05-01.色々
ご覧頂きありがとうございます。
本日より新章開幕致します。どうか最後までお付き合い下さい。
“ソメイヨシノ”から地球に降下して色々、本当に色々あった。
その中でも一番大きな事は言わずもがな、リオと恋人同士になれた事。1周目の人生で果たせなかった告白もようやくする事が出来たし、何よりリオと結ばれた事が本当に嬉しい。
1周目の時はあの日の入隊式典を終えてから告白しようと思っていたから。
思えば1周目の時も告白はリオからだったな、と当時を思い返す。結局それに応える事は出来なかったけど、時代を超えてこうして結ばれた。
この2周目の人生ではきっと僕から告白するんだと思っていたんだけど。どうやら一回死んだくらいでは性格は変わらないみたいだ。
でもこうして結ばれたからには、絶対にリオを幸せにするし、守り抜く。これは絶対。
そして、やはりというのか僕の扱いはあのアラスカで死んだ事になっていたみたいで、保険金がE.M.Sや僕やリオが育った孤児院施設に支払われていたみたいだ。
E.M.Sなどの民間軍事会社から戦没者が出た場合は、軍には賠償責任があるし、身内のない僕は保険金の受け取り先もないため、孤児院施設に振り込まれる事にしてあった。
もちろん最初はリオにしようとしていたんだけど、彼女がそれを縁起が悪いからと断ってきた。
けどやっぱり受け取り先の指定は必要で。それなら孤児院施設にしようという話になり、リオも今はそうしている。
ではこうして生きて戻ってきた場合は返金が必要かというとそうではなくて、僕のようにこうして戻ってくる兵も少ないながらもいるので、前例に基づくとそれはそれとしてそのまま受け取っても良いらしい。
一応言っておくと、リオは軍に僕が生存している可能性を進言したらしいんだけど、希望的観測が過ぎると取り合ってもらえなかったそうだ。
賠償金の話はまあ置いておいて、問題なのはアカデミーだ。
戦没者を在籍させるはずもなく、当然ながら僕はアカデミーから除籍扱いを受けていた。でもこうして戻ってきたのだからと、復学という形に落ち着いた。
でもやっぱり進学するのは叶わず、留年して来月から改めて一年生のやり直しとなった。それはリオを陰ながら護衛していた諜報員の人から聞いていたから覚悟はしていたけど、リオは残念がっていたな。終いには自分も留年するなんて言い出して。
駄々をこねるリオはすごく可愛いけど、幸いにアカデミーには飛び級制度がある。試験さえクリアすれば来月から僕もリオやシャル、ヨナと同じ学年で学ぶ事ができる、はず。うん、試験は頑張らないとね。
そして僕がアメリカに帰ってきて一番驚いた事がある。それは、なんとエディとメイリン准尉が除隊していた事だ。
将来的に軍を背負って行くはずと噂されていたエディの除隊は軍部に多大な波紋を呼んだらしい。
確かにそれは驚くべきことではあったけど、反面、僕は納得もしていた。
何故かって、軍はエディをレギュレータ依存を利用して縛っていただけに過ぎないんだから。
ニウライザが世界に流通し始めた今、その強制力は衰える一方だ。ましてやエディはかなり早い段階からニウライザを投薬している。その効果は的面で、今となっては禁断症状も全く発生しておらず、血液内の数値も上々のようだ。
でもやっぱりというのか、レギュレータにより戦闘能力の底上げをされていた訳だから、操縦感覚は確実に衰えたらしい。これは彼女自身が実感していることみたいだ。
けど多分、今までとは違う感覚に戸惑っているだけで、彼女自身が実力は持ち合わせているから持ち直すのも時間の問題じゃないかと僕は思ってる。
そしてエディを追うように軍隊から退いたメイリン准尉……もとい、メイリンさん。
エディがカスタマイザーだと知っている部署から派遣されてきた彼女だけど、始まりはどうであれ、エディの体の事を第一に考えていた人だ。
エディがレギュレータの呪縛から解き放たれた今となっては在籍する意味もなくなったと感じたのかも知れない。
それと、アラスカで行方知らずになった僕の捜索を全く行わなかった事もその除隊の要因の一つだったのだとか。
それについては僕は何の文句もないのだけど。
いや、結果的に僕はその拉致先で生活していたという事実を抜きにしても、捜索は得策では無いと思う。いくら“ワルキューレ”が高価な兵器であったとしても時には割り切らないといけないし、何より一パイロットを探す為に中隊規模の人間を動かす必要は無いと、そう思う。
だからと言って、僕を救おうとしてくれた彼女たちの気持ちは本当に嬉しいし、逆に彼女達が行方不明になんてなったら僕は必死で探すに違いない。そう、あの嵐の夜の様に。
メイリンさんはカスタマイザーであるエディの周辺の世話を命じられて小隊に派遣されてきたらしい。つまりは、メイリンさんが元々居た部署はカスタマイザー研究施設と何らかの関係があったということ。
レイズのみならず、国際連合側にもそんな施設があると、僕はそう思っていた。でも、もしかしたらそうじゃなくて……。
国際連合とレイズの中間にあるのがカスタマイザー研究施設なんじゃないかと。真相は分からない。でも、そう思えてならない。
何者かがカスタマイザーを生み出し、戦場に大きな混乱をもたらして一時、鎮火した戦火を再び広げようとしている。
その混乱に乗じて、何かを企てる何者か。
ガーランドが首謀者なのか、それとも利用されているだけか。
いずれにせよ僕たちの前に立ちはだかるのなら……いや、違うな。奴が僕らの前に立ちはだかるなら、僕は全力で奴を潰す。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、
『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!
評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!
次の投稿は12月14日(水)19時からの予定です。