6 機会均等
ラムの食堂が危ない。海産物が入手出来ない。ラムの食堂の卸業者が海産物を扱わないのだ。ラムは決意して夫とマリエール商会に出かけた。
6 機会均等
海産物の普及は、一部の人々に取っては痛手である事は間違いない。肉と麦と野菜で生活してきた人々に海産物は暁光だ。しかも肉より安価で美味しい。食事する側に取っては朗報だが、提供する側は上手く乗り越えないと破滅だ。客足が減った。理由は海産物だ。それが判っても対応が難しい。食材を配達してくれている所が海産物を扱っていないのだ。海産物の料理のノウハウもない。誰に頼って良いのか判らない。マリエール商会は少し距離がある。マリエール商会に相談しているのが、配達業者にばれるのも不味いような気がする。ラムは思い切って、今度の定休日にマリエール商会に行ってみる事を夫に告げた。夫も一緒に行くと行ってくれた。
ここのマリエール商会は小さな店だった。可愛い少女が対応してくれた。用件を伝えると。
「それですと、調理器具を揃えたり調理方法を教えるのも家の仕事になりますね。最近は卸の業者さんに調理器具や調理方法をお任せす事が多いのでそれが定着したと思ってました。頑固一徹で海産物など外道だ。という店もあるとも聞いてましたけど。」
ラム達は冷や汗ものだ。家の卸は頑固一徹かも知れない。
「この依頼、受けて貰えますか。」
少女は少し悩ましげだ。
「本来、卸さんと調整してから来て頂きたいのですけどね。来られた以上追い返したりしませんよ。ただし卸さんと揉めた場合は初期投資の返済又はマリエール商会への乗り換えでお願いしますよ。」
少女は、一緒に店まで来てくれた。先ず内装、外装を切り替え、海産物を取り扱っている事が判るようになった。そして調理器具、が用意され、様々な食材が並ぶ。
「蛸は茹でる所から始めます。アジの干物は焼く-----------------。」
20種類のレパートリーを教えて貰った。
「明日朝8時に来るから、種類と匹数確認して置いてね。」
ラムと夫は必死に料理作りに取り組み、食材の注文個数を確認していった。少女約束通り8時にやって来た。注文個数を言った。アイテムボックスから個数出す。こんな事に今更気付く。
「念のため3時に来ます。」
ほどなく肉等の販売業者が来た。
「あなたの所もマリエール商会に頼んだのですね。」
別に批判じみた感じではない。
「お宅が海産物を扱ってくれないから。」
かなり大手の業者だ。敵に回りたくない。
「家が代理店になっていれば良かったけど、親父が嫌がってな。家は海産物何か扱わないって、今従来通り納品している所が半分、並行して納品している所が2割、マリエール商会に以降したのが3割、我が家は風前の灯さ。」
なら家もマリエール商会に乗り換えよかしら。
「風前の灯の所も多いけど、潰れた所も多くてね。マリエール商会が買い取るんだよ。従業員も全員首、居宅にしていた店主も追い出される。親父にマリエール商会の代理店になるように言ってるんだけど親父が頑固なんだ。」
ラムはマリエール商会に乗り換えて正確だった。3時に完全乗り換えをお願いして、明日の朝今の業者を断わって明日の3時にまたマリエール商会に来て貰おう。
マリエール商会には可愛い少女が応対してくれた。食堂まで来て調理器具を用意してくれたり料理方法を教えてくれたり、値段設定のアドバイスもくれた。