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02.1-04.幕間 ※リオン・シロサキ視点

※リオン・シロサキ視点


「……リオ、どう思う?」

「えっ!? な、なにが?」


 いつもの日課のトレーニングを終えた私とシャルはジムの一角にあるドリンクコーナーに腰を下ろしていた。

 

 唐突にそんな事を言われて驚いた私は訳がわからず問う。


「最近あの野郎とエディータ先輩の仲が良すぎんだよ」

「あの野郎って……」

「あの野郎はあの野郎だ」


 メキとノンシュガーのスポーツドリンクのボトルを握り潰すシャルはギリリと歯噛みした。え、て言うかそれ封開いてないよね、握力すごくない?


「シャルはエディータ先輩が好き(ライク)だもんね」

「違うぞ、リオ。アタシはエディータ先輩が好き(ラヴ)だ」

「え、ああ、うん、そっか」

「そ。アタシは百合だからな」

「ゆ、百合……」


 シャルは異性を恋愛対象として見れないそうだ。昔はそうでも無かったみたいだけど、女性に対してだらしない態度をとるお父さんを見ていて嫌になったらしい。


 男性がみんなそんなはずはないんだろうけど、若い子に次々と手を出す父親が一番身近な男性だからそう感じてしまったそうだ。

 男の人がそういう事が好きなのはまぁ分かるけど、女の人でもそういう人いる気がするけどなぁ。そこに性別の差は出ないような気はしてる。

 でもシャルにはシャルの思いがあるからいちいちは言わないけど。


 シャルとしてはコータとエディータ先輩が仲良くしているのが面白くないんだろうな。シャルはエディータ先輩の大ファンだし。


「リオは不安じゃないのかよ」

「私? うーん……」


 確かに最近の2人は仲が良いように見える。

 演習中に負傷した(・・・・・・・・)エディータ先輩のお見舞いに頻繁に行っているみたいだし、私も同行した時も2人の雰囲気は何となく変わった様な気もする。というか明らかに変化がある。

 不安じゃないのかと言われたら、返答に困ってしまう。


 以前のコータは彼女を嫌っていたというか、警戒、していた様に感じたから。それが無くなれば仲良くなったように見えなくも無い。

 そもそも彼女の口数が多くなった訳じゃないのでなんとも言えないのだけれど。


「不安も何も、友達が増えるのはいい事じゃない」

「あのな……」


 シャルは項垂れて赤のインナーカラーが施された黒髪をわしゃわしゃとかいた。私だってシャルが言いたい事は分かる。


 多分エディータ先輩とコータとの間には何かあった。何かは分からないけど間違い無い。今までよりも2人の距離は近づいたと思う。それに……うん。


 ……それに、エディータ先輩のコータを見る目が前とは全然違う事に私は気付いていた。その事をシャルは気付いていないみたいだけど、間違いない。あれはそう、有り体に言ってしまえば恋する乙女の目。


 キラキラして、希望と不安と、期待に満ちた綺麗な眼。


 それに気付いたからと言って2人の間に邪魔に入ったり、コータとの関係を急いだりはしたくなかった。

 私には私のペースがあるようにコータにはコータのペースがある。そしてそれはエディータ先輩にも。


 もし誰かがコータと私の間に割り込んできて関係をめちゃくちゃにしようとしてきたらすごく悲しいし悔しい。

 そして、それはエディータ先輩もそうだと思う。彼女にどんな事情があるかは知らないけど、せっかく出会えた恋を誰かに邪魔されたら、すごく辛いと思う。


「幼馴染のよゆーってヤツか?」

「ふふっ、そんな訳ないよ。うーん、なんて言えば良いのかな……」


 もちろんコータを誰にも渡したくないし、そのつもりもない。ゆずるつもりなんか絶対無い。もし誰かとコータが付き合ったりしたら多分私は立ち直れない。


 でもむしろ同じ人を好きになったなんてすごい事だとも思える。それほどコータが魅力的な人だということだと言えるし。

 もしかしたらエディータ先輩とコータの話をしたらすごく楽しいかも知れない。

 ……なんて言ったらシャルはやっぱり余裕だな、なんて言うだろうか。


 コータが素晴らしい男性だと知っているから、恋が素晴らしいものだと知っているから。


 負けるつもりはない。けど、恋心は大切にして欲しい。


「リオは天使か?……やべぇ、惚れそうだ」


 シャルは冗談ぽく言うと白い歯を見せた。

 

 余裕なんて一切ない。私も自分の恋に一生懸命に向き合っているだけ。そしてそれはエディータ先輩も同じだから。


 



 

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[一言] リオちゃん、ええ子や
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