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01.1-03.幕間 ※ヤン・メイリン視点

 ご覧頂き、ありがとうございます。

 今回はメイリン視点の幕間です。

 『誰だっけ?』と思われた読者様、ご安心下さい。彼女は初出です。


 エディータ隊の副隊長のヤン・メイリン准尉です。

「……!? と、止めた!?」


 軍からの要請を受け、カリブ海に浮かぶ島国サンクーバに急行した私は、ヤン・メイリンは信じられない光景を目にしていた。


 私の上官、エディータ少尉の必殺の一撃をあの“ティンバーウルフ”が受け止めたのだ。

 MK(モビルナイト)同士の鍔迫り合い。フォトンセイバーが触れ合い、バチバチと閃光が瞬く。


 いや、戦場に居ればそんな光景はよく目にするのだ。それ事態に驚いているのではなく、私はあの〝女傑〟と称されるエディータ隊長の渾身の一撃を防いだ相手を始めて目にした。


 そう、問題は彼女の一撃を止めた。という事だ。


 何者だあのパイロット。どこかの軍のエースか、それとも何度も修羅場をくぐり抜けて来たベテランか。


 いずれにせよ手練れだ。隊長の援護を。


 私はオリジナルにカスタムされた愛機の“ティンバーウルフ”に90mmサブマシンガンを装備させ、構える。


「……!?」


 その瞬間、私の背筋が震える。

 な、なんだこの感覚は。研ぎ澄まされた殺意を向けられたような……。


 それは一瞬の出来事だった、けれど確実に向けられた殺意のような感覚。

 時間にしてみたら一瞬だったかもしれない。けれどその一瞬だけでも私は動く事が出来なかった。

 その一瞬の硬直は戦場に於いては致命的な時間だ。撃ち落とされていても不思議ではない。


 あの“ティンバーウルフ”から発せられたような……。いや馬鹿な。


『……メイリン、目標が投降するわ。機体データを受け取り、照合して。但し注意は怠らないで、手練れよ』

「……」

『……ヤン准尉?』

「っ! りょ、了解っ」


 エディータ隊長の澄んだ声で我に返る。


 見れば、目標の“ティンバーウルフ”はフォトンセイバーを納めて降伏の姿勢を見せた。ややあって降伏信号を受信した。武装も解除したみたい。


 受け取ったデータを照合してみると、アメリカにある民間軍事会社のMK(モビルナイト)という事が分かった。

 聞けば機体をサンクーバの地元自警団に貸し出す為に来訪していたのだとか。慌てて出撃したため自機の識別信号を発信する暇がなかったとの事だ。

 状況が、状況だ。そんな事もあるだろう。データと証言からどうやら嘘では無さそうだ。


 まぁ、それはいい。それはいいのだが。


「き、君は学生か?」

『はい。アメリカにある国際連合学園の生徒です』


 驚いた。まさかあの動きを学生が出来るのか。

 いや、我が小隊の隊長もまだ学生じゃないか。にしても近年のアカデミーのレベルはすごいな。


 彼自身に危険がないと判断された彼、コータ・アオイくんを解放すると、その背中にエディータ隊長が無線越しに話しかける。


 しかし思いをまとめる事が出来なかったのか、エディータ隊長は言葉を紡ぐのを諦め、彼を見送った。


 彼女も彼に何かしらを感じたのだろう。

 エディータ隊長の一撃をああも綺麗に止めたヤツを初めて見たからな。あれでまだ学生、つい最近まで中学に通っていた少年なのだから末恐ろしい。


 ちなみに彼はライセンスを持っていなかったが、ここは国際連合機構に所属していないサンクーバだ。EMSを含めた民間軍事会社に救援要請を出していたとはいえ、こちらと共闘していたわけではないし、不問となった。


 そもそも彼がいなければ被害はこれにとどまらなかっただろうし。


 “ラッター”と“ザブロック”をそれぞれ2機づつ、計4機を無傷で撃破。

 私に出来るか……? 素人相手ならやってみせるが、ある程度訓練されたパイロットが相手なら無理だ。いや、もしそうなったら相打ち覚悟でやってやるが。無傷ではいられないだろう。

  

 私は彼が国際連合軍(こちら)側の人間で良かったと心底思った。

 




 

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

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幕間はここまで。

次回より第二章スタートです。

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