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03-07.思考

 模擬戦は国際連合軍が保有する国有地である演習場で行われる。

 世界各地、宇宙に至るまで色々な場所にその演習場はあるけど、このアメリカ大陸内地にあるエリアは乾燥地帯にある岩山が多く点在する場所だった。

 

 格闘技の試合の様に正面に向かい合って掛け声で戦闘を開始するスタイルも実際にはあるけど、今回はお互いに機体の感覚に慣れるため、と言う事もあってお互いの位置は知らされずにそれなりに離れた場所からスタートすることになった。


 ジャミング粒子は比較薄めに散布されているが、それの理由としては、MK(モビルナイト)戦においては必ずと言って良いほどジャミング下での戦闘が主になるから演習でも同じような環境が作られる。


 時折捉えるエディの動きを確実に追いかけながら、僕は思考を巡らせた。


 1周目の人生でリオを助けられなかった不甲斐なさから自分を律して、何とか今日までやってきたけど、まさか新型機のパイロットになるだなんて思いもよらなかったな。と。


 この2周目の人生ではリオを守り抜く為に危険な行動は慎まなきゃ、と思いながらも相次ぐトラブルに巻き込まれて気がつけば最も危険といえるパイロットなんてポジションに流れ着いてしまった。


 けど、これは逆に考えれば好機だと思う。


 アカギ教授に開発依頼した新型試作機のパイロットに何としても選出されなければいけない。

 今現時点で何者でも無かった僕からしてみたら周りの注目を集める良い機会じゃないだろうかと思っている。


 整備士としての腕は1周目の人生でかなり磨いてきたからそれなりに自信はある。けど、パイロットとしてはまだまだだ。

 側から見たらサンクーバでもダリル基地でも活躍した様に見えるかもしれないけど、あれはたまに起こる突破的な閃きによるものが大きい。僕自身の力だとは言えない。

 あの閃きの正体も分からないままにその力に頼るのは危険だ。となれば純粋な技術をひたすらに磨いていくのが1番僕らしいやり方なのではないかと思う。


 もちろん命あっての物種だから、アカギ教授が今なさっているようにタイムリープしてきたという事実は隠しながらも、ブラックテクノロジーを応用して自らの機体を強化して命を繋ぐ努力をしなきゃ。


 あの日までの時間は無いようである。余裕はないけど、焦って準備を怠ってはいけない。


 それと1周目の人生の時よりもこの2周目の時の方がテクノロジーの発展が著しいのが気になる。

 アカギ教授に開発を依頼した時点でテクノロジーの一部が世界中に流れるだろうとは思っていたけど、まさかこの時点で第4世代MK(モビルナイト)が現れるなんて……。

 もちろん兵器に対する情報などの多くは隠匿されている事が多いから、単に僕が知らなかっただけで、1周目の時も同じタイミングで存在していた可能性もあるけど。


 エディがカスタマイザーであったという事は、あの日、虐殺テロに加勢していた国際連合軍側の人間、つまり国を裏切った兵士の多くにカスタマイザーが混ざっていた可能性がある。

 報告例は少ないけど、レギュレータを用いて洗脳じみた事を行って成功した。なんて研究結果もあるらしい。まぁ報告例が少ないのはその非人道的な手段そのものを報告しようとする研究者が少ないからであって、氷山の一角だとは思うけど。


 もし仮にあの反乱に多くのカスタマイザーが参加していたとなれば、製薬した中和剤を早々に普及させてカスタマイザーを解き放っていかなければならない。


 そうなればガーランドの反逆を抑止出来るかも知れない。〝聖騎士〟と謳われるヤツも手駒が無ければ馬鹿な考えは起こさないはず。

 楽観的、かも知れない。けど今は少しでも抑止力に働きそうな事を繰り返していくしか無い。


 全てはあの日からリオを救う為に。


 なんて考えながら行った模擬戦はちょうど良い具合に緊張した状態で出来たからなのか新型に乗ったエディと互角……までは行かないにしろ善戦出来たのではないかと思う。


 エディも初めての実戦形式の訓練だというのに、素早く機体の特性を理解して様々な手段で攻撃してくる。

 特性を理解出来たからこそ、“ブルーガーネット・リバイヴ”に足りない所が見えたらしく、訓練終了後にそれを指摘された。すぐに改善してネガティブな点をひとつでも消せるように努めた。

 僕はやはりパイロットであるまえに技術屋なのだなって思う。

 

 エディには世の中に先駆けて、レギュレータの中和剤である【ニウライザ】を渡してある。


 カスタマイザー特有の鋭い戦闘感覚の衰えは感じていないみたいだけど、彼女自身がレギュレータへの依存性の緩和を実感しているみたいだ。

 なるべく早く彼女の中からレギュレータを排除して、あの忌まわしい薬が無くても生活出来る様になってほしい。

 

 そして何より、現段階の1番の厄介事は例の海賊だ。あれだけの戦力を投入してくるような連中だ、どれだけの組織が後ろについているか知らないけれど一度の失敗で引き下がるような連中ではないはず。


 襲撃なんて手段じゃ無くても、何らかの形で接触してくるはずだ。その時はまた容赦しない。ジェネレーターを根こそぎ剥ぎ取るだけじゃおさまらない。

 全機体を無力化してE.M.Sの所有にしてしまおうか。物を奪いにくるような奴らに容赦は要らないだろう。


 ……なんていうのは新型MK(モビルナイト)“ブルーガーネット・リバイヴ”を駆るエディが味方に付いていてくれるから言える事だ。


 僕も新型のおかげで勝てたなんて陰で言われないように実力をつけなきゃいけない。

 そうしなければ、開発中の新型試作機のパイロットになんてなれないぞ。

 

 


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

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 エディの新機体を“ブルーガーネット・カスタム”から“ブルーガーネット・リバイヴ”に名称変更致しました。

 これに合わせまして、前話の本文も修正致しましたのでよろしくお願いします。

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