−カイツー-
俺の名前は夜幻 瑰。
生年月日不詳。年は身長からして15-16くらいだと思う。
そして、今、俺の前には、金髪にタトゥーというあからさまに悪そうな人が座っている。
何をしに来ているかというと、面接である。
俺は元々捨て子である。そんな俺を拾ってくれたのが夜幻 久御山という爺さんだ。
しかし、その爺さんがこの間起こったでかい戦に巻き込まれてしまい、動けなくなってしまった。
そこでかわりに、俺が働こうとしているということ。
え?もっとマシなところにいけって?
何いってんだ、ここは別名闇の浮浪雲と呼ばれる浮浪者たちが集まるところだ。
つまり、マシなところなんかないってこと。
さて、独り言はよして、面接に戻ろうか。
金髪の兄さんが机を叩く。
「うちにはそんなひ弱そうな人間はいらねぇんだ!
うちに帰って昼寝でもしてろ!」
でも、うちに帰ってもどうせ食うものなんかない。
ここで引き下がってはいられない!
「でも、」
言いかけた途端、後ろに潜んでいたボディガードのような人に腕を掴まれ、外に放り出されてしまった。
そのようなことをかれこれ10回繰り返した。
今思えばよく命があったなぁと思う。
そして10件目の建物から放り出されたあと、こちらもガラの悪そうな男に呼び止められた。
「あんた、技者?」
そうだ、この世界には、忘れてはならないものがある。
限られた身分のものは、王から能力を授かるということ。
そして、その者たちを「技者」ということ。
なぜか俺は、浮浪者の身分なのに、能力を持っている。
「はい、そうでs」
言い終わらないうちに男の姿が消えた。
すぐに気配を察知する。
探知できない!?
後ろだ!
男が耳につけてる鈴のピアスの音で分かった。
とっさに腕を交差して防御態勢に入る。
「ガン!」
まるで鉄と鉄がぶつかったような音が鳴る。
腕から煙が上がる。
受けきれた、はずでこの威力…
「バケモノだ……」
その言葉を最後に、俺は膝からコンクリートに崩れ落ちた。
気絶している瑰と男以外に人がいない、人通りがない路地裏。
男は一人つぶやく。
「なんでこいつ、弱いのに能力を持っているんだ…?」
と。
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