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03-05.改



 この新型“ブルーガーネット”は〝今の〟エディに合わせて設計したMK(モビルナイト)


 肩幅が広く、両脇に装備したメインスラスターから伸びる三つ指のクロー・アームが非常に特徴的な機体。旧式“ブルーガーネット”のメインカメラは独眼だったが、新型はバイザー型のツインアイを採用。側頭部から後方に伸びる2本のブレードアンテナは更なる通信障害にも対応出来るようにと増設したものだ。


 一撃離脱戦法を得意とするエディは今までの旧型“ブルーガーネット”は実弾兵器を多数携えて出撃していた。


 例えば背部ランドセルには2丁のジャイアントバズーカ、腰部ハードポイントには90mmサブマシンガンと152mm口径散弾砲、脚部には固定式ロケットランチャー……など。

 その全てが実弾兵器であるから、それに伴った弾薬も携帯しなければならない。使用後は武装を破棄して徐々に身軽になっていく。

 機体各種に潜ませている高出力のスラスターを利用して肉薄。必殺の一撃を打ち込んで離脱。次の目標に再度肉薄……を繰り返してスコアを稼いでいた。


「けど、それじゃダメなんだ」

「どうして? エディータ先輩の得意な戦法ではダメっていう事?」

「ううん、そうじゃなくて……」


 首を傾げるリオに僕は手振りを交えて説明した。

 エディは静かに頷いて話を聞いている。


 先程述べた戦法は相手が密集している場合に効果を発揮する。例えばサンクーバで僕と刃を交えた時のように、ジャミング粒子に紛れて高速で肉薄した時は効果は高いだろう。

 けれど今回のように敵機の方に主導権がある場合、こちらが受け(・・)の場合は奇襲がかけられない分正面からの戦闘になる。


 今まではそれでもパイロットのスキルでなんとかする事が出来たけれど、距離を取られた第4世代MK(モビルナイト)に囲まれては肉薄する事は叶わない。

 次世代MK(モビルナイト)は置いておいたとしても、今までもそのような戦闘を行った際は中距離支援型にカスタムされたメイリン准尉専用“ティンバーウルフ”が援護していたのだけれど、それに頼っていると今回のようになってしまう。


「だからこの改修案ではジャイアントバズーカや固定式ロケットランチャーなどは排除したんだ」

「機体重量を軽くして代わりに取り付けたのが、敵機に搭載されていたジェネレーター?」


 そう、新型“ブルーガーネット”には敵機から奪ったジェネレーターを移植した。

 

 襲撃してきた第4世代MK(モビルナイト)のうち2機のジェネレーターを無傷で確保出来た。

 1基は分解するために軍が回収して、残りの1基を移植した。


 確かにこの時代においてフォトンビームを発射出来るような出力が出せるジェネレーターはオーバーテクノロジーだと言える。


 けれど、数年後の未来からタイムリープしてきた僕にとっては、言い方は悪いけど旧式だと言える。扱いはまったく問題ない。その辺を軍の技術屋に突っ込まれると面倒なので、なんか弄ってたら何とかなっちゃいましたー、という事にしておいた。あくまで偶然だと言ったら、まぁ素人のまぐれ当たりかと思ってくれたみたいだ。


「それを搭載する事によって爆発的な加速力を持たせる事に成功したんだ」

「背中についてるスラスターとは別にあの脇にある大きなスラスターを増設したのかな?」

「そうそう。だから従来のMK(モビルナイト)とは大きく違う外見になったんだ」


 新型“ブルーガーネット”は背部ランドセルにあるスラスターとは別に、両脇に大型スラスターを増設した。

 なので外観が従来のMK(モビルナイト)から逸脱して見える。増設したスラスターのせいで非常に肩幅が広い。そしてもう一つ目を引くのが、両腕のマニュピレータだ。


 両脇スラスターユニットに取り付けられたクロー型の腕部マニュピレータ。それには他のMK(モビルナイト)に採用されている5本指の物は使わなかった。

 非採用の理由は、この新型“ブルーガーネット”はものを持つ必要を排除した機体だからだ。


 両腕の前腕部に位置する場所にフォトンビーム発生ジェネレーターを内蔵した。この小細工により、武器を持つという動作が撤廃されてより早い攻撃が可能になるんじゃないかと考えたから。


 ライフルモードとセイバーモードに切り替え可能で、近〜中距離戦闘の対応に長けている。

 もちろんジェネレーター出力も問題がないため、フォトンビームの射出も一応問題無い。それとペンチの様な三つ指のクロー型マニュピレータはそれこそが物理攻撃に使える武器になる。打突しても良いし、場合によっては敵機の四肢を握って拘束するもよし。


「けどエネルギー効率がね……」


 敵機のジェネレーターを移植するにあたって問題が生じた。エネルギー効率の悪さだ。

 移植自体は出来たのだけれど、フォトンビーム発生ジェネレーターやメインスラスターへのエネルギー供給に課題が残った。課題というのは単純にエネルギー効率が悪いために早くエネルギー切れを起こしてしまうという事。

 

 旧式“ブルーガーネット”においてもそれは課題だった。エディの後継機になるはずだった“ワルキューレ”でもその問題は解決していない。けど問題が解決していないからと言ってそのまま捨て置くつもりはなかった。それでエディは命を落としかけたんだから。


 エネルギー供給が上手くいかないから仕方ない。で済む問題では無い。それを解決するための手段、それは、


「背部大型エネルギータンクの増設?」

「そう。内蔵タンクで賄えないなら外部に増設すれば良いかなって」


 この新型“ブルーガーネット”には背部ランドセルに大型エネルギータンクを2基増設した。

 それによって重量は重くはなるけど、次世代ジェネレーターがあるため然程の問題にはならない。

 寧ろ、それによって多少無茶な機動を取ったとしても燃料切れは起こさないし、何よりも短時間、短距離であれば飛行が可能になった。


 とは言っても本当の飛行するには至らず、機体の各関節のバネと大型スラスターを利用した特大ジャンプ(・・・・・・)が出来る。という認識の方が正しいのだけれど。

 

 旧式“ブルーガーネット”より武装の種類を簡略化して、加速力と持続力を強化した機体に仕上げたつもりだ。

 

 一応、次世代MK(モビルナイト)の定義であるフォトンビームを射出する事は出来るのだけど、ライフルを装備しているわけではないので、第3.5世代MK(モビルナイト)と定義付けしたけど……多分ややこしいのでこの新型“ブルーガーネット”も第4世代MK(モビルナイト)と言われる事になると思う。

 

 一撃離脱というコンセプトはそのままに、今のエディに相応しい機体になったんじゃないかなって思ってる。

 


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― 新着の感想 ―
[一言] マルチスラスターによる変態機動は浪漫ですなぁ…
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