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05-28.1号機 ※シャーロット・ルイス視点


『隊長を援護し後退する! シャルは――』

「前進して全機撃破だ、行くぜぇ!!」


 メイリンにそう短く応えたアタシは操縦桿をさらに押し込みファイターモードの“エーデルワイス”を更に加速させた。

 機体背後に装備されたツインターボエンジンが収束されて猛烈な加速をする。それに伴い両翼も角度を落として空気抵抗を調節した。


 ぐるりと大きな軌道で大空を旋回しAIに告げる。


「ガトリング、1番、2番、レディ」

了解(ラジャ)、レディ』

「ファイア!」

『ファイア』


 男の声を模した合成音声が無機質にそう応えると、機体下部に位置する場所に装備された2門の大型ガトリング砲の砲身が回転を開始、まも無く60mmの弾丸を容赦なく敵機に浴びせかけた。

 

 本来ならパイロットの意思で制御するこのガトリング砲だけど、あいにくアタシにはその才能は無く本来ならマニュアルで制御しなきゃいけないところなんだけど、能力者ではないアタシにも扱いやすいようにとAIとリンクさせて自動照準が出来るようにしてくれた。


 念動力を使った操作よりは格段に精度は落ちるが、自動で照準から発砲までしてくれるのでこっちは操縦に集中出来る。


「トランスフォーム」

了解(ラジャ)、トランスフォーム』


 アタシの合図にAIがそう答えると360°モニターに【transform】と表示され、空中で機体が二分される。

 上半身と下半身に分かれた機体はそれぞれが持つ変形機構を駆使してものの数秒で人型の機動兵器に変形した。

 アタシはデュアルサイドスティック方式の操縦桿を押し込んで空中の“エーデルワイス”を加速させる。

 ファイターモードの半分のスピードでも、しかしその加速は従来の量産型MK(モビルナイト)の比ではない。


 しかしファイターの形状とは違い、人型という空気抵抗をモロに受けてしまう形状をしているMK(モビルナイト)。その空気抵抗を緩和するためにMK(モビルナイト)型での飛行の際は機体前面に不可視の障壁フォトンフィールドを展開させる。


 アタシは詳しいことは分からないが、その不可視の障壁の形状すらもコータのこだわりがあるらしく、抵抗を極限まで削るために先端を尖らせた円錐型をしているらしい。だから人型でも他のMK(モビルナイト)よりも早く飛行することが可能らしい。もちろんアタシは原理なんて知らないし興味もない。


 アタシが欲するのは、自分の思い通りに動くマシーンだけだ。欲しい時に欲しいパワーが、欲しい時に欲しいレスポンスが、意図しない動きに対応するポテンシャル。その全てがこの“エーデルワイス”には備わっている。


 アタシは愛機を空中で停止させると大腿部ハードポイントにマウントしてあった大型フォトンショットガンを右脇に挟み込み、左腕を砲身に添えさせるように構える。


 空中から敵“ルビリア”を見下ろし、こちらに発砲してくる前に引き金を引き絞る。

 マズルフラッシュが瞬き、大口径の銃口から散弾式のフォトンビームが大量に吐き出されて“ルビリア”に容赦なく襲いかかる。

 発砲と同時に先台がスライドし、排莢口から空になったフォトンヒューズが飛び出す。すかさず次弾を発砲、初弾を受けてもなおなんとか活動していた数機がこの弾を受けて爆発し、それに巻き込まれるようにして数機が粉々に飛び散った。


「……アタシを恨むなよ」


 アタシは今確かに数人の命を奪った。顔も知らない誰かの命をスイッチひとつで最も簡単に。

 それぞれの立場が違っていたらアイツらが味方だったかも知れないし、そもそもこうして戦場に立つことは無かったかも知れない。


 アタシが母さんの艦に乗りたいなんて思わなければ、宇宙に憧れさえしなければ、彼らは死ななかったかも知れない。


 アタシがMK(モビルナイト)に関わらなければ……。


 ……一瞬。ほんの一瞬だけそんな考えが脳裏を過るがそんなくだらない仮定はすぐに掻き消える。


 アタシがもし宇宙に憧れを抱かなかったら、コータとも出会っていないだろうし、リオやエディータ先輩やメイリンとも出会っていないだろう。


 アタシの知らないところでコータ達は戦い、もしかしたら散ってしまっていたかも知れない。

 そんな事態からコータ達を救う手助けが出来る。アタシも友達の力になれる。そう思うと嬉しかった。


 力になれる。いや、それは少し違うかも知れない。コータが語った未来の話。大切な友人がいない世界の話。そんな世界なんてクソ喰らえだ。そんな世界にしてたまるか。


 そう、これは友達のためなんかじゃ無い。アタシ自身の為の戦いなんだ。

 

 操縦桿を操作してエディータ先輩の“ブルーガーネット・リバイヴ”と入れ替わりで最前線に立つ。6本のスタビライザーを背後に折りたたみ、地上戦向けの形態に変形させる。


 両手前腕部に格納されているフォトンセイバーのジェネレーターを射出し両腕マニュピレータに装備させる。高出力のジェネレーターから光の刃が伸びて刀身となった。


 対峙していた“ルビリア”十数機がその様子を見て身構える。アタシは機体を低く構えさせ、背面スラスター全開で突撃。瞬時に最高速度に達した“エーデルワイス”は次の瞬間には3機ほどの“ルビリア”を両断していた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 高機動な機体も浪漫の1つてすねぇ… まぁ、メカそのものが浪漫なんだけどな!
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