表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/179

02-19.来訪者

 いつもご覧いただきありがとうございます。

 数話程度『ロボロボ』しますが、どうか変わらぬご愛顧賜りますよう、よろしくお願いします。



 E.M.Sでの整備士としてのアルバイトは相変わらず楽しい。


 日々の鍛錬やアカデミーでの勉強など、5年後のあの日を最低な日にしない為に日々自分を律して自分を磨いてはいるけど、こうした息抜きもすごく有意義だと思う。無駄なものでもないしね。


 E.M.Sでの整備はやはり僕としては楽しいもので、気分転換にすらなる。例えるなら、そう、これは趣味に近い。


 さすがに僕が乗り回すわけではないので、自分の好みに改造なんて出来ないけれど、サンクーバで乗り回した“ティンバーウルフ”を何時間もかけて丁寧に丁寧に整備していれば愛着も湧いてくるというものだ。


 そして、そんな天塩にかけた我が子をズタズタにされては腹も立つ。


「いや、そんな怖い顔で睨まないでくれよ、コータ! わざとじゃないんだよ、相手が手強くて――」

「いーや、この傷は戦闘で付いたキズじゃないね。さては帰艦する時にデッキに擦ったね、塗料が着いてるよ」

「う、何でわかった……じゃない、違う! あ、腹が痛くなりそうだ、トイレ行ってくる!」


 派遣任務から帰投した機体、“ティンバーウルフ”を整備ハンガーに固定させた新たにE.M.Sにやってきたパイロット、ジム・ヘンダーソンは逃げる様に格納庫から走って出ていった。そっちはトイレじゃないよ。まったく。


 整備士を騙そうったってそうはいかない。機体の傷をみればどう戦ったのか何となく見えて来る。一生懸命に整備した機体を雑に扱われたら腹も立てる。

 これは写真を撮ってヨナに報告しよう。場合によっては罰金も請求してもらった方が良いかもしれない。


 でも確かに今回はそれ以外の傷、戦闘で付いたと思われる傷も多いような気がする。


「まぁまぁコータ、そんなに怒らないで? パイロットが無事に帰って来れた事を喜ばなきゃ」

「うん分かった」

「あははっ、早っ」


 ポンと僕の肩に触れたのは僕とお揃いの作業服姿のリオだ。動きやすいように長い黒髪を一つに束ねている。うん、眼福。


 誰に対しても慈しみの気持ちを忘れないなんて天使か? リオがそう言うなら今回は許してあげよう。ヨナに報告はするけどね。


 リオは週何回かの放課後、こうしてE.M.Sで僕の整備を補助するアルバイトをする様になった。

 E.M.Sの経営が上向きになって人を雇える様になったので、人手を増やしたいんだという話をヨナから聞いたらしいんだけど、僕としてはすごく、いや、めちゃくちゃ嬉しい。

 

 好きな機械いじりをしながら、好きな人と一緒にいられるなんて。あ、もちろんバイト中は作業に集中するけどね。ほんとだよ。


 話は戻るけど、確かにリオの言う通り、機体が正常に作動してパイロットが無事帰還してくれるのが一番の喜びではある。だから不注意で付けた傷に関しては本気で怒ってる訳じゃないんだよね。

 

 そもそも整備士というのは機体を使える様にするだけじゃなく、パイロットの要望などを聞いてそれを機体に反映させるのが仕事。

 

 そう、主導はパイロットなんだ。命をかけて戦うパイロットに120%の力を発揮できる様に調整する事ができれば嬉しい。

 でも、そんな心血を注いで整備した機体を雑に扱われたら……って、話がループしてしまった。


 けどそれは抜きにしてもそれなりに今回は特に過酷な仕事だったんだろう事は機体を見れば分かる。

 

 この“ティンバーウルフ”は今逃げて行ったジムと一緒にドゥカウスケート隊に数回派遣されている。

 主な内容は僕が派遣されたクルスデネリ近海でのパトロールという任務に変わりはないんだけれど、内容が少し違う。


 恐らく非正規軍だと思われるMK(モビルナイト)が神出鬼没に現れて国際連合の軍に戦闘を仕掛けて来るんだとか。

 こちらの呼びかけには答えず、物資を奪ったりしている所から推測するに海賊の類ではないかとの見解が強い。が、物を奪ったりしない時もあるらしく、その目的がよく分からない。


 特定のMK(モビルナイト)のみを狙う様な所作も見せるらしい。そして何より神出鬼没。突然現れて姿を消す。そして何よりMK(モビルナイト)は手練れ。厄介な事この上ない。


 そんな奴らとジムは遭遇したらしいからね。無事で帰って来れただけ良かったよ。

 でもドゥカウスケートが一緒だったのに墜とせなかったという事は相当な腕を持ってるみたいだ。


 機体のチェックをリオに手伝ってもらいながら行なっているとヨナに呼ばれた。

 

 なんだろうと作業用足場から声の下方を覗き込んでみると、ドゥカウスケート隊の副隊長メイリン准尉がヨナと一緒に立っていた。


 彼女は僕と目が合うと気さくな様子で手を挙げる。


 ドゥカウスケート隊の実質的な隊長が僕に用……?


 なんか嫌な予感がしながらも僕はリオに作業を中断する事を告げてから足場を降りて行った。

 


 


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ