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05-27.“ブルーガーネット・リバイヴ” ※エディータ・ドゥカウスケート視点


「……邪魔しないで」

 

 私のアクションひとつで機体に溜め込んだ運動エネルギーを解放させた“ブルーガーネット・リバイヴ”は弾かれたような機動で眼前の“ルビリア”の群れに突撃してていく。


 私が相手するのは約10機。その奥に控えている小隊長機、【MGシリーズ】の一角“クレピス”。

 恐らく相当な手練れが乗っていると思うけど、そこまでたどり着くには目の前の敵を押し除けなければならない。


 対峙した数機のうちの1機が片腕に装備した90mmサブマシンガンを発砲し迎撃を試みてくるが、スラスターの噴射で機体を捻り回避。その運動エネルギーを利用してマニュピレータによる打突を繰り出す。

 

 1機の“ルビリア”は防御する事なく胸部がぐしゃりと潰れる。その隙にとばかりにもう1機の“ルビリア”がフォトンセイバーによる斬撃を繰り出してくるが、


「……」


 その腕を“ブルーガーネット・リバイヴ”のクローアームで受け止め、強靭な握力で握り締めると複合チタニウム合金製の装甲がミシリと音を立てた。

 

 そしてもう片方の腕、クローアームの支点、人間の手のひらに位置する場所に内蔵してあるの197mm散弾砲を至近距離から発砲。大砲じみた破裂音が響くと同時に発射された多数の散弾が敵“ルビリア”の上半身を粉々に打ち砕いた。

 

 千切れた金属片が地面に転がるより早くに次の敵、さらに次の敵へと攻め込んでいくと“ブルーガーネット・リバイヴ”の間合いをある程度把握したのか、中衛にあたる位置に布陣していた数機の“ルビリア”がフォトンライフルを構えて発砲してきた。


 それを目視するのと同時に私は命令を下した(・・・・・・)


「フォトンフィールド展開」

了解(ラジャ)


 無機質な合成音声がそう応えると360°モニターに【Photon field】と表示され、“ブルーガーネット・リバイヴ”の前面に不可視の防御障壁、バリアを展開された。


 数発のフォトンビームはバリアに阻まれ、バチバチとスパークしてから空中に散っていく。キラキラとしたフォトン粒子の粒が綺麗だった。


 射撃と同時に接近してきた“ルビリア”のフォトンセイバーの斬撃。前腕部に内蔵してあるセイバージェネレータを露出させセイバーを展開、素早く受け止める。コータが設計、開発したこの“ブルーガーネット・リバイヴ”は本当に使いやすい。


 世代的には第4世代に分類されるこの機体は、今となっては世界水準の中間からやや上の辺りに位置する機体スペックになっているけれど、それはジェネレータ出力や基本スペックでの話。


 OSなどの情報処理能力、アプリケーションの選定などの操縦のしやすさ。パイロットファーストで配置された各計器類。操作性に優れたコクピット……その全てにコータの気持ち、心がこもっている。


 それら全てを感じながら戦える。だから私はこの“ブルーガーネット・リバイヴ”が大好きだった。


「……っ」


 機体を捻り、斬撃をいなす。よろめいた敵“ルビリア”の頭部にクロー・アームによる打突を繰り出し頭を弾き飛ばす。――警告。


「……」


 視線を上げると360°モニターの端にコーション表示が展開されている。まもなく敵からの射撃を被弾。今度は警報が鳴る。左翼エネルギータンクに被弾。内部エネルギーに引火して爆発、炎上した。


 爆発の衝撃でバランスを崩した機体の姿勢を修正しつつ思考を走らせる。被弾は仕方ない。問題はこれからどう動くか、だ。


 やはり相当に操縦の腕は鈍っている。今までだったらあの感覚が脳裏に過ぎり、回避できたはずなのに。もっとコータの役に立てたはずなのに。コータにもらったこの機体を壊さずに済んだのに……。


 ダメだ、この思考は危険だ。それではコータが必死になって取り除いてくれたレギュレータの力さえあったらと言っているのと同じなんだから。


「……」


 レギュレータなんかに頼らなくても。そう言い聞かせるように私は己を奮い立たせて操縦桿を押し込む。あんなものが無くても私が持つ全てを出して戦えば必ず、勝てる。


 そう言い聞かせるが、それでもやっぱり当時の反応は得られない。側面から迫る“ルビリア”に対応していると多方面から次々と波状攻撃を仕掛けられて選択肢がひとつ、またひとつと失われていく。


 左スラスターを失っている為、身動きも取りにくい。どんどんと追い込まれていくが、私の頭は冷静だった。どれだけ攻められ、追い込まれたとしても、私には仲間がいる。


『右っ!』

「……!」


 咄嗟の合図で機体を左に旋回させると、今まで“ブルーガーネット・リバイヴ”がいた場所にフォトンビームが過ぎる。

 そのビームは私を追い詰めていた“ルビリア”の胸部コクピットを易々と焼き貫いていった。


『隊長!』

「……メイリン、残りを処理する」

『コピー!』


 ややあって合流したメイリンの“ティンバーウルフ”と連携し、虚を突かれた残りの“ルビリア”を処理。空に視線を上げるとそこには空を翔ける大型戦闘機の姿があった。


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

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