう。ふふふ。猫のことを考えると自然にニヤける。
現在の時刻は朝の5:30。お客様とのアポもない貴重な土曜日なのに、起きる時間はいつもどおりの時間。いつもなら「もう一眠り」と二度寝を決め込むところ。そして、ゆっくり惰眠を貪り、起きてもベットの住人よろしくスマホで動画を見まくる。そして、時間を無駄にしたと自覚しつつもそれを止めれず後悔する。自業自得の失敗をしてしまうこともあった。
しかし、今日からの私はひと味違う。時間は有限、時は金なり。明日の自分は今日の自分の行動にかかっている。との思いでやっていくのだ。
ちなみに、うちの家には壁掛け時計があり、時間になると鳩が鳴いて教えてくれるレトロ時計だったりする。見た目がとても可愛くてお気に入りの時計である。
ただ、友人に連絡するのにもこの時間では失礼に当たるのは社会人として、真っ当な感覚だと自負するところ。
まずはシャワーを浴びてシャキッとしよう。その後、近所の喫茶店でモーニングを食べながら新聞でも読もう。仕事上お客様との会話を充実させるために世情を知ることは強みになる。まあ、普段は専らネット新聞を利用していた。偶には紙媒体の新聞で情報収集といたしましょうか。
ちなみに、新聞社に因って同じ事件やニュースの記事でも書き方が違っていて、それを見つけるのは面白い。うん。そう決めた。開店は6:30だから丁度よいよね。
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シャワーを浴び、身支度を整え終わった。
鳩時計を見るとあと10分で鳩が7:00を知らせてくれる時間だとわかる。よし。そろそろ出ましょうか。ちょっと早めに着くくらいだね。
私は充電していたスマフォを手に取りロックを解除する。充電が100%であることを確認し・・・
「あれ?電波がない?」
この家にはWiFiが設置してある。おかしいな。今日は調子が悪いのかな?まあ、たまに接続が悪くてこういうこともあったので指して気にしないでおく。帰ってきたらきっと調子が戻っているとだろうからね。ちなみに、うちはテレビがない。以前はあったけど朝のニュースくらいしか見ないから思い切って処分したんだよね。どうしてもテレビが見たかったらスマフォでも見れるし。便利な時代だよまったく。有り難や有り難や。
スマフォだけ持ってさあ出発だ!
気持ちが前向きだからか、いつもより勢いよく玄関の扉を開けた。ガチャリ。
目の前には森・・・うん?
バンッ!
さっき開けた時より何倍も早く扉を閉めた。扉の内側で頭をかかえしゃがみ込む。
ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。
ドク、ドク、ドク、ドク、ドク、ドク、ドク、
ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド・・・
私は混乱していた。
いや混乱というよりも恐怖で心臓の鼓動がかつてないほど早く鳴っていた。
毛穴という毛穴から脂汗が飛び出てくる。
呼吸も荒く、まるで過呼吸のよう。喉が渇く。落ち着け。取り合えず。落ち着け。これはあれだ。夢なのだ。さも現実であるかのようなとてもリアリティのある夢なのだ。ほらほら、頬をつねったら痛くない・・・いや、痛いよ!なんで痛いのだよ!ちくしょう!
いや。落ち着け私。無理やり思考を働かせろ。社会人にとって自分の置かれた状況を把握するのは大事な能力だ。私は昨日38歳になった。社会人経験がある立派かどうかは分からないけどれっきとした大人。大人は取り乱さない。冷静に、まずは状況の確認だ。やれる。私ならやれる。自分に暗示を無理やりかけるように「大丈夫。大丈夫」と何度も何度も言葉にした。
まず、今私がいる場所は私が借りたアパートの部屋だ。そして、電気・ガス・水道は問題なくと使える。ここまでは大丈夫。家の中で何か違和感があるだろうか。
はっ、とスマフォを見る。
「圏外だ・・・」
さっき、WiFiが繋がっていなかった事には気付いた。でもたまにあることだし深く考えることもなく流してた。でも、WiFi繋がらなくても携帯電話の会社の電波があるよね。それがない。圏外だからネットが繫がらない。これってどうゆうことなのか。ゴクリ。口の中がカラカラで唾が上手く飲み込めない。
「お水、飲みたい」
喉の渇きを何とかしたくて、覚束ない足取りで台所へ向かい、水道から手ですくって飲もうとした。普段ならコップを棚から出して、冷蔵庫から水出して、注いで飲むんだけど、いつもの行動を踏むことさえ億劫でたまらず。兎に角、喉の渇きをどうにかしたかった。行儀が悪いとかカルキ臭くて美味しくないとかそんな事気にしてる余裕は私には無かく、水道水を口にした。
「なにこれ?めっちゃ美味しいんですけどー」
うちの水道水は美味しくないはず。なのに、なにこれ。程よく冷たくて身体全身に染み入ってくる。美味しさで身体がほぐれるような。ぽかぽかするような気がして心も少し落ち着きを取り戻した。しかし、普通に考えて水道水が急にめちゃくちゃ美味しくなることってあるのだろうか・・・いやない。
私の部屋はそのままなのに、圏外、美味しい水、外の森?とこのことから考えるに。
まさか部屋のまま異世界転移した?
いやいや。ないない。
そんな、ラノベ的な展開ある訳がない。あれはフィクション。物語であり、現実におこるなんて絶対にあり得ないのだ。日本に生まれ38年目になる私は普通ならそんなバカなことあり得ん。現実と夢の区別もつかないのか。と笑い飛ばすだろう。
一方で、明らかにおかしい、非現実的なこの状況。私はゴクリと唾を飲み込み、自分の頬をパチンと叩いた。そして、キッチンから玄関へと戻る。うちは単身者用のアパート、ほんの数秒で扉の前にたどり着く。
まずは状況を確認。もう一度、確認する。そして、ありのままを受け入れる。実は夢で扉を開けると目が覚めて現実に戻る。なんて事を期待しながら。ドアノブに手をかけ、目を閉じながら玄関の扉を開けた。すると、視覚以外の感覚が普段より敏感に外の状況を教えてくれる。
ざわざわと木が風に揺れる音、土の香り、聞いたことない鳥?の鳴き声、気持ちいい風。ほどよい気温。
目を閉じ感じる外の情報は私の日常とは違っていて―――日本のよくある街の生活音が聞こえない。
しかも今は梅雨の時期。湿度が高く不快指数が高いはずなのに。
このジワジワと追い詰められていく感覚。あー。せめて誰かいてくれたら。この異常事態を一緒に共有してくれる第三者がいてくれたら私の心はどんなに救われただろう。もしくは、愛猫がいてくれたら・・・と現実逃避をしていても時間だけが過ぎていく。
大きく深呼吸。1回、2回、3回、4回と。ぎゅっと目に力を入れて、恐る恐る目を開けた。出来たら、ここで目が覚めてくれと心の中で祈りながら。しかし、そこにあった現実は彼女のそんな切実な願いを打ち砕くき非常をこれでもかと押し付けてきた。そう。見渡す限り森、森、森が広がっていたのだ。あー。なるほど。はいはい。そういうことね・・・・・・・・・・・うん。無理。
「こ、ここは何処やねーーーーーーーん!!!」
私は叫んだ。過去一の大声で心からの叫びを上げた。
「えっ、なんなんここ。え、何で森。てか私の家が可愛い小屋になってる!白雪姫的な?え、他の人は?私だけなんでここにいる?いやいやいやいや。誰かウソだと言って!!!」
私、白雪姫的な小屋にいつの間にか引っ越してて、同じアパートに住んでいたひとが誰もいない。どういうことよ。やっぱりコレはあれなのか。
「本当に異世界転移しちゃった?」
「そのとおりじゃ」
・・・・・・・・・・・・・・。えっ、誰?
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